「組織にとって社員のモチベーションが大事!」みたいな言葉が雑に語られるとき
- 社内標語のポスターでやる気を出すことを強要する組織
- モチベーションは他人が上げるものじゃない!と反発する社員
というような構図を見かけるように思います。
モチベーションという言葉自体がいろいろな意味を持つ言葉ということもあり、すれ違いが発生しやすい話だと思っています。
そこで、
- モチベーションとは何なのか?
- モチベーションは他者がどうにかするものなのか?
- モチベーションが重要になる場面とは?
について整理します。
モチベーションとやる気
ここでは モチベーション と やる気 を比較しつつ、何を意味するどんなものかを整理します。
モチベーションとは?
ここではモチベーションの意味は、 動機づけ に限定します。
動機づけといっても聞き慣れない方も多そうですし、詳細は Wikipedia に任せるとして、要は行動の理由にあたるものです。
ちなみに世間一般でいうモチベーションはこの「動機づけ」の意味と、後述する「やる気」の意味とどちらで語られているのかわからない状態で語られがちです。どちらの意味も持つ言葉なので間違いではないのですが、今相手がどちらの意味でいっているのかは曖昧なら確認が必要そうです。
ここでは、モチベーションとやる気を分けて考えます。
やる気とは?
やる気とは、物事を行う気持ちです。なにがあるとやる気がでるかというと、取り組み対象に向かう意義が自分が大切にしているモチベーションと重なっているかどうかの度合いです。
そして、モチベーションは個々の価値観に紐付いていて、それぞれ何が大切かはことなります。だから通り一遍等の褒め言葉をいっていれば、誰でもやる気がでるかというとそうとは限りません。
「モチベーションを上げる」とは?
ここまでの前提を元にすると、モチベーションはそれぞれの中に存在する行動の理由であるため、他者が上げることはできません。
仮に上げることができるとしたら、やる気です。どのようにやる気を上げるかと言うと、その人に依頼する仕事とその人が大切にする動機を紐付けて依頼することです。結果的に、その人にとって行動する理由のある取り組みになり、やる気が上がります。
ここまでを踏まえて「モチベーションを上げる」という発言のまずい例を出すと
- 上司 .oO (部下がダメなのはやる気がないからだ)
- 上司 「田中くん。もっとモチベーションを上げろ。佐藤くんを見習いなさい」
- 田中 「はぁ(どうこう言われるものじゃねぇよ)」
という感じです。
逆に、本来組織内にいる人を活かすがめに必要なことはおそらく
- メンバーが何を大切にし、仕事を通してでどのようになっていきたいのか(=動機)を知る
- 動機を踏まえて、メンバーの現在地を把握し、本人が望む方向に進むためにはどうすればよいかを本人と話し合う
- 話し合いの結果を踏まえて、できるだけ本人の意向を踏まえた業務アサインをする
ということになるのかなと思います。もっというなら、人の動機は変化します。そのため、これを定期的に実施することが大切なはずです。また、自分自身が何を大切にし、それを踏まえてどんな仕事をしていきたいかが定まっている人のほうがおそらく少数です。だからこそ、定期的な 1on1 が大切なのではと思います。
ちなみに、モチベーションは内発的なもの(自分の内からくるもの)と外発的なもの(いわゆるアメとムチ)があります。
内発的な動機づけは、内に根ざしている必要がありますが強く・長く続きやすい。
外発的な動機づけは、内に根ざしている必要がなく、効果は短期的になりやすい。ただ、何かのきっかけを提供する手段にはなる。
そういった特性があります。
粛々と定型業務を行うような場合には外発的な動機づけでもいいかもしれませんが、
- ストレッチな目標に立ち向かう
- 越境して問題を解決する
- 自発的に問題を発見し周りを巻き込む
- 人に関わる正解の見えない難しい問題に対して諦めずに取り組む
あたりになると、内発的動機づけに支えられるような強いモチベーションが必要となると考えています。
このあたりも、どちらを対象に考えているかで認識が変わりそうです。