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目標と評価の関係

よくある等級制度における目標設定と評価結果の関係性について考えてみます。

等級制度

等級制度は任意の評価基準に応じて、従業員の働きぶりを任意の数の段階に分ける制度です。 これにより

  • 各段階における育成基準が可視化され、意図的な育成がしやすくなる
  • 各段階ごとに報酬制度とのひもづけを行い、貢献度に応じて報いやすくなる

などが狙えます。

評価基準について、オーソドックなものとしては

  • 成果
  • 能力
  • マインド

の3カテゴリがあります。
この中で報酬制度との紐づけとしては

  • 成果 - 賞与
  • 能力 - 給与
  • マインド - 給与

に紐づけるケースがよくあります。

等級制度における昇格

等級制度において、役割が変化する単位での成長がグレードです。グレードの昇格には入学形式と卒業形式があります。

  • 入学形式 - 今いるグレードの要件を満たしつつ、次のグレードを担うために、次のグレードの要件の一部を満たせば昇格
  • 卒業形式 - 今いるグレードの要件を満たせば昇格

このどちらかの形式を基準に、基準を満たしていると判定されれば昇格することになります。

等級制度における昇級

等級制度において、役割が変化しない単位での成長が号数です。号数の昇級に対して一定の評価基準があることもあれば、特に基準はなく定性的な判断を元に、市場の景気・職種ごとの相場・社内の相対的な位置・昇給の原資など諸条件を加味して総合的に号数を決める場合もあるでしょう。

大雑把な話としては、役割が変化するほどではないが、今の業務における質やスピードが明らかに良くなった場合に号数の昇級になります。

目標設定

目標として取り扱う対象は、事業の目標と個人の成長における目標がありえますが、どちらの場合も目標自体は本来評価基準とイコールでは無いはずです。

目標自体は、現在より高い成果を出すことや高い能力を手に入れるためのものです。例えば、現在のグレードの昇格した直後であれば、次のグレードまでは相当遠いはずです。 そのため一足とびに昇格を目指すような目標を設定することは珍しく、通常は現状から一定伸びるための目標を設定することになります。この場合、目標は達成するが、昇格しないというケースは十分にありえます。

目標と昇格・昇級有無について以下に 3 つのケースを例示します。

例の前提

仮に定量的な評価制度だとして、

  • 能力 - 100点満点
  • マインド - 100点満点

で、200点になると昇格するルールだとします。

また、号数の昇級基準は

  1. 合計100点未満 - 号数1
  2. 合計100点以上125点未満 - 号数2
  3. 合計125点以上150点未満 - 号数3
  4. 合計150点以上175点未満 - 号数4
  5. 合計175点以上 - 号数5

だとします。

実際はここまで定量的、機械的に昇格・昇級を決めるわけではないと思いますが、あくまで説明のために定量的な例にします。

ケース1 - 目標の結果 = 昇格基準の場合

期初に

  • 能力 - 90点
  • マインド - 90点
  • 号数 = 5

の状態でスタートし、能力・マインドともに100点を目指す目標を立てたとします。

見事達成した場合、

  • 能力 - 100点
  • マインド - 100点

で目標の達成と昇格が同時に成立します。

ケース2 - 昇級基準 < 目標の結果 < 昇格基準の場合

期初に

  • 能力 - 75点
  • マインド - 75点
  • 号数 = 4

の状態でスタートし、能力は100点、マインドは80点を目指す目標を立てたとします。

見事に目標を達成した場合、

  • 能力 - 100点
  • マインド - 80点

になりますが、200点には満たないのでグレードは昇格しません。
ただし、合計が180点になったので、号数は 5 に昇級します。

ケース3 - 昇級基準 > 目標の結果 < 昇格基準の場合

期初に

  • 能力 - 75点
  • マインド - 75点
  • 号数 = 4

の状態でスタートし、能力は85点、マインドは85点を目指す目標を立てたとします。

見事に目標を達成した場合、

  • 能力 - 85点
  • マインド - 85点

になりますが、200点には満たないのでグレードは昇格しません。
ただし、合計が170点なので号数も4のままで、昇級しません。

まとめ

本来は目標の達成と昇格、昇級はイコールではない、という点について説明しました。
もちろん実際は目標の達成を持って昇格にするルールの会社もあるので、場合によるとは思います。

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