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Employee Experience Engineer tbpgr(てぃーびー) のブログ

曖昧な状況に対して「わくわくすっぞ」と思えるかどうか~曖昧さ耐性

やったことがない仕事をアサインされたとき、考えることは人それぞれです。

  • A「どんな経験が得られるかな?よっしゃやってやるぞ!まずは大まかに必要な情報を集めつ進め方を検討するか」
  • B「失敗したらどうしよう・・・。もっと具体的に手順を教えて欲しい・・・」

こういった曖昧な状況に対する受け止め方を曖昧さ耐性と呼びます。

今回は曖昧さ耐性について、

  • 曖昧さ耐性が高い人の特徴
  • 曖昧さ耐性の影響
  • 曖昧さ耐性の高め方

をまとめます。

曖昧さ耐性 - Tolerance of Ambiguity

曖昧さ耐性とは、曖昧な状況をポジティブに捉えることができる度合いのことです。

状況の分からないトラブル。上司からの大きな範囲の仕事を方針レベルの共有をもとに任されたとき。すぐには正解が見えない難問を任されたとき。 こういったときに、やりがいを持ってポジティブに捉える事ができる場合、曖昧さ耐性が高いと言えます。

過去を振り返ると、あるマネージャーが曖昧さ耐性の化身みたいな人で、

  • 大変な状況を共有されれば「そんなことになってるんですねー。(ワクワクした表情)さて、どう対応しましょうかね」
  • 全く未経験の大役を依頼されれば「やりますよー。(ニコニコしている)」

といった感じでした。

社内の難問や困り事が常にこの人に持ちかけられ、それを解決し、信頼が高まり、さらに頼られる。みんなの困りごとを解決することで、仲間がどんどん増える。結果として困った状況を一緒に解決すべく協力してくれる仲間が増えるので解決難度が下がる。そんな好循環を生み出していました。

曖昧さ耐性が高い人の特徴

曖昧な状況からポジティブな結果をイメージできる

曖昧さ耐性が高いと、曖昧な状況に対してポジティブな結果をイメージできます。

  • 目的、ゴールを共有され、実行方針をまるごと任されたとき
    • →どうやって進めていこうかな。楽しみだ
  • 方針を共有され、何をやるかから全てを任されたとき
    • →何が重要かな。まずは現状把握をして整理をしよう。大きな粒度で未来を考えるのは楽しいな
  • 詳細な状況が不明な大きな問題の解決をまるごと任されたとき
    • →よっしゃやるぞ!解決してみんなを喜ばせよう

曖昧な状況から行動に移す流れをイメージできる

曖昧さ耐性が高い人は、曖昧な状況に対して、対応をしていく中でどのように具体的に取り組んでいくかまで落とし込んでいくのが得意です。 ある程度慣れてくると大抵の未経験の問題に対して

  • 必要な前提情報の収集をする
  • 解決のために自分が習得する必要がある知識やスキルがあれば進行しながら身につける
  • 実際に解決に向けて施策を決定し、実行する
  • 1回で解決できるとは限らないので試行錯誤を繰り返し解決までやりぬく
  • 困ったことがあれば随時周囲に頼る

というスタンスで捉えることができるようになり、こうなれば、もはやこの抽象度では「未経験」の対象はなくなります。
仕事の中に不明点、曖昧さがあるのが当たり前になる状態です。

曖昧さ耐性が高い場合の影響

経験学習の促進

曖昧な状況でも挑戦し、その状況での失敗をトライアンドエラーの一部として捉えることができるため、経験から学び、成長していくことができます。

他者に寛容になりやすい

曖昧さ耐性が高く、曖昧な状況を多く経験している人は、曖昧な物事には、個別具体的な背景・詳細があることを知っています。
そのため、曖昧な状況に対して偏った推測をして他者を原因とみなし、敵視するような結論に至りにくくなります。
結果として、他者に寛容になりやすくなります。

より大きな成長をしやすく、より大きな成果を出しやすい

曖昧さ耐性が高いと、未経験の業務や難易度の高い業務を担当しやすくなります。
結果として、より大きな成長をしやすく、より大きな成果を出しやすくなります。

曖昧さ耐性を高めるために必要なこと

曖昧さ耐性は先天的なものではありません。後天的に伸ばすことができます。現時点で曖昧さ耐性の高い人は、高くなるような経験を積んできただけです。

例えば、私も元々は曖昧さ耐性が低いほうでした。曖昧な状況を不安に感じ、挑戦を回避しがちでした。
一方で、ある時期から仕事で少しずつ大きな役割を任される機会が増えて、その中で小さな成功を積み重ねる中で、曖昧な状況を受け入れるキャパシティが広がっていきました。

自分自身の振る舞いを思い返すと2つのポイントがありました。

  1. 能力の向上からの機会の獲得 - 仕事に関わる学習が楽しくなっていた時期で、結果としてチーム内で必要となる課題に対して自分が一番知識と経験を持っているという状況が増え、それによって困りごとの解決を任される機会が増える、という循環が発生していました。「任される」→「解決する」→「周りから感謝される」→「周りからの期待が高まる」。この繰り返しで自己効力感が高まり、曖昧な状況からポジティブな結果を連想しやすくなったと考えられます
  2. ふりかえりからの概念化 - ある時期から個人として定期的なふりかえりを実施するようになりました。結果として、過去の経験を概念化して広く適用できるようにすることで、個別具体的な状況としては初経験だが、大まかには類似の状況を経験しているので横展開でなんとかできる、というケースが増えました

こういった経験を経て、現在では人事として曖昧で難しい問題を日常的に扱う立場になっていますが、この状況をポジティブに扱うことができるようになっています。

このように、曖昧さ耐性を高めたい場合、

  • 少しずつ成功体験を積み重ねること
  • 経験から学び取り、新しく出会う事柄に適応できる「思考の手札」を増やす

ことの繰り返しが有効です。

この際、本人だけで実現するのは難しいため、マネージャー・メンターなどがサポートしつつ、

  • 少しずつ難しい仕事に挑戦できるようにする
  • 日々の取り組みへの承認によって、成功できている実感を強化する
  • ふりかえりを促し、「思考の手札」を増やす手伝いをする

などを行っていく必要があるでしょう。

ありがちなのは「自分は曖昧な状況でもなんとかできたからみんなもそうすべき、できないほうが悪い」と最初から突き放してしまうケースかもしれません。
自分はそういったことができるような恵まれた環境を得ることができた幸運に恵まれたのであって、そうではない人がいる。今度は自分が恵まれた環境の一部となって、周囲の成長に貢献しようと思えたら最高です。

まとめ

曖昧な状況に対する受け止め方である曖昧さ耐性についてまとめました。

周囲の曖昧さ耐性を伸ばすこと自体、曖昧で不確実性が高く感じやすいでしょうし、メンバーの曖昧さ耐性を伸ばすマネージャーやメンターには高い曖昧さ耐性が求められますね。

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