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戦略策定フレームワーク「Strategic Capability Network」について

戦略策定フレームワークである「Strategic Capability Network」についてまとめます。

Strategic Capability Networkとは?

Strategic Capability Network(以降、SCN)は、IBMワトソン研究所が開発した戦略策定のフレームワークです。

企業がミッション、ビジョンを実現するために、どのような価値(Value Propositions)を提供することで競争力を保つか?
その価値を提供するにはどのような遂行能力(Capabilities)が必要か?
その能力を実現するためにはどのような実現手段(Enablers)が必要か?

これらを整理することで、戦略を策定します。

KOPTモデル

KOPTモデルEnablersの構成要素をまとめたものです。 KOPTは略語で、それぞれ

  • Knowledge / 知識(スキル・ノウハウ)
  • Organization / 組織や体制
  • Process / 業務プロセス
  • Technology / テクノロジー

を表します。これらで実現手段を整理します。

例1 - 青田さんがまとめた記事の例

だいぶ前に青田努さんがまとめていた人事戦略の記事はSCNにかなり似ています。Enablersにあたる箇所のKOPTの分類こそありませんが、それ以外はValue Propositions/Capabilities/Enablersの構成に読み替えることができそうです。SCNの事例として参考にすることができそうです。

例2 - パックマン99におけるSCN

パックマン99は2021年4月にサービス開始をしたNintendo Switchのゲームです。1000万ダウンロードを達成しています。
このゲームはオンラインで99人がパックマンで対戦をするゲームであり、私は発売からほぼ毎日プレイしています。
執筆現在、世界ランク32位です。

このゲームにおける勝利に向けた戦略をValue Propositionsに置き換えてSCNを試してみます。

  • Value Propositions - システム知識に基づく安定したプレイング
  • Capabilities - 走行戦略, 敵の回避バリエーション, 早期KO獲得
  • Enablers - システム理解, 一定の操作精度, マイクロテクニックの形式化

私は、反射神経や直感でゲームをプレイするタイプではなく、システムの知識に基づいて安定したプレイをするタイプです。これを価値とします。
パックマン99において、この価値を実現するために、3つの能力を活用しています。

  • 走行戦略 - 試合全体をどのように構成するのか、システム知識に基づいて戦略を策定しています
  • 敵の回避バリエーション - 敵の動作や、その他のゲーム仕様を理解することで、直感や反応ではなく、状況に合わせて論理的に敵を回避します
  • 早期KO獲得 - このゲームでは対戦相手を倒すこと=KOをすると、盾が手に入ります。盾を手に入れると敵からの攻撃量を減らすことができるため、早期にKOを獲得できる走法を選択します

これらの能力を発揮するためには、以下のような実現手法があります。

  • システム理解 - すべての能力がシステム理解に基づいています
  • 一定の操作精度 - システム理解をもとにした戦略の実現のためには、安定した操作精度が必要です。一方で、人間性能の制約から「一定の」レベルまでを想定しています
  • マイクロテクニックの形式化 - システム知識を元にした細かなテクニックを言語化し、個別に再現できるようにする

これらの実現手段を更に掘り下げるとより具体的な内容になるでしょう。 例えばシステム理解は

  • ゲームの観察を通してシステム要素を発見し、システムの仮説を閃いたら検証パターンを作成し、検証を通してシステムの仕様を把握する
  • ネットで情報収集をして、他のプレイヤーが発見したシステム要素を把握する

などがあります。

まとめ

戦略策定フレームワークであるSCNについてまとめました。

事業が複数あり、個別に特性が異なる場合は、事業ごとの検討が必要になるでしょう。 その中の共通項が会社全体で持つべきValue Propositions, Capabilities, Enablersになると考えることができます。 その会社が全ての事業に一貫したビジネス戦略と強みを持っている場合、全社共通の要素が大きくなり、逆に個別の事業ごとにビジネス戦略がバラバラな場合は、全社共通の部分は最小限になると予想できます。

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