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Organization Development Engineer tbpgr(てぃーびー) のブログ

ネガティブな経験を強みに変える方法

今に至る道を振り返ってみると、過去の難題やトラブルがキャリアの進展や強みにつながっていると気づきました。
もちろん、すべての苦難が成長につながるわけではないでしょう。しかし、私自身の経験を一つの事例としてご紹介します。

もともとのキャリア

大学時代に知人の紹介でプログラミングのアルバイトを経験したことや、ゲームの攻略サイトを立ち上げたくなってHTML+JavaScriptを覚えたことがきっかけでウェブエンジニアとして社会人生活をスタートしました。
プログラミングは好きだったので仕事は楽しくやっていましたが、特にそれ以外の目的や大事にする軸などはなく、よくも悪くもこだわりがなかったため、自ら一歩踏み出すことはなく黙々と仕事をしていました。

長時間労働や人間関係の難しさに悩まされながら40歳になるまでは主に受託開発系の会社のウェブエンジニアとして過ごしましたが、30代後半になっても並プレイヤーの一歩先くらいの業務範囲にとどまっていました。特別仕事がつまらないとか不満というわけではないですが、家庭もあり、将来を見据えると収入面も含めて不安な状態ではありました。

学生時代~この時期までを含めた個人の特性は以下のようなものです。

  • リーダーは極力避ける
  • 座席は一番うしろなど、目立たない席に座る
  • 人との交流はできるだけ避ける。一部の仲が良い人とだけ深くやりとりする
  • 挙手制の機会などがあるときは発言しない

現状のキャリア

現在は人事として組織開発部門のマネージャーをしています。個人としても『人が成長し、充実して働ける場を作る』というミッションを持ち、それに関わる仕事を大きな裁量で担当できていて、ウェブエンジニア時代と対比しても大きくやりがいを持って仕事ができている状態です。開発者時代は雲の上の存在に思えた著名なエンジニアの方々(EM寄りの方との交流がメイン)とも、交流する機会が増えました。ITエンジニア採用入門の影響もあり、師匠的な目線で接していただくこともあり、当時からは想像もつかない状況に驚いています。

人事に転職する直前あたりから個人の特性は以下のようなところです。

  • 興味関心の強い領域において率先してリーダーをする
  • 座席は一番前など内容の理解や確認をしやすい位置へ座る
    • 逆にあえて後ろに行くときは全体の様子を見たいとき
  • 人との交流を広く行う。特に相談や壁打ちなどは社内外や職種を問わず広く実施
    • ただし、仕事の文脈での交流が多いので、雑談やプライベートとしての動きは昔と変わらず大人しい
  • 挙手制の機会があれば率先して発言

小中高校大学時代の私を知る人からの印象はたぶん、「大人しく、真面目で、目立たない人。水泳の人」くらいの印象だと思います。人によっては印象に残っていなくて今言われても思い出せない人も多いのではと思います。
※水泳の選手をずっとやっていた

現状に至るきっかけ

人事に転職したからといって、急に人が変わるわけもなく、変化は段階的です。個人的には、過去の以下のような出来事が今の能力や考え方を支えていると思っています。

考え方への影響

  • 自分自身が厳しい労働環境にいたが、楽しく働ける環境に変わった
    • 周囲についても楽しく働ける人を増やすことに貢献したいと思うようになった
  • ウェブエンジニアとして最後に働いていた会社で仲の良い同僚2人の転職した
    • これをきっかけに自己分析をしてキャリア軸を整理した結果、人事へ転身することになった
  • キャリア軸ができたことで、自分が実現したいことのためなら自分が苦手だったことも『必要ならやる』という考えになった
    • 苦手だったことの例
      • リーダーをやること
      • 本名をオープンにして発信すること
      • メディアの取材を受けること

能力への影響

  • 過剰な残業やメンタル的に不安の多い仕事の連続で仕事を離れ休養することになった
    • 1年以上の休養期間中にカウンセラーさんから認知行動療法をすすめられ、それが物事を詳細に整理し、認知を歪ませず事実と解釈を区別して扱えるようになった
    • 復帰直後にゆったりと復帰するために小規模な映像制作会社の雑務+ちょっとした静的サイトの構築を担当していた
      • その際に経営の考え方や仕事の全体像を眼の前で見る機会になり、視座・視野・視点が強化された
  • 私生活関連のトラブルの発生時に自分が主導して解決したほうがいい出来事が短期に集中した
    • リーダーシップ、問題解決力の強化された
  • このままでは炎上しかねないプロジェクトの初期段階に参加した
  • リリース間際にもかかわらずリーダー同士が仲が悪く崩壊直前のプロジェクトに参加していた
    • 自分がサブリーダーの立場として仲介役をした
  • プロジェクトの進行について組織的な課題が原因で煮詰まっていた
    • 代表、上司と3人で組織課題の解決に向けて継続的に取り組みをした
  • ウェブエンジニア時代から学習習慣はあったものの、学習内容に一貫性がなかったため、実務で役立つ機会が少なかった
    • キャリア軸ができたことで、学習内容が実際の業務に関わるものに集約され、業務で活用できる確率が大きく高まった

人事になるまでマネージャーや人事としての正式な業務経験はありませんでしたが、上記のような出来事からマネージャーや人事に必要となる要素を部分的に経験、習得できていたのが今につながっているはずです。

まとめ

考え方、能力の両面で、現在の人事領域の業務の土台となっているのは、ウェブエンジニア時代のマイナスの出来事を転機に対策してきたことや、難題をスルーせず、なんとかしようと動いてきたことの積み重ねだと思います。難しい局面でもスルーせずになんとかしようとするスタンスはウェブエンジニア時代もあったので、その意味での自力は少しずつ磨かれていたとは思います。一方で、仕事に対する目的意識や思いがなかったため、どうしても主体的な動きや、未来を見据えた動きは少なかったように思います。

地味に積み重ねてきた能力を開花させるきっかけになったのは、キャリア軸を定めたことでした。軸ができたことで、能力を活用する機会が拡大し、主体性を発揮できるようになりました。結果を出すことで裁量も広がり、さらに主体的に動ける範囲が広がるという好循環が生まれたのです。

逆に、現在のキャリア軸や転機は苦難があってこそのもので、逆にある程度満足のいく仕事をしていた場合、変化をするきっかけもなく、現在でも中堅エンジニアのまま可も不可もなく仕事をしていたかもしれません。もちろん自分で判断してある程度の責任範囲で仕事をするのも特に悪いというわけではないですが、私的には仕事は人生の多くを時間を使う活動なので充実した状態にしたいと思っています。

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