自分で考えた暗黙知を形式化のための Sharain という手法を継続実施してしばらく経過しました。
もともと第三者が持つ暗黙知の形式化のために作った手法ですが、自分自身に対して
経験学習をする際の内省・抽象化フェーズを行うためのツールとして重宝しています。
今回は Sharain の実施手順を深掘りすることにします。
Sharain とは?
暗黙知を形式化するための手法です。
手順
暗黙知を書き出す
- ヒアリング相手をみつける
- ※自分に対して実施する場合は不要
- 自分にはできないが相手にはうまくできることをお題に選ぶ
- ※自分に対して実施する場合は自分がうまくできているが体系立てて説明できないことをお題に選ぶ
- 思考や行動について事細かにヒアリングする
- 相手がなぜ自分よりうまくできているかを確認できたら成功
- 自分に対して実施する場合は、自分が自覚的ではなかったことを抽象化した概念として自覚できたら成功
例えば初対面の人とのコミュニケーションが非常にうまい人と苦手な人がいたとします。
雑な会話をすると、上手い人は「慣れるだけだよ」「かんたんかんたん」というかもしれませんし、
これを聞いた苦手な人は「は、はぁ(なるほどわからん)」となるでしょう。
Sharainでは理解可能な粒度になるまで細かく聞き出す事が必要になります。
例えば、円滑なコミュニケーションの根本には相手への強い関心が必要かもしれません。
またその根本には人間を中心とする物事への強い関心が必要かもしれません。
また他者へのリスペクトが必要かもしれません。
これらに関わる具体的なエピソードを引き出せるまで細かくヒアリングをします。
例えば初対面の人とのコミュニケーションが上手い人に人とのコミュニケーション時に何を考えているかヒアリングするとします
- 田中さんはどんなことに関心をもっているのだろう?それに対してどんな考え方をするのだろう?とワクワクする
- 田中さんが好きなもの、興味があるものについて質問をする
- 田中さんがなぜそれを好きなのか質問する
- その答えの中から田中さん独自の考え方を聞き出す
などのようなものが聞き出せるかもしれません。
自分に対して実施する場合は、他人から「あなたはあれがうまいよね」と言われるが自分ではうまく説明できないこと
に対して実施してみるとよさそうです。
形式化可能な事例を抽出する
暗黙知を書き出した内容からノウハウとして抽出できそうなところを選びます。
部分かもしれませんし、全体かもしれません。
部分は1つかもしれませんし、複数のノウハウがあるかもしれません。
初対面の人とのコミュニケーションの例でいうなら
- 田中さんはどんなことに関心をもっているのだろう?それに対してどんな考え方をするのだろう?とワクワクする
の部分が根本的であり、エッセンスが詰まっていそうです。
抽出した事例を抽象化する
抽象的な概念として理解するために抽出した内容を抽象化します。
初対面の人とのコミュニケーションの例でいうなら
- 田中さんはどんなことに関心をもっているのだろう?それに対してどんな考え方をするのだろう?とワクワクする
を
- 他人の関心事・その思考に対する好奇心を持つ
とします。
その上でパターンカタログ形式で、「・・・ができない」というような課題としての視点でまとめます。
背景
多くの人から様々な考え方を吸収する必要がある
問題
初対面の人とのコミュニケーションがうまくいかない
要因
- 他人に関する関心が薄い
- 人それぞれ面白い考え方を持っていることを理解できていない
- 物事に対する関心が薄い
- 質問することに慣れていない
解法
物事に対する関心を強め、他人と交流する機会を増やす
行動
- 物事のつながりや、抽象的な考え方が色んな分野に応用が聞くことを理解する
- 何か1つの分野をひたすら深掘りしていると自然と気づくことがある
- 物事のつながりをマインドマップのようなもので連想できる限りひたすら書き連ねる
- 質問することに慣れる
- まず身近な好意的な人で慣れる
- 次に関心領域が近い人で慣れる
- 次に新しい人に会う機会を定期的に作って慣れる
結果
少しずつ他人への関心が強まり、初対面の他人とのコミュニケーションに慣れていく。
次第に「初対面の人とのコミュニケーション」時に有効な質問の型が身についていき、よりうまくなっていく。
抽象化した形式知を学習可能にする
抽象化した理念を実践可能にするための手順を考えます。
大抵の場合、抽象化フェーズの「行動」にまとめた内容をほとんど同じになると思いますが、
実際に練習する際に迷わずにすまないくらいの粒度に詳しく掘り下げるとよいでしょう。
また、自分もしくは第三者が実際にそれを実践してみて改善すべき点があれば
改善していくとよいでしょう。
まとめ
Sharain を実施している人が私以外いるかどうかは定かではないですが
少なくとも私の役には立つので整理してみました。
ちなみに私は初対面の人とのコミュニケーションが苦手な人なので
初対面の人とのコミュニケーションがうまい人の特徴は想像で書いています。
1対1で、事前にある程度相手のことを把握できている場合は比較的円滑にコミュニケーションを取れるので、
相手に強い関心を持っているからうまく言っているのではないか、と想像してこの記事の内容をまとめてみました。
例えば苦手で嫌いな相手がいた場合も、「この人のどこが苦手なのか?」「私が嫌悪する考え方は何をもとに生まれるのか?」
という点に注目すると意外に楽しめるかもしれませんね。