この記事は2021年の Employee Experience Advent Calendar の5日目です。
Employee Experience における Contractsとは?
Employee Experience における Contracts は、従業員が組織に守ってもらえることを期待している契約です。 この契約には3つの種類があります。
- Brand Contract - ブランド契約
- Transactional Contract - 取引的契約
- Psychological Contract - 心理的契約
Brand Contract - ブランド契約
ブランド契約 は企業の発信情報が典型です。 いわゆる採用広報として発信されている内容になります。 発信された内容をもとに、それに沿った期待を持ちます。
例えば、A 社は外からみたら優秀な人材の存在が強調されているようにみえる発信をしていたとします。そこから優秀な同僚と働けるはず、というブランド契約が発生します。ここで入社時に想定通り優秀な方ばかりと働けることになれば、ブランド契約は守られたと感じるでしょうし、実際に自分が一緒に働く人が優秀とは言い難い人ばかりだったとしたら、ブランド契約は破られたと感じるでしょう。
Transactional Contract - 取引的契約
取引的契約 は雇用契約書など、従業員・組織の双方が明示的に合意するような契約です。
Psychological Contract - 心理的契約
心理的契約は従業員が暗黙的に期待する契約になります。
例えば、特に確約もされていませんが、最初の1年を終えたら昇格することを期待していたとします。 ここで、実際に1年後に昇格していれば問題ありませんが、昇格しなかった場合にその理由への納得度がなければ期待を裏切られたと感じられてしまいます。
契約を守るための障壁
契約を守るにあたっての難易度は以下のようになるでしょう。
- 取引的契約 - 簡単
- ブランド契約 - やや難しい
- 心理的契約 - 非常に難しい
明示的な 取引的契約 は、条件を明示していることもあり、契約を明示したときの内容がわかりやすく明確であれば、あとは守ればよいだけです。
次に ブランド契約 ですが、これはブランド形成をする過程で、実際よりも盛って発信しないことが留意点です。盛ると実態よりも期待値が高くなります。
最後に 心理的契約 ですが、ここは暗黙に従業員が思っている期待、ということが最初の障壁です。残念ながら 人間はエスパーではない ので、暗黙なままでは何を期待されているか皆目検討が付きません。マネージャーが従業員との関係性を健全に保ち、従業員が企業に求めている期待を定期的に吸い上げていくことができるかどうかで、この期待を満たしていけるかが変わります。
また、次の難しさが、 従業員が求めている期待がそもそも妥当ではない ケースの存在です。極端な例でいえば、過度に高い年収への昇給の期待です。ここは率直に理由を添えてその期待が高すぎたり、そもそも対応が難しいものであるという認識を揃える必要があるでしょう。
まとめ
従業員が期待する契約が守られると、 EA が整合することになるでしょうし、守られないと EAD の状態になります。 従業員の期待に応えるにはまず期待を知ることが必要です。まずは確認可能にしていきましょう。