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Employee Experience Engineer tbpgr(てぃーびー) のブログ

キャリア的負債

仕事において、人がキャリアアップしていくために必要な要素としての

  • 能力(知識・スキル)
  • 実績(ひとかたまりの成果)

があり、これらの正負をキャリア的貯蓄・キャリア的負債と捉えて考えてみます。
※なお、キャリアに関わる要素は他にもあると思いますが、今回はこの2要素を扱います。

キャリアと能力と実績

人は能力が増えると、よりよいキャリアの機会をつかみやすくなります。

実績は、多くのケースでは能力向上と連動しやすいですが、必ずしもそうとは限りません。
例えば、たまたま優秀なメンバーに恵まれて成功を掴んだチームにいた、という実績がありえるでしょう。
このあたりは、ふろむださんの「 錯覚資産 」に通じる部分ですね。
社内外において新たな機会を掴む場合に、過去の実績が実際の能力とは別に一定の判断材料になることはよくあるでしょう。

よって、基本的には能力・実績の双方がキャリアに対して影響を与えるものとします。

キャリア的貯蓄

キャリア的貯蓄はキャリアを伸ばす上で必要な能力・実績が一定以上高まっている状態をさします。
一定以上と言っているのは、実際の社会人として年数の割に貯金が低いと評価を得られにくくなっていくためです。
常に一定以上の能力向上・実績積み上げをしていて、ようやく貯金ゼロの状態と考えるということです。

例えば、年収水準が下がるが、新たな能力・実績を得ることができる会社に転職することは、キャリア的貯蓄を増やす行為と言えます。
しばらくすれば、それは下がった年収以上のリターンとして、その後の年収に影響してくるでしょう。

キャリア的負債

キャリア的負債はキャリアを伸ばす上で必要な能力・実績が一定以下である状態をさします。
例えば、やったことがある仕事しかアサインされていない状態で、実績としてもアピールしにくいものの場合、キャリア的負債となります。

ありがちなのは、受託開発の下請けで必要最低限のことができるようになったあとも、同じような仕事しか割り振られないという状況です。

企業と社員の関係

例えば、企業からみて社員にやってほしいことがあり、それは企業の利益につながるとします。
しかし、社員から見てそれがキャリア的負債だった場合、

「企業からは感謝され、評価され、居心地はいいがキャリア的負債がたまっていっている」

という状態になります。

今の時代、どんなに大きい企業でもいつなくなるかわからないと言われています。
それを踏まえると、個人はキャリア的負債を回避するように振る舞うことが好ましく、企業も真に社員の人生を考えるなら社員のキャリア的貯蓄がたまっていくようにしていくことが好ましいように思います。

言い換えるならば、個人のキャリア的負債を承知で企業が成果のためだけの業務アサインをする場合、個人の人生をリスクに晒す代わりに企業が潤うという構図になります。
これは関係性として健全ではありません。
逆に個人が自身のキャリアばかり優先して、企業の成果に貢献しないのも健全ではありません。

このあたりは、 LinkedIn の提唱するアライアンスのように、企業の Must と個人の Will をすり合わせる仕組みがあるとよいのでしょう。

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まとめ

いい組織をつくり、採用ブランドを高め、採用マーケティングで認知される。
そういった採用施策が増えている昨今ですが、「いい組織」の中には社員が良質なキャリアを積み重ねることができること、という点が重要な要素の一つとしてあるように思います。