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「ほめがない状態」はゼロではなくマイナス

組織に関わる難問には多くの場合、人の心理が関わります。
そこで、関連する情報を調べた結果、「組織心理学」というキーワードにたどり着き、「武器としての組織心理学」という書籍を読むに至りました。

武器としての組織心理学 | 書籍 | ダイヤモンド社

この書籍の中で一つ気になったテーマが今回の記事における「ほめがない状態はゼロではなくマイナス」ということについてです。

「ほめない」=暗黙の叱責

『武器としての組織心理学』の第3章 『「隠れた不満」を見つけ、有益化せよ』で、『「ほめない」=暗黙の叱責』という節があります。
その中に以下の内容があります

自分なりに工夫を重ねて仕事をしている部下に上司が何のフィードバックも与えないでいた条件では、 部下は「暗黙の叱責を受けている」と感じていたのです。

これは体験としても、実感があります。以前所属していた組織で仕事に関するフィードバックが良くも悪くももらえないケースがありました。

  • 本当に期待に沿っているのか?
  • 実は誤った仕事の進めてしまっていないか?

など、不安になることがありました。
半期の評価面談など大きめの節目で上司と会話する際に、期待に沿っていることが確認できるのですが、その後はまた半年間自分の仕事ぶりが期待に沿っているのか、不足があるのか半信半疑になる期間が続いたのでした。また、この上司は厳しい場面は厳しい方で、私自身はほぼ叱責されたことがないのですが、他のメンバーが叱責される場面はしばしば見かけることがありました。こういった状況も不安をふくらませる要素だったように思います。

以前会社のブログでもまとめましたが、人は分からないことを推測します。

そして、不明点が多いと不安からマイナスの推測につながりやすくなります。

暗黙の叱責のもたらす影響

上司、部下の関係は部下の仕事ぶりに大きく影響を与えます。 また、チーム全体の仕事の質にも影響を与えます。

称賛・承認は信頼関係の強化につながりますし、逆に継続的に叱責された実感しかない状態は信頼関係の悪化につながります。
結果として上司から叱責をされる可能性のある情報は伝えたくないという気持ちが高まり、

  • 失敗が報告されない
    • 問題が発見されない
  • 積極的な提案がされない
    • 創造的な成果がでない
    • 物事が改善されない

といった状態につながっていきます。

補足

ここでの褒めは、単に形式上おだてることや、「天才だな!」のようなものではなく、

  • 行動、成果、成長などへの承認
  • 行動、成果、成長などへの感謝

であり、伝える内容もいわゆるSBI法に相当するような具体的な情報量のあるものです。

まとめ

上司から部下への承認・称賛が一切ない場合、部下はその状態をプラスマイナスゼロとして捉えるのではなく、マイナスに捉える可能性があるということを踏まえる必要があります。
頻度としても四半期・半期・年次の評価面談等だけではなく、日常のコミュニケーションの中で常日頃伝えていくことが重要です。

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