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Employee Experience Engineer tbpgr(てぃーびー) のブログ

転職から入社直後の評価への向き合い方

転職で新しい会社に入社したあと、最初の評価の際に起こることについて整理します。
これは、ウェブエンジニアから人事に転職し、2社で採用と評価制度の設計・運用の双方に関わった結果として見えてきた部分であり、逆にそういった業務に関わっていない頃には見えていなかった部分です。そして、大抵の開発者の方は人事ほどは採用・評価制度に関わっていないため、参考になる部分があるかと思い、まとめることにしました。

前提

この記事の内容は、評価制度が整備され、等級制度としてグレードが定まっていることが前提となります。

選考~入社まで

選考では、合否に意識がいきがちですが、入社時点での評価もなされます。 評価結果に基づき、入社時点のグレードおよび給与が決定します。

この際に、等級制度におけるグレードの位置づけや、意味を入社前に説明する会社もあれば説明しない会社もあります。 説明を受けなかった場合、自分が選考を通してどのくらいの評価を受け、どのくらいの期待値で入社しているのかが不明瞭になります。

入社~評価期間が終わるまで

入社後、最初の評価期間において、入社時のグレード・給与水準をスタート地点として評価が上がるか・維持か・下がるか決まります。 この場合、評価はあくまで新しい会社の評価基準において入社時の期待値よりもパフォーマンスが上がったかどうかが重要になります。

認識のギャップが発生するケース

例えば、新しく入社した会社(以降「会社X」とする)のグレードが以下のようなものだったとします。

  • グレード1 - ジュニア人材
  • グレード2 - 一人前担当者
  • グレード3 - リーダー
  • グレード4 - マネージャーや技術推進者

Aさんは、前職では一人前担当者レベルであり、会社Xではグレード2の真ん中くらいが本来の実力だったとします。 一方で、選考における評価が高く、グレード3として入社したとします。

Aさんは、本来の実力より大きな期待の業務になんとか食らいつき、元々の実力であるグレード2の真ん中くらいからグレード2とグレード3の真ん中ぐらいに成長することができたとします。 本人的にはかなりのレベルアップをして大きな貢献をできた実感があるかもしれませんが、入社時評価の影響で実際はグレード3からグレード2への降格・降給か、猶予をみてグレード3の入社時評価のまま特に昇給なしだったとします。

受け入れ企業が評価に対する認識ギャップを補正する機会

受け入れ企業が評価に対する認識ギャップを補正する機会としてオファー面談時と評価期間の開始時があります。 こういった説明を確実にしておくことで、先程のAさんの例であれば、一人前担当者レベルではなく、リーダーレベルの期待を受けてのグレード設定であるということが伝わります。 仮に入社後の1年で昇格・昇給がなかったとしても、そのそも一人前担当者レベルだった状態からリーダーレベルとして十分に評価を受けたからこそ降格・降給ではなく、入社時評価の維持を受けたと捉えることができます。

なお、入社する立場で以下のタイミングでの説明が無かった場合、自ら確認しにいくとよいでしょう。

オファー面談時点

内定オファーをするタイミングで少なくともグレードと提示年収について期待値を把握できるレベルの説明をすることです。 ここでグレードの名称と年収の金額だけ伝えたのでは、どのくらいの期待値の役割・責務の仕事を任されてのものなのか分かりません。 その点が伝わる粒度の説明をできると理想的です。

評価期間の開始時

入社後に評価期間が開始し、目標の設定などをするタイミングで改めて入社時点での期待値を再確認するタイミングがあります。 ここで、初期時点での自分のグレードや給与がどのくらいの位置にあるのか、スタート地点での期待値を改めて実際の業務に照らし合わせて伝えることで認識を合わせることができます。

入社時評価がズレるケース

  • 選考評価の上ブレ、下ブレ
    • 候補者さん要因の場合
      • 選考時のプレゼンテーションのうまさの影響
    • 受け入れ企業要因の場合
      • 選考の質
  • 前職の給与水準が高過ぎて、内定受諾のために本来の実力よりも高めにオファーするとき。上ブレる
  • 前職の給与水準が低過ぎて、内定時に一定上回ったオファーをしたものの実際の実力はもっと高かった場合。下ブレる
  • 入社受け入れ時にリスクを高く見積もって比較的抑えめの評価をし、入社後の活躍を見てから評価を上げるケース。下ブレる
    • 日本は降給対応が難しいという背景がある

個人的体験

私が前々職から前職に転職したときは、「上ブレ」のケースでした。 これが把握できたのはあとから評価制度や採用を担当し、入社・評価の流れを理解できてからです。

おそらく普段のアウトプットや選考時の評価が高かったようで、本来の実力よりもかなり高い評価を受けていました。

結果的に、最初の評価期間で入社時の評価よりも大きく劣ったところからスタートし、急激にキャッチアップしてなんとか入社時評価に追いついた、という着地をできましたが、当時の体験としては低い評価を受けたという認識になっていました。今思えば、妥当な評価であり、成長を評価してもらえて喜ぶ場面でした。

まとめ

転職から入社直後の評価への向き合い方についてまとめました。

新しい環境での評価は入社時の評価を起点としています。 入社者は新しい環境でのグレードの位置づけや、それに対する期待値を確認すること。 受け入れ企業は入社者へ自社のグレードの位置づけや、期待値をオファー時・入社時・評価開始時などに伝えることが大切です。