仕事において他者の発言をどう解釈するか?
ポジティブに捉えるか?ネガティブに捉えるか?
本来の意図に沿った解釈になっているか?
そこに影響を与える要素について考えてみます。
前提
前提として、発信側はわかりやすく簡潔に発言をしているものとします。
影響を与える要素
- バイアス
- 好感度
- 読解力
- 透明度
- 価値観
バイアス
物事を認識する際にどの程度バイアスに影響されやすいかによって、解釈がひっぱられやすくなります。
例えば典型的なものとして帰属バイアスがあります。
例えば、プロジェクトの計画段階で無理があり、成功しようがないプロジェクトで納期に間に合わなかった場合に、その計画自体の問題ではなく個別に手を動かす担当者の実力不足、努力不足と結論付けてしまうようなケースです。
バイアスを完全に避けることはできませんが、
- バイアスについて知る
- 直感だけではなく、熟考をする
- 批判的思考 をする
など、ある程度避けやすくすることはできます。
好感度
対象への好感度が高いと、好意的に解釈しやすくなります。いわゆる関係の質による影響です。
逆に対象への好感度が低いと、悪意をもって解釈しやすくなります。あの人はけしからん人なので、きっとこういうけしからんことを考えて行動しているだろう、という結論に引っ張られやすくなります。
人によっては相手に対する好感度と事実に対する解釈を切り分ける事ができる人もいますが、そうではない人もいます。
わかりやすいのは「適切な意見をいう口の悪い嫌いな人」の意見を、好き嫌いとは分けて判断できるかどうかとか。
普段業務で関わる者同士の関係性や、組織と従業員の関係性が良好になるような取り組みが必要になるでしょう。
読解力
現象や発言を正しく理解する読解力がない場合、曲がった解釈につながります。
よくあるのは心理的安全性という言葉の意味を本来のとおりに理解して解釈しているか、それともただの「安心」として理解しているか、などです。
ここについては、国語力ですが、何かしらの文章を読み、それを解釈し、正解とすり合わせるという機会を繰り返す、などができそうです。
ただ、自身が読解力不足と把握することや、それを認める事自体が第一関門になりそうです。
透明度
関連の情報がどの程度開示されているか、がここでいう透明度です。
例えば、発言は依頼の How だけ開示されているが、 Why の情報や、その Why の前提になる資料が全社に開示されていないケースの場合、見えない範囲に関して不要な推測が発生し、事実と異なる解釈を生みやすくなります。
ここは組織、個人が必要な情報を広く公開していったり、話す際に背景や Why などを添えるという対応になりそうです。
価値観
人は価値観に基づいて物事を判断します。
例えば、「一人で黙々と仕事をするのがよい」と考えている人と「仕事にはコラボレーションが欠かせない」という考え方の人が、「ペアワークを増やす」という発言をきいたときに、どう解釈するか異なってきます。
ここは基本的には変える対象ではない想定です。個々の価値観は個々の自由なので。個々人の価値観は異なるよ、という前提で相互にやりとりするというのが対策の一つになりそうです。
パターン
最もネガティブに解釈されるパターン
- バイアス - バイアスに影響を受けやすい人が
- 好感度 - 関係性の悪い相手と
- 読解力 - 相手の言葉の意味の大多数をわからない状態で
- 透明度 - 前提、背景の情報がない状態で
- 価値観 - 相手と正反対の価値観で話をきく
という状況が本来の意図と最も異なる解釈をされることになりそうです。
最もポジティブに解釈されるパターン
- バイアス - バイアスに影響を受けにくい人が
- 好感度 - 関係性の良い相手と
- 読解力 - 相手の言葉の意味をすべて理解できる状態で
- 透明度 - 前提、背景の情報がすべて揃った状態で
- 価値観 - 相手と同じ価値観で話をきく
という状況が本来の意図と最も異なる解釈をされることになりそうです。
ただ、この状態が常に好ましいかと言うとそうでもありません。例えば、価値観は無理やり変えるようなものではないため、価値観が異なっても意図を外れずにやりとりできるようになることが好ましいです。
まとめ
仕事において他者の発言を解釈する際に影響を与える要素として
- バイアス
- 好感度
- 読解力
- 透明度
- 価値観
を挙げました。どれも短期間ですぐに対応できないようなものが多いですね。
この中で言うと透明度を上げるのが一番手を付けやすい改善箇所かもしれません。必要な背景、Whyなどの情報をできるだけ広く開示するという対応です。