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学習能力の高い組織を戦略的につくる CLO( Chief Learning Officer )とは?

組織の競争力の源泉は人材の能力です。
優れた人材を外から獲得する以外に組織の人材能力の総量を大きくするには、人材の能力を伸ばす事が必要です。
そのためには人材が成長するための学習戦略が重要になります。
そこで、学習戦略を受け持つ最高責任者である CLO について調べてみました。

CLO とは?

A chief learning officer (CLO) is the highest-ranking corporate officer in charge of learning management. CLOs may be experts in corporate or personal training, with degrees in education, instructional design, business or similar fields.

Chief learning officer - Wikipedia より

CLO は企業および個人の学習マネジメントを行う最高責任者です。
学習戦略を練ったり、指導設計をします。

対象領域

まだまだメジャーではない役職ということもあり、この役所の役割・責務・知識・スキルに関する情報はまちまちです。

そこで、一般的に学習する組織に必要そうな要素を考えてみました。

意欲向上施策

学習は人から言われてやるだけでは身につきにくくなります。
本人が自らコミットする意欲が必要になります。
その背景には、

組織の Must と個人の Will がつながっていて、自身の未来のために Can を強化したい。それが結果として組織の Must への成果につながる

という状態が必要ではないか、と感じました。
例えば、 1 on 1 で各個人の価値観・強みを知り、各個人が何をしたいのかを把握した上で、そこと重なるように業務のアサインをコントロールする、などの方法がありそうです。あくまで、誘導せずに本人の意欲を引き出す必要があります。

マインドセット変容施策

人のマインドセットには二種類あるとされています。

  • 固定知能観(fixed mindset) - 能力は天性のものと考える
  • 拡張知能観(growth mindset) - 能力は伸ばすことができるものと考える

学習して何かを身につけて成長しようとする意欲が強い人は拡張知能観の人です。
そのため、そもそも固定知能観に陥っている場合は、拡張知能観にシフトするための施策が必要になります。

マインドセットについては下記を参照ください。

社会人基礎力向上施策

「社会人基礎力」とは、「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力(12の能力要素)から構成されており、「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として、経済産業省が2006年に提唱しました。

社会人基礎力(METI/経済産業省) より

一般に、学校教育には含まれないが社会に出て必要となる能力に「社会人基礎力」があります。こういった能力は、仕事の職種・業種を問わずに役立つ基礎力でしょう。

業務ドメイン知識の向上施策

該当企業の業務ドメインに関する能力の学習です。

専門スキルの向上施策

自身の役職・役割に応じて必要となる専門スキルの学習です。
これを行うには、特定の業務を行うために必要な知識・スキルを特定し、細分化する必要があります。

手法

学習に際して必要となる手法について考えます

コーチン

コーチングは他者の成長や変化を促し、能力を伸ばすことを支援をする手法です。

メンタリング

メンタリング(英語:mentoring)とは、人の育成、指導方法の一つ。指示や命令によらず、メンター(mentor)と呼ばれる指導者が、対話による気づきと助言による被育成者たるプロテジェ(protégé)ないしメンティー(mentee)本人と、関係をむすび自発的・自律的な発達を促す方法である

メンタリング - Wikipedia より

計測

エンゲージメントの確認など、成果の有無を確認するために計測が必要になるでしょう。

可視化

個人の意欲を保つためには、達成の自覚や機会の用意が好ましいです。
そのため、学習が進行していることを可視化することで把握できるようにし、その数を多く設定できるようにすることが好ましいでしょう。

CLOの国内事例

ChatWork の事例がありました。

まとめ

CLO についてまとめました。
CLO やそれに当たる役割を専任でおいている会社はおそらく少ないでしょう。
人事関係者が兼任、というケースが多そうに思います。

しかし、労働人口の減少や、単純知的労働の減少傾向により、過去に比べて組織内の各人それぞれの能力が業績に影響する割合はどんどん大きくなることが見込まれます。
となれば、組織の学習能力は競争上重要な要素になると考えられ、 CLO にあたる役割が重要視されるようになっていくのではないでしょうか。

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