暗黙知の形式化についてあれこれ考えていました。
ここで対象とする暗黙知は各個人が持つ「 固有技(RPGっぽい) 」的なものです。
正規な手順として業務に組み込まれているようなものではないが、
各個人が個別のタスクを実施する際に行う工夫です。
例えば、何か定型で処理できそうな大量のテキストデータがでてきた時に
- ちょっとしたスクリプトで作業を簡略化
- ちょっとしたExcel芸で作業を簡略化
- ちょっとしたShell芸で作業を簡略化
- ちょっとした正規表現で作業を簡略化
- 部下に丸投げすることで作業を簡略化(?)
- 神がかり的な手作業で短時間で達成
など、ひとそれぞれのテクニックがあると思います。
こういった暗黙のテクニックを伝承可能な形にしたいと考えています。
暗黙知が形式化する瞬間
暗黙知が形式化する瞬間について考えてみましょう。
などが考えられます。
ただ、ここで挙げた内容は暗黙知の持ち主が自分の持つ暗黙知に
自覚的であり、自身で形式化可能であり、人にシェアするマインドの持ち主である必要があります。
「ババッとやってグアッとやってモリモリッとやればいいんだよ!」
というような感覚派の人や
「えー、教えるのがめんどいよ」
というような人からは拡散されません。
暗黙知形式化の手順
そこで暗黙知形式化を能動的に行うための手順について考えてみました。
これを Sharain (【ʃeəréɪn】)と呼ぶことにします。
Share + Brain = Sharain です。
Sharainをはてなのお題にしました。
興味のある方は参照・投稿してみてください。
1. 暗黙知を書き出す
二人以上で行います。
最低限必要なのは
- 暗黙知を持つ作業者
- 質問者
暗黙知を持つ作業者は組織・チーム内で最も優秀な人から順に選ぶのが好ましいです。
強い人の技を習得可能にすることで、最も効果的に全体のレベルアップをすることが可能だと考えられるからです。
質問者は細かな疑問を持つ視点に長け、物事を抽象化するのが得意な人物が好ましいです。
暗黙知を書き出す際は
- 最小化された手順
- 各手順に対応する思考
を書き出します。
これにより「達人が何を考え、何をしているのか?」が可視化されます。
記載が曖昧なものについては可能な限り具体的な内容にしていきます。
2. 形式化可能な事例を抽出する
書き出した手順の中から習得可能に見えるひとかたまりの手順を抜き出します。
3. 抽出した事例を抽象化する
抜き出した手順は「 形式化された固有技の具体例 」です。
これを抽象化することで、より抽象的なテクニックとして形式化されます。
形式化する際は パターン・ランゲージ のような形式で統一するのが好ましいでしょう。
※パターン・ランゲージについては井庭崇先生の情報が詳しいです
「パターンランゲージ ワークショップ ~企業の創造的成長のためのパターンランゲージ3.0~」(井庭崇)
抽象化前の具体例はこの形式化されたパターンの具体例としてリンクすると、
後に参照した人が理解する一助となるでしょう。
4. 抽象化した形式知を学習可能にする
抽象化した 事例を身につけるためのレッスンメニュー を考えます。
具体的な事例から抽出してきているので、
事例自体がレッスンメニューのもとになるでしょう。
まとめ
まずは多くの場面でこの手法を試してみて、事例を増やしたいと考えています。
「興味があって実践してみた!」という方がいたら、そのレポートを是非拝見したいです。