対症療法ではなく、原因療法としての問題発見・問題解決能力を高める方法の1例をまとめます。
なぜ原因療法が必要か?
対症療法は短期的にはものごとが改善したように見えるが、
長期的には効果が薄かったり、問題が再発したり、
場合によっては状況が悪化することがあります。
そのため原因療法が必要となります。
とある対象に関して、「真の原因(=真因)を解決すること」(=原因療法)が真の改善です。
原因療法の難しさ
ある問題の真因を理解するには、その症状が発生している出来事より大きなシステムの構造を知り、
その中でどの部分が問題なのかを理解する必要があります。
単に出来事を解決することと比べると以下のような物が必要になります
- より広い範囲のものごとの関連性を理解する
- 各主体の実際の行動とその意図を理解する
- 時間軸も含めてものごとがどのように起こっているか長期的に理解する必要がある
このような特徴があります。
例えば、
- 狭い範囲をみる
- 行動の意図を理解しようとしない。もしくは自分の価値観で決めつける
- ものごとの結果が何の影響を請けたか意識していない
などのようになっていると、真因を見抜くことは困難になります。
誤った療法の例
例えば、テストの点数と褒めること・叱る事に関する回帰の誤謬の話。
「褒めるとダメになる」の話、友人から「回帰の誤謬」のケースがあると教えてもらいました。
— てぃーびー 📺 (@tbpgr) 2017年11月26日
"平均で70点とる実力の人がいて、今回90点とったとして、次回は90点未満の点数になる可能性が高い" →結果として褒めたことによってだめになったかのように見えやすい
※引用部は友人の発言
単純にテストの点が上がった際に、褒めると次のテストの点数が下がっているように見えるので
褒めないようにする、という選択をしたとします。
これはシステム全体が見えていないための誤った選択です。
テストの点が上がるほど、次回以降は点が上がりにくくなる。
つまり点が上がって褒められたあとは点が下がりやすくなる。
そういったシステム構造による点数の低下であり、
「本人が褒められて調子に乗って努力を怠った」
と捉えるのは誤認識であるわけです。
問題の構造を理解していれば、褒めたことが原因ではないことがわかるわけです。
原因療法としての問題発見・問題解決能力を高める方法
ようやく本題です。
原因療法としての問題発見や問題解決能力を高める方法としておすすめするのは
- 意思決定の記録
- 原因と結果の探求
という方法です。
意思決定の記録
自分の意思決定で自身や他人に大きく影響を与えそうなものを記録します。
私は個人的に使っている情報共有ツールの esa.io に記録しています。
実際にどのような媒体に記録するかは各個人のやりやすい方法でよいと思います。
何を記録するのかはさじ加減が難しいと思いますが、続けているうちにアンテナが鋭くなり
どんどん粒度が細かくなると思います。はじめのうちは、自分の直感ベースの粒度でよいと思います。
システム全体の問題を発見する難しさの1つは、広い範囲だったり長い期間によって
実は関係していたはずのものが意識や記憶の範囲外に行ってしまうことです。
そこで、それを記録することによってケアすることがこの取り組みの目的です。
原因と結果の探求
何か出来事があったとき。
それが何をきっかけに起こったかのか、ということを辿ります。
この際に、「意思決定の記録」が役に立ちます。
例えば、私はポッドキャスト「しがないラジオ」にゲスト出演しました。
この出来事は
- 書籍「情熱プログラマー」を読み、ブログの執筆をはじめる
- 私がCodeIQに問題の不備を問い合わせた際に、過去のブログ記事のおかげで出題者としてのオファーをもらうことになった
- 私がCodeIQの出題をしていることやQiitaの記事を多く書いていたことによって id:hkdnet さんと接点を持った
- id:hkdnet さんの疑問にTwitterで答えたことをきっかけに関係性が強化された
- id:hkdnet さんの友人である id:jumpei_ikegami さんがポッドキャスト「しがないラジオ」をはじめた
- id:hkdnet さんも出演するといこともあり「しがないラジオ」をききはじめた
- ポッドキャストの内容について頻繁にツイートしていたことがきっかけでゲストオファーをもらうことになった
- ゲスト出演をした
という原因と結果の連鎖からなります。
上記のような内容から
- アウトプットは機会を増やす
- 人のために行なった振る舞いはよい影響として自分に戻ってくることがある
というようなことがわかります。
こういった事例を認識する回数を増やすと、
出来事レベルではなくシステムレベルであったり、
短期的ではなく長期的にものごとがどのように起こっているのかについて
仮説を立てることや、仮説の裏取りを探す際に役に立つ経験知となり、
洞察力を強化してくれます。
まとめ
意思決定の記録と出来事に対する探求は、今までなんとなく「運がいい」「運が悪い」で片付けていた
事実の真の原因をみせてくれます。
それはかなり印象の強い記憶となり、経験知となり、その後の思考の役に立ってくれます。
この取組自体、半年や1年以上続けて効果を確認するようなものなので即メリットを実感するのは
難しいのですが個人的にはおすすめです。