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Employee Experience Engineer tbpgr(てぃーびー) のブログ

仕事における主務と補助的な活動のバランス

仕事において以下のような種類の業務があったとします。

  • 主務 - 主たる業務。開発者なら設計、開発業務。採用担当者なら採用関連業務など
  • 補助的な活動
    • 主務の周辺業務 - 主務の業務改善、チームビルディング、育成、採用、社内外への情報発信
    • 全社活動 - 全社イベントの参加、全社施策の対応、研修の参加、横断タスクフォースの参加
    • 任意参加の活動 - 社内交流、社内勉強会の参加

それぞれの比率はどのくらいが一般的であり、どのくらいの比率が好ましいのでしょうか? この記事においてその答えはありませんが、各業務量がもたらす影響について考えてみます。

主務について

  • 主務に使う時間が多い場合
    • 事業成果に関わることに時間を使えるため、売上・利益の向上につながりやすい
  • 主務に使う時間が少ない場合
    • 事業成果に関わることに時間を使えないため、売上・利益の低下につながりやすい

仕事の主役はあくまで主務のため、この部分に使う時間が最も多くなります。
一方で、ここですべての時間を使い切ってしまうと他の活動ができなくなります。

「何を主務と見なすか?」という視点もあります。
例えば、情報発信が事業成果や採用に大きな影響を与えるため「主務」と捉えることがあれば、あくまで補助的なものとして「主務の周辺業務」として捉えることもありえます。
ここは、その事業や部門の責任者がビジネスモデル全体や競争力の源泉を何だと考えているかに依存します。

補助的な活動

主務の周辺業務について

  • 主務の周辺業務に使う時間が多い場合
    • 事業活動を生み出すチームのプロセスの改善や、個人の能力強化を通して長期的に価値を生み出す組織力を高めることができる
  • 主務の周辺業務に使う時間が少ない場合
    • 事業活動を生み出すチームのプロセスの不備や、個人の能力不足がある場合、そのままだと事業活動の質が下がったままになる

事業成果を生み出す活動が滞るほど業務のプロセスや、チームの関係性や、個人の能力が不足する場合、ここに割く時間を多めにしないと長期的にはまともな成果を出しにくくなります。
また、目立ったボトルネックを解消した後も、チームの状況は常に変化するため継続的に周辺業務に使うための時間は確保しておく必要があります。 一方で、ここはあくまで補助的な活動であるため、ここに時間を使いすぎると短期的な売上・利益の低下につながってしまいます。

全社活動

  • 全社活動に使う時間が多い場合
    • 全社必須の取り組み、全社方針の浸透や、全社課題の解決や、部門横断の交流促進など全社課題に手厚く取り組むことができる
  • 全社活動に使う時間が少ない場合
    • 全社単位で必要な取り組みが最小限しか実施できなくなる

必須の活動は最小時間で必須要件を満たしつつ、その他の全社課題の解決に向けた取り組みは重要度を踏まえて時間を割り当てることになります。

任意参加の活動

ここでいう「任意参加の活動」は、必須ではないが、「社内交流」「社内勉強会の参加」など各自の判断・好みに応じて行うような活動です。

  • 任意参加の活動に使う時間が多い場合
    • つながりが増えることによって偶発的な好機や主務外での成長につながる交流や知見を得ることにつながる
  • 任意参加の活動に使う時間が少ない場合
    • つながりが増えにくくなることによって偶発的な好機や主務外での成長につながる交流や知見を得る機会が減る

この部分はあくまで補助的な部分ではありますが、長い目で見たときに多様なつながりを得たり、多様な知見を得ることは個人にプラスの影響がありますし、結果的に定着率が高まるきっかけにもなります。また、直接の業務以外での非公式なつながりが部門間連携のきっかけになったり、他部門・他職種の仕事の理解につながったり、より大きな仕事をするようになったときに協力できる相手が増えることにもつながります。

時間を使いすぎる対象ではないですが、逆に時間が少なすぎるともったいない対象でもあります。

全体のバランス

まず「主務」と「主務の周辺活動」についてですが、マネージャーやスクラムマスターなどの場合、主務の周辺活動として挙げた内容がむしろ主務の一つにあたります。
そのため、あくまでマネージャーやスクラムマスター以外の一般的なメンバーのケースで考えてみます。

メンバーのケースのサンプルを考えてみます。

  • 主務 - 70%
  • 補助的な活動 - 30%
    • 主務の周辺活動 - 20%
    • 全社活動 - 5%
    • 任意参加の活動 - 5%

月160時間労働で換算すると

  • 主務 - 112時間
  • 補助的な活動 - 48時間
    • 主務の周辺活動 - 32時間
    • 全社活動 - 8時間
    • 任意参加の活動 - 8時間

です。

ありがちなアンチパターン

  • 主務でほぼすべての時間を使い切っているため、その他の活動ができなかったり、必須の全社活動をこなそうとすると残業前提になる
  • 主務の周辺活動や任意参加の活動に熱心になりすぎて、主務がおろそかになる。一見、多方面に貢献している人に見えるが、実態は主務で成果がでなくなるので評価されにくくなる
  • 問題点を発見したら取捨選択せずにすべて改善をしようとして「主務の周辺活動」ばかりになって、主たる成果を生み出す活動がおろそかになるか、どちらもやろうとして残業時間が増え続ける

まとめ

仕事における主務と補助的な活動のバランスについて考えてみました。

状況によって必要なバランスは変わってきそうで、いろんな方の実情や理想に関する考えを知りたいところです。