この記事は2021年の Employee Experience Advent Calendar の4日目です。
Expectation Alignment Dysfunction とは?
Expectation Alignment Dysfunction(以降 EAD) は、昨日紹介した EA に関わる概念です。 EAD は組織の多くの従業員の EA が整合していない状態です。つまり、 多くの従業員の期待が満たされていない状態 です。
EAD の原因は?
期待が満たされていない原因にはどのようなものがあるでしょうか?
- 入社以前に組織に対してもっていた期待と入社してみての体験にギャップがあった
- 採用広報などで発信されていた内容が美化されすぎ、盛りすぎのケースなど
- 選考時に聞いていた情報を元にした期待と入社してみての体験にギャップがあった
- 選考で伝えた内容が美化されすぎ、盛りすぎのケースなど
- 選考時に聞いていなかったマイナス面の大きな課題が存在した
- いいところばかりを説明して、障壁を正直に話せていないケースなど
- 入社後、そもそも従業員の期待を定期的に把握し、それに応えていくマネジメントをしていない
EAD が発生しやすいタイミングは?
期待が満たされたかどうかの判断が大きく発生するポイントが EAD の発生ポイントになります。 日々の業務を通していつでも発生しやすくはあるのですが、特に以下は問題が発生しやすいでしょう
- 入社直後、オンボーディング期間に入社前に想像していた期待とのギャップを感じる
- 昇進や役割の変更時に、期待とのギャップを感じる
- 評価フィードバックを受ける際に、当初想定していたキャリアアップペースや自己評価とのギャップを感じる
- 人事異動時に、自分が思い描いていたキャリアとのギャップを感じる
EAD の影響は?
組織が EAD に陥っていると、以下のような影響があります
- 退職率の増加
- エンゲージメントの低下
- 顧客からのクレームの増加、顧客体験の悪化
- 成果物の質、量の低下
- 組織内で負の噂、陰口等が蔓延する
一言で言うなら組織崩壊に向かう状態です。
EAD への対策
EAD に陥らないようにするには以下のようなポイントを抑える必要があります。
- 選考過程の段階から従業員(選考時点では候補者さん)がキャリアや今回の転職で何を重要に考えているのかを聞き出しておく
- マネージャーは定期的に従業員の期待と充足状況を 1on1 等で確認する
- 仮に従業員の期待そのものが曖昧なときは、壁打ち相手になって自己認識の整理をお手伝いするところからのスタートになります
- EVP にあたる要素の言語化を曖昧にせず明確にする
- EVP は従業員が組織に所属していて感じる価値です。この価値が曖昧であると過剰な期待を持たれたり、そもそも別のことを想像されてしまう可能性がある
- 組織の情報を常にオープンにする
- 逆に見えない範囲が多いと、ネガティブな噂が広まってしまう可能性が上がる
- EA に関わるサーベイを実施し、今組織や任意の部門が EAD に陥っているか把握可能にする
まとめ
従業員は自己の期待が満たされてこそ、組織への貢献意欲が強まります。その対極にある EAD の状態をほっておけば組織崩壊に陥ってしまいます。定期的なサーベイなどにより、そもそも EAD になっているかどうか確認可能にし、見つかった問題に対して着実に改善の実施をすることが大切になります。