概要
システム開発における自律した組織と過度に規律を重視する組織の比較をします
経緯
現在私が本業で所属しているチームや、週一で勤務している外部企業は、 各メンバーが自律して考え、行動する体制をとっています。
週一で勤務している企業に関するエントリーは以下をどうぞ。
この2つの企業と関わる前は、 分業・過度の規律重視・部分最適化ベースの組織に所属する機会が多かったです。 主にSI'erの下請け(多重構造)を想像していただければ問題無いです。 双方の組織を経験した上で、お互いの体制がどのような結果を生み出しているか整理してみます。
比較
項目 | 過度の規律重視 | 自律した組織 |
---|---|---|
開発スピード | 遅い | 早い |
技術選定の自由度 | 低い | 高い |
労働時間 | 非常に長い | 短い |
不合理があるか? | 非常に多くある | あまりない |
ドキュメント | 過度に多い | 必要最低限 |
開発環境の快適さ | 不快 | 快適 |
高スキル者から見た場合 | ストレスフル | 快適 |
中スキル者から見た場合 | 普通 | ストレスフル(ついていくのがつらい) |
低スキル者から見た場合 | 快適 | 無理 |
要する人材のスキル | スキル低めでも可能 | スキル高め必須 |
要する人材の自主性 | 求めない | 自ら課題を見つけ出し行動する |
効能(良い面) | 低スキル者ばかりでも一定の成果物を残せる | 優秀な人の能力を最大限に活かす |
効能(悪い面) | 優秀な人の能力を押さえつける(大抵離脱することに) | 優秀な人が必須。企業理念を浸透させる必要がある |
例示
自律した組織で起こること
- 合理的な改善は即決される
- 楽しさが生まれる
- 気軽に休める
- 長時間労働
- 過度の承認フロー、政治など本質的ではない工程がない(もしくは少ない)のでビジネスのスピードが早い
- 各自が自発的にスキルアップする
- 成果が報酬や評価に結びつく
過度に規律を重視する組織で起こること
- 合理的な改善に時間がかかる or 改善できない
- デスマーチ率が高い
- 楽しくない事が多い
- 気軽に休めない
- 短時間労働
- 無駄な政治で浪費
- サボる人が多い
- 病人が多い
- スキルアップしない人が多い
- 成果が報酬や評価に結びつかないことがある
自律した組織を作るには?
比較を見ると圧倒的に自律型の方が良さそうに見えます。 しかし、なぜ自律した組織を作ることが難しいか考えてみます。
- 自律して考え、行動し、成果を出せるメンバーが必要
- 採用、教育の敷居が上がる
- 社内政治がない(少ない)組織を作る、チーム単位なら政治を回避するのが旨いリーダーがいる必要がある
- 判断の指針を決める企業理念を浸透させる必要がある
- 各自に権限を持たせる必要がある
- 人事権限を持つ人間の人材選球眼が必要