誰かに何かしらの行動を期待するとき。
例えば、会社の同僚。
例えば、自分が関わるサービスのお客様。
例えば、家族。
記憶が大きく関わります。
この記事は書籍「人は記憶で動く」の読書メモです。
人は記憶で動く 相手に覚えさせ、思い出させ、行動させるための「キュー」の出し方
- 作者: カーメン・サイモン,小坂恵理
- 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
- 発売日: 2017/05/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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コミュニケーションと行動
人が何かをきっかけに行う行動は以下のような順で起こります。
- A時点で伝達者が行動者に情報を提供する
- B時点で行動者が思い出して行動する
便宜上、A時点を 「記憶時点」、 B時点を 「行動判断時点」 と呼ぶことにします。
(これは書籍中の定義ではなく、私の独自定義です。)
この2つの間に起こること、関わる要素について更に詳しくみていきます。
行動の3分類
人が行動をする際のプロセスには大きく分けて3種類あります。
- 条件反射
- 習慣
- 目標指向
条件反射
熱さ、美味しさなど本能的なものに基づいた行動です。
習慣
過去に報酬をもたらした行動は繰り返されます。
そして習慣化すると意識せずに行動を繰り返すことができるようになります。
目標指向
過去の情報に基づいて結果を予測して行動するだけではなく、
新しい情報をもとに行動を決めます。
記憶の過去と未来
※脳みそですよ、脳みそ
時間軸で考えるとき、記憶には2種類あります。
- 回想記憶 - Retrospective memory
- 展望記憶 - Prospective memory
回想記憶
過去に関わる記憶です。
例えば、知識や経験に関わる記憶など。
回想記憶はさらに以下に別れます。
エピソード記憶 は個人が経験した出来事に関する記憶です。
意味記憶 は物事の意味を表す記憶です。
エピソード記憶に含まれる各用語、概念などは意味記憶と関係しています。
手続き記憶 は技能やノウハウなど一連のパターンの記憶です。
言葉では説明しにくく、体で覚えているようなものが多い。
例えば泳ぎ方、自転車の運転の仕方など。
展望記憶
未来に関わる記憶です。
例えば
- 仕事帰りに卵を買って帰ること
- 1ヶ月後に発売の本を買うこと
など。
行動と記憶の関係
行動と記憶の分類について把握したところで、これらの関係を整理します。
人の行動は以下で決まります。
- 条件反射
- 習慣
- 目標指向
これらの行動の判断基準には記憶が必要です。
「記憶時点」で相手にこれらの判断を促す情報を記憶してもらいます。
この際にこの意図を連想させるキューを用意します。
相手にとって行動する価値があれば展望記憶として植え付けられます。
そして「行動判断時点」でキューによって記憶を思い出し、
その内容をもとに展望記憶を思い出し、実際に行動をします。
例
ガッキーが主演する新ドラマのCMを見かけたとします。
これは記憶時点です。
「月曜夜9時」というキューが繰り返し告知されているとします。
過去の記憶を元に「ガッキーマジ天使。見ると癒やされる」と思っている誰かにとって見る価値がある番組と判断され、
展望記憶として植え付けられます。
「行動判断時点」である月曜になり、「月曜夜9時」のキューを元にガッキーのドラマのことを思い出します。
実際にドラマを見ます。
判断基準
「記憶時点」で展望記憶に残すかどうか判断されるときや、
「行動判断時点」で実際に行動するかどうか判断するときの評価基準には
以下のような要素があります。
- 努力 - 必要な努力
- 時間遅延 - どれだけ待てるか
- リスク - 許容できる不確実性
- 社会的側面 - 関連する相手への影響
これらと行動によって起こるであろう利益を比較して判断をします。
この際に、利益について思考するのもコストについて思考するのも
過去の記憶に大きく影響されます。
このため、相手の行動を促すような記憶を多く提供することが重要となります。
ちなみに行動が伴わない人というのはおそらくこれらのコストを押し上げるような
過去の体験を大量に積み重ねてきているのでしょう。
忘却曲線
人は繰り返し記憶を強化する機会を持たなければどんどん忘れていきます。
経過時間 | 記憶率 |
---|---|
20分後 | 58% |
1時間後 | 44% |
1日後 | 26% |
1週間後 | 23% |
1ヶ月後 | 21% |
つまり、「記憶時点」から「行動判断時点」で情報を覚えていてもらうためには
忘却されない工夫が必要ですし、記憶時点で展望記憶化することを判断してもらうために必要な
情報も忘却されない工夫が必要ということになります。
記憶に残す工夫
記憶に残すためには以下のような要素をできるだけ多く持つように工夫して
相手に情報を伝える必要があります。
- 文脈
- キュー
- 独自性
- 感情
- 事実
- 馴染み深さ
- 動機
- 斬新さ
- 情報量
- 妥当性
- 繰り返し
- 自己生成的コンテンツ
- 感覚強度
- 社会的側面
- 驚き
詳細は書籍で!
まとめ
ところで何の話をしてたんでしたっけ?