何かしらの話し合いにおいて、何らかの テーマ について話すことになります。また、わざわざ話し合うということは解決したい問題があります。その点が 論点 です。
このテーマと論点は何かとずれがちです。
常に対象のテーマや論点にフォーカスしてやりとりができればよいですが、実際にはテーマや論点がズレていてお互い全く異なる内容を伝えあっているということがあります。例えば50分議論して、全く意見が噛み合わず、改めて確認してみたら前提がずれていた。実は全く同じ意見を持っていることが最後の10分で確認できて、この会議10分でよかったのでは・・・となるような経験はないでしょうか?
このズレにはどのようなパターンがあり、ズレを抑止するためにはどのような方法があるか考えてみます。
前提
- テーマ - 主題
- 論点 - 主題において解くべき問題
ズレのバリエーション
テーマに対する認識のズレ
話しているテーマに関するズレです。事前にアジェンダを用意しているケースでもそのアジェンダのテーマや論点として記載されている内容に対して全く同じ解釈をするとは限りません。
例えば A さんと B さんの業務範囲が異なる場合、同じテーマのキーワードに関して別の業務をしているかもしれません。その場合、同じキーワードに対して全く別のテーマを思い浮かべるかもしれません。
これは極端な例ですが、例えばカスタマーサクセスの担当と人事担当がオンボーディングについて話す場合に、カスタマーサクセスの担当は顧客向けのオンボーディングを想像し、人事担当は入社オンボーディングを想像しながら話すようなケースです。ここまで極端だと実際はすぐテーマのズレに気づくのですが実際はもっと分かりにくいケースもあるでしょう。
論点の対する認識のズレ
話している論点に関するズレです。特定のテーマに対してそれぞれが大切だと考える論点について掘り下げるために議論していたとします。
お互い掘り下げているつもりだが、どうにも話が噛み合わない。確認してみると、全く異なる論点について話している、というケースがあります。
1つ目のありがちなケースとしては、ミーティングをホストする側の前提共有不足です。ホストする側はそのテーマや論点について把握している状態で挑みますが、参加する側は前提を知るところからスタートです。前提の共有が不十分だったり、わかりにくいとズレが発生しやすくなります。
2つ目のありがちなケースとしては、参加する側が前提に対して異なる解釈をしたり、連想が飛躍して全く別の論点の話をしてしまうケースです。特に人は自分が強く懸念に思っていることや、強く実現したいと思っていることを連想しやすいため、それらに紐づけやすい面があります。
抽象度のズレ
論点の抽象度がずれているケースもあります。
以下のツイートの話題は意図的な例ですが論点の抽象度のズレの一例かと思います。
去年の投稿の再掲。議論の際、論点設定は重要です。SNSでは最初から論点をズラして息巻く攻撃的な投稿も多いですが、無視するか「論点ずれてますよ」とだけ指摘し、相手の挑発に乗って論点のズレた泥沼に足を踏み入れぬのが吉。 #インスタ萌えするロジカルシンキング https://t.co/BnCGabf76B pic.twitter.com/7SKWQJj2tC
— 安田 陽 (@YohYasuda) May 15, 2020
ズレに対する対策
前提を手厚く共有する
ズレに対する対策の一つとして、話し合いを持ちかける側が、前提を手厚く共有する方法があります。
- この話題はどの業務に関わる話なのか?
- どの抽象度の話なのか?
- どの範囲の話なのか?
それらを明示します。関連する話題には上下にトピックの広がりがある場合はその構成を図で可視化するとわかりやすくなります。
継続的にやりとりする相手の場合は、普段からお互いがどのような業務を持っていて、今何に取り組んでいるか把握できているとなおよいでしょう。
常に議論を可視化する
議論を常に可視化することで、ズレが発生しにくくなるとともに、ズレの発生を早期に検知しやすくなります。人が議論の際など短期で記憶できる量には限りがあります。通常口頭のやりとりだけで、その内容を正確に記憶し続けることができる人ばかりではあります。単に記憶するだけではなく、齟齬なく理解している必要もあります。そのため、議論をテキストや図で可視化しながら話すことは非常に重要です。
シンプルなケースではテキストの箇条書きやインデント構成で議論の関連を把握できるでしょう。
一方で、ある程度複雑になってくると図解が必要になる場面もあるでしょう。
自分が意図的にずらして話すときの振る舞い
テーマや論点をずらしてでも共有をする必要がある内容を話す場合は、テーマや論点をずらすことを明示します。
例えば、1段階抽象度が高いそもそも論に立ち返りたい場合、その旨を明示します。
逆に、テーマは抽象度が高い戦略論について話しているが、その是非を話すためには個別具体的なケースへの危惧を共有する必要がある場合、「リスクを共有するためにあえて個別具体的な例を説明しますね」などとその旨を明示します。
他者のズレを感じるときの振る舞い
他者の話がどうもしっくりこない。そもそもテーマや論点がずれているのではないか、と思うとき、自分が考えている場のテーマ・論点を簡潔に説明し、その話題を話しているか、別の懸念を話してもらっているかを率直に確認します。
信頼関係を継続的に高める
異論を話す際には人によって感情的になることがあります。そのため、関係性が悪いとズレをすり合わせようとするやりとりでさらに感情が加熱する可能性があります。
そういった点を踏まえると、信頼関係を高めておく事が重要です。「この人がいうのならまずは聞いてみよう」と思ってもらえるような関係性です。
まとめ
テーマ、論点のズレについて考えました。
ズレのバリエーションについて
- テーマに対する認識のズレ
- 論点の対する認識のズレ
- 抽象度のズレ
をまず紹介しました。
また、ズレに対する対策として
- 前提を手厚く共有する
- 常に議論を可視化する
- 自分が意図的にずらして話すときの振る舞い
- 他者のズレを感じるときの振る舞い
- 信頼関係を継続的に高める
を紹介しました。
ところで、テーマ・論点のズレに関する話とは関係ないのですがパックマン99という素晴らしいゲームがありまして
(終)