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Organization Development Engineer tbpgr(てぃーびー) のブログ

メンバーから見えにくいマネージャーの業務

マネージャーの業務はメンバーからすべて見えるわけではありません。そのため「マネージャーって何してるの?」とか、場合によっては「暇そう」みたいに思われることもあるかもしれません。 そこで、一般的なマネージャーの業務について見える範囲と見えない範囲を整理してみます。

前提

今回は、直接メンバーを持つファーストラインマネージャーを想定します。

全体像

見える業務

チーム全体に見える業務です。

業務名 内容
チームの定例 チームの方針伝達、進捗確認、課題解決、情報収集など
チーム方針の伝達 上位層で決定された戦略や目標を、チームの具体的な行動計画としてブレイクダウンして説明
タスク・進捗管理 チームの主要なタスクの進捗状況の把握と、遅延・問題発生時の対応
チーム内での情報共有 プロジェクトの決定事項や重要な情報をメンバー全体に周知徹底
業務アサイン/調整(オープン) チームメンバーへの具体的なタスクやプロジェクトの割り振り、負荷の調整
ホウレンソウの受領(オープン) ・メンバーからの報告・連絡・相談を受け、必要な指示や判断を行う
・チーム全体で話す場合
問題・課題解決の支援(オープン) ・メンバーだけでは解決できない技術的・組織的な問題の切り分けや上位者へのエスカレーション
・チーム全体で話す場合
チームメンバーの採用(オープン) ・新しいメンバーを迎えるための面接への参加や受け入れ準備
・メンバーを巻き込んだ話す部分
ビジネスに関わるトラブル対応(オープン) ビジネスに関わるトラブル対応。全メンバーとともに取り組む

部分的に見える業務

関わる関係者だけが見える業務です。たとえば、1on1などは自分がしてもらっているときは認識できますが、メンバーが8人いる場合、それを8回やっているわけです。 メンバー目線で意識から外れがちですが、見えないところであと7人分の1on1をやっています。また、自分が簡潔にやりとりできるタイプだったとしても、他のメンバーには非常に時間を要する人もいるかもしれません。コミュニケーションコストは人によって倍ではきかないくらい差があります。

業務名 内容
1on1ミーティング メンバーの業務やキャリアに関する個別相談、フィードバックの提供、目標設定支援
評価面談・目標設定 成果の評価、次の期間の個人目標設定とすり合わせ
評価のためのインプット 評価に必要な情報を本人、シニアなプレイヤー、プロジェクトマネージャーなど関係者から個別に取得する
業務アサイン/調整(セミクローズド) アサインについて一部の当事者とだけやりとりする場合
ホウレンソウの受領(セミクローズド) ホウレンソウについてクローズドに話す必要があるもの
他部署との連携/交渉(セミクローズド) ・チームに必要なリソースや情報、協力を得るための他部署とのコミュニケーション。
・一部の関係メンバーも同席
問題・課題解決の支援(セミクローズド) 問題解決について個別にやりとりする場合
チームメンバーの採用(セミクローズド) ・新しいメンバーを迎えるための面接への参加や受け入れ準備
・リーダーなど一部のメンバーのみと話す部分
ビジネスに関わるトラブル対応(セミクローズド) ビジネスに関わるトラブル対応。内容次第でリーダーなど一部のメンバーのみと共有しながら取り組む
個別のパフォーマンス改善計画の実行(セミクローズド) パフォーマンスが不足しているメンバーに対する個別支援。マネージャーと本人のみが把握している

見えない業務

チームメンバーには見えない業務です。

業務名 内容
マネジメントミーティング 部門のマネージャー全体の定例。方針、進捗、課題などについて話す
チーム目標の検討 上司や横のマネージャーとチームの目標を検討する
予算検討 部門の予算面での目標(売上、人員、コスト等)の検討をする
1次評価 評価の実施
部門の評価キャリブレーション 部内のマネージャー全体で評価のバランス調整をする ※部門長だけで対応する場合もある
体制検討 組織変更に関する検討を部内のマネージャー全体で実施 ※部門長だけで対応する場合もある
チーム方針の伝達の準備 上位層で決定された戦略や目標を、チームの具体的な行動計画としてブレイクダウンして説明するための準備
人に関わるトラブル対応 個人に関わるトラブル対応。配慮のためメンバーには知らされない
勤怠管理 勤怠の管理をする。月次の締めや、各種勤怠申請の承認をする
経費申請管理 経費申請の締めや、申請の承認をする
その他申請管理 社内ツールの利用やアカウント申請などの承認をする
その他組織活動に関わる雑多な対応 監査対応、避難訓練対応など、組織活動として必要な雑多な業務
学習時間 マネージャー自身の学習のための時間
ネットワーク マネージャーが、社内外で影響力を発揮するための交流時間
業務アサイン/調整(クローズド) アサインについてマネージャーだけで話す場合
他部署との連携/交渉(クローズド) ・チームに必要なリソースや情報、協力を得るための他部署とのコミュニケーション
・メンバーは同席しない
問題・課題解決の支援(クローズド) メンバーだけでは解決できない技術的・組織的な問題を整理したあと、上司・横のマネージャー・ステークホルダーと解決にあたる
チームメンバーの採用(クローズド) ・新しいメンバーを迎えるための面接への参加や受け入れ準備
・上司・横のマネージャー・ステークホルダーのみで話す部分
ビジネスに関わるトラブル対応(クローズド) ビジネスに関わるトラブル対応。内容次第でメンバーには知らされない
個別のパフォーマンス改善計画の実行(クローズド) ・パフォーマンスが不足しているメンバーに対する個別支援
・上司・横のマネージャー・ステークホルダーのみで話す部分

ポイント

主に共有されない業務は以下のような特徴があります。

  • 人に関わるトラブル対応 : 個人に配慮して共有しない
  • ビジネスに関わるトラブル対応 : 内容次第でマイナスの影響を想定して共有しなかったり、限定的にしか共有しない
  • 生煮えの方針 : 組織や人に関わる方針は、ある程度固まるまではメンバーに共有しないことがありがちです
  • マネージャー自身の単独業務 : ここは、実際は共有可能なものもありますが、どのくらい共有するかはマネージャーの好み次第です

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