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TOC( Theory of Constraints )の事例を逆再生 #toc

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概要

TOC( Theory of Constraints )の事例を逆再生してみます

TOC とは?

TOCTheory of Constraintsの略で、あるシステムの目的を 継続的に最大化することを狙います。

TOC の解決パターン

TOC では以下のステップで問題を解決していきます。

1. 制約の特定
2. 制約の活用
3. 他のすべてを制約プロセスの決定に従わせる
4. 制約の能力を高める
5. 1 に戻る

1には現状問題構造ツリーを活用します。
現状問題構造ツリーでは現状の問題=UDE(好ましくない結果)を洗い出し原因と結果を表す有向の線でつないでいきます。
各UDEをつないだツリーを作成し、制約(ボトルネック)を発見します。

制約を特定したら、2以降でそれを解決します。
そして、問題の解決には未来問題構造ツリーを活用します。

未来問題構造ツリーでは、制約を改善後の内容に置き換え各UDEをDE(好ましい結果)に置き換えます。

現状問題構造ツリー、未来問題構造ツリーについては下記サイトなどを参照ください。

過去の事例であてはまるものを探す

逆に考えて、過去の事例のうちたまたまボトルネックを改善したものを
TOCの考え方に逆順であてはめ、逆再生してみます。
こういった逆再生の手法はTOC未経験の現場で、新規導入する際の有効性の検証に使えそうです。

事例

前提

とある柔軟性のない意思決定を行う現場の話。
意思決定を持つ上層部は、比較的古めの手法で成果を上げてきた層
激務を続けてきたため、新たな手法へのアンテナはほぼ貼っておらず
旧来の手法を使い続け、激務の中多数の切り傷を残しながらぎりぎりの成功
(はたしてそれを成功と呼ぶかどうかは不明だが)を果たしてきた。
そういった、満身創痍の結果を「成功」のモデルケースとして認識しています。

目次

  1. プロジェクト始動
  2. 暗闇の序盤
  3. 光指す中盤
  4. 虫の息で到達した終盤
  5. 未来問題構造ツリー
  6. 現状問題構造ツリー
  7. 理想の未来問題構造ツリー

プロジェクト始動

そして、あるプロジェクト。

受注時点でかなり無理な条件が突きつけられていました。
社内に誰一人経験者がいない言語での開発。
社内で誰一人経験したことがない大規模開発。
他社が開発に失敗を繰り返している負債満載俺天才、的なシステムの引き継ぎだが、
どうもドキュメントが不足している模様。
失敗原因の分析もないまま、白羽の矢があたった。

今までの手法では成功が難しいことを感じる担当者たち(以降、下層部)。
逆に上層部はなぜか分からないが自信満々。

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暗闇の序盤

プロジェクト序盤、危機感は的中。
要件定義・基本設計フェーズから週休1日の連日終電コース。
ここでも外向けの体裁を取り繕うことや、そもそも問題ないと感じているようにさえ見える上層部。
各成果物の精度は低く無理矢理線表に間に合わせた形に。

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光指す中盤

ここで下層部が一致団結。全員で改善の必要性を上層部に訴える。
かなり時間がかかったが、いくつかの改善を成し遂げる

例えば、メールとExcelベースだった課題管理を課題管理ツールに置き換えたり。
実はこれがこの会社の命綱にもなった。

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虫の息で到達した終盤

続くデスマーチ
相次ぐ離職者
度重なるリリース延期

どうにかこうにかリリースにこぎつけた。 ちなみに、課題管理ツールの件ですがリリース延期時にお客様からの監査が入り
ここで課題管理ツールを導入しておいたことが加点につながっており、
弁解の余地を得る材料になった。
もし、Excelベースのままだったら・・・。

ちなみに、この時に何とか問題を乗り切ったのは社員以外の協力会社のメンバーが主導した結果です。
つまり、人数が不足してたまたま外部に頼らざるを得ないことになった結果の副産物として、
社内のボトルネックの影響を緩和できたのです。
つまり、社内的には何も変えることができていなかったとも言えます。
(改善の経緯を手伝った社員が何か学び取ることができていれば・・・)

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未来問題構造ツリー

改善の結果を未来問題構造ツリーにまとめてみます。

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現状問題構造ツリー

改善しなかった場合に想定される結果を現状問題構造ツリーにまとめてみます。
逆の発想です。

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理想の未来問題構造ツリー

より理想的な未来問題構造ツリーをまとめてみます。

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古い手法が万能だと思い込み、
下の意見を吸い上げるにも時間がかかる。
多くの犠牲に目を向けず、過去のぎりぎりの成功を大成功だと思い込み、
十分な振り返りを行わない。

そういった、謙虚さに欠け、根拠のない意思決定が真のボトルネックだったのでは、と感じます。
この謙虚さに欠け、根拠のない意思決定を行っている層をどう変えるかは、現場の下層部の課題になるのでしょう。
(上層部自身で気づくならもともとこんな事態になっていないはず)

これを乗り越えることは困難、と思えば下層部は外部に流出ry