企業は製品やサービスを通して顧客に価値を生み出すために活動しています。 この価値=アウトカムを生み出す活動への貢献度に応じて評価がなされ、その貢献に報酬で報いることになります。
今回はアウトカムのための人事評価制度という視点についてまとめます。
なお、この記事は一般的な人事評価制度について考えを整理するための記事であり、現在・過去の所属企業における人事評価制度とは一切関係のない内容です
前提 - 除外事項
文化
組織として維持したい文化が存在し、文化に関わる要素はマインドの評価基準として織り込まれる事が多い。 今回は一旦、この点は話題から外し、あくまで成果とそれに必要な能力・マインドの話にとどめます。
個人のキャリアの側面
実際には会社の成果軸だけではなく、個人のキャリアの成功の話も関わってきますが、この点は話題から外します。
企業の活動
アウトカムを生み出す流れ
人や資源などのインプットをもとに、業務のプロセスを経てアウトプットが生み出されます。 アウトプットは顧客の手に届き、アウトカム=価値を生み出します。
プロセスの内訳
業務を遂行するプロセスにおいて、社員の能力やマインドが結果に影響を与えます。
アウトカムの内訳
アウトプットの質がアウトカムに影響を与えます。 また、外的要因もアウトカムに影響を与えます。 そのため、アウトプットの質が上がった訳ではないが、外的要因によってアウトカムが大きくなってしまう場合があります。 この点が、評価において成果評価だけではなく、能力・マインド評価が併用される理由の一つです。
成果と能力、評価と報酬
成果に報いるのが評価であり、報酬はそこから連動して決まります。 仮に能力が身についていても実務上活用されていないのであれば評価対象外になります。
評価基準に対する考え方
「評価基準を明確にする」という話題はよくあると思います。
実際に必要なのは「成果を出すために必要な要素は何か?」という考え方が近いはずです。
- 「この組織における事業1での職種Aにおける1担当者に求められる成果」を生み出すためには何が必要か?
- 「この組織における事業1での職種Aをまとめるリーダーに求められる成果」を生み出すためには何が必要か?
- 「この組織における事業1の責任者に求められる成果」を生み出すためには何が必要か?
そんな考え方です。
そして、成果を出す方法はHowであり、成果に至るHowは1つとは限りません。未知のHowが見つかる可能性もあります。
得意・不得意も人によって異なります。社員xさんと社員yさんは同じ水準の成果を生み出せるけど、強みは全く異なる場合もあります。
この場合、安定して生み出せる成果の水準が同じなら社員xさんと社員yさんと評価は同じになるのが好ましいはずです。
そういった意味で評価基準は具体的であればいいとは限らず、一定の抽象度を保っていると扱いやすいと考えられます。
育成の目線
能力やマインドに関わる評価基準を満たす事自体は目的ではありません。
ここまでの話を踏まえるのであれば、より大きな成果を出すために必要な能力、マインドを身に着け、実際に成果につなげていくことが目的です。 つまり、より大きな成果を出すためにはどのような能力、マインドが必要かを本人と共に考え、必要に応じて経験機会を提供したり、コーチングをしたり、ティーチングをしていくのが育成の活動になります。
まとめ
アウトカムのための人事評価制度という視点についてまとめました。
元々人事評価は成果に報いることや、活躍に向けた成長の道を整えるための営みのはずです。 一方で、その一部として切り出された1項目ずつの「評価基準」だけを見ていると、その個別の内容のみに着目してしまいかねません。 常に、「アウトカムを生み出す活動」という前提とワンセットで考えたいところです。