CodeIQで業界未経験の優秀な人材を効率良く狙い撃ちした話について。
経緯
今年度に入ってから、チームが新たな局面を迎えています。
今までは社内の1システムを主として,その他にいくつかのシステムを保守していたのが、
会社全体を見据えたシステム群の設計・開発をすることになりました。
技術的にも新たに導入が必要なものが多数あり、新規メンバーが必要となってました。
※ちなみにシステム開発とは別の本業を行う親会社のための開発会社であり、
現状では社名をアピールすることが推奨されていないので匿名にします。
そのうち状況が変わるかもしれませんが。
前提
転職市場
ちょっと古い記事ですが、「なるほど」と思える記事があります。
第1回 エンジニアがなかなか採用できないワケ - なぜ,エンジニアの採用は難しいのか?
ポイントは以下です。
- 転職したいエンジニアは2割
- 絶対転職しないと思うエンジニアは1割
- 転職潜在層は7割
「一般の転職サイトなどに登録しているエンジニア」=「転職したいエンジニアは2割」は
入れ替わりが少ない。
しかも、企業側が広告を出すタイプの採用の場合
この少数の中にいる、さらに少数の優秀なエンジニアを他の募集企業と競うことになります。
現在は手を動かして開発を行うことができるエンジニアにとっては売り手市場です。
私達は少数で開発を行っていて、管理や設計だけしかしないSEは不要で
実際に手を動かすプログラマが欲しいので、この激しい競争に勝つ必要があります。
位置づけ
- 既に著名エンジニアが所属していたり、外部にも広く名前を知られているようなシステム開発会社
- 無名で発展途上だが、合理的な判断ができて現場をどんどん良くすることができる会社
- 政治、しがらみ、制約などでまともな開発ができない会社
の分類でいくと、私達の組織はbになります。
このbというのは結構難しいもので、過剰にアピールしても嘘臭さが増してしまいます。
しかし、下請け開発などで様々な現場を見てきた経験からするとcの現場の数が多く、
そこに不満を持ち、せめてbでもいいので転職したいと考えている開発者は少なくないはずです。
また、cの現場にいる人の中にはいきなりaに行くのはレベル的に難しく、選択肢としてaが外れる人もいるはずです。
bの特徴を持っているため、開発環境・体制・ツール面などに関しては既に
Slack, esa.io, GitHub, Trelloなどを導入済みです。
もちろんツールは手段であって目的ではないのですが、これらを導入している時点でも
そういった判断ができる組織である、ということはアピールできます。
社内政治や低スキルメンバーの学習コストのために、本来入れるべきものを導入できない
企業よりは優位に立っています。
裁量
私の上長は社内での信頼も厚く、人事に関する決定をチーム独自で行うことが
できるのもポイントです。
技術者のことを知らない人事部に採用方針を任せざるを得ない組織というのも多くあるでしょう。
その点において、予算以外に関しては自由な選択肢で採用を行うことができます。
選択肢
採用の選択肢としては
- 広告を出して求人するタイプ
- エージェントに依頼するタイプ
などが従来型として多いもの。
また、 Wantedly、CodeIQ、カンファレンス 本当に有効なのはどの手段? の記事にもあるように
- 会社訪問型
- ポートフォリオ型
などもありますが、これらの媒体で求人をしている企業は
ある程度ネームバリューがあったり、既にかなり魅力的な職場が多いように見えます。
現状では無名であり、既に良い現場であることを広くアピールすることが必要とされる
これらの媒体では現状競争に勝てそうもない、と判断しました。
そこで、私が出題者をしていることもあり CodeIQ を選んでみました。
なんか、こういった立場上ステマっぽく見えますが、
小さな組織で少数で開発をするための限られた予算の中での採用であるため
真剣に考慮したうえでの選択です。
なぜCodeIQか?
コードによる評価ができることもありますが、
- サービス自体が、転職潜在層を多く取り込むように考慮されている
- スカウト型であること
です。
そもそも序盤に紹介した「第1回 エンジニアがなかなか採用できないワケ - なぜ,エンジニアの採用は難しいのか?」の
執筆者であるサカタカツミ氏がCodeIQのプロデューサーなので当然といえば当然ですね。
他の求人媒体ではリーチしにくい
「プログラミングが好きで、転職希望度は高くないけど
希望にあう企業から誘われれば転職するかも」、という層が多くいます。
私達のような、無名だがアピールできるポイントもある。
しかし他の大きな企業に比べると見劣りするという立場からすると
一人ひとりの求職者がプロフィールに書いている希望条件やスキルセットを読み、
自社と条件が折り合うエンジニアを探しだし、一人ひとりにパーソナライズした
文章でアピールする、という方法が勝ち筋だろうということになりました。
転職希望者のコードを見ることができる点ももちろん判断材料として大きいのですが、
ポイントとなったのはスカウト型であることと転職希望者のプロフィールです。
実際の所、この欄の詳細まで埋めてくださっている登録者は少ないです。
しかし、詳細に埋めてくださっている方は
- 個人で開発したツールやサービス
- 個人ブログやQiita
- どんな技術に興味があるか?
- どんな現場で開発をしたいか?
を事細かに記載してくださっています。
こちらから求める開発力という点ではかなりのレベルで類推できます。
採用手順
実際に採用した際の手順が以下です。
フィルタリング
私が転職希望者のプロフィールを元に候補者のフィルタリングを行います。
プロフィール欄をもとに開発力を類推し、気になる候補に関してはさらに解答コードを確認します。
そして候補者ごとに魅力的な点、自社とのマッチング度や
逆に現状マッチしないが努力によって解決できそうな点を
要約しておきます。
厳選
採用の決済権を持つ上長に、私がフィルタした候補者とメモを元に
実際にどの候補者にアプローチするか選択してもらいます。
入魂
個別の候補者に合わせて全力でアピールをするパーソナライズされた文章を作成します。
社長・上長・私で文章のレビューを行い仕上げます。
そして、スカウト文を送信します。
返信
スカウトを受け入れてくださった候補者から返信があります。
今回は2名にスカウトを送信して、1名返信をいただけました。
もう1名は元から転職希望度が低く設定されていたことと、レベル的に相当高そうだったため
はじめからダメでもともと、という感じだったので心情的には1/1で必中となりました。
Meetup
社長、上長がMeetupを行いました。
この際に、自社の説明を行い改めて応募していただけるか確認をしました。
自社が発展途上であり至らない点もあることを正直に共有します。
嘘をついて採用しても、そのうちボロがでるし良いことはありません。
決定
そして採用試験を経て採用が決定しました。
方法は・・・秘密。
ちなみに私が自社に応募した時は、
Twitterでのスカウト-ペアプロ試験-役員面接の流れでした。
今回の候補者の方は30歳を過ぎていてシステム開発会社での業務はなしです。
しかし、趣味でプログラミングを行っておりその成果をブログにアウトプットしています。
アウトプットをみるとレベルが高く、泥臭い現場にいる下手な10年戦士では相手にならなそうです。
もちろん実務経験がないことによる経験不足もあるでしょうが、そのあたりは簡単に覆るでしょう。
おそらく履歴書と職務経歴書+従来の転職支援サービスではシステム開発の会社に転職するのは
難しかったと思われます。仮に可能だったとしても人投げ系のry
私たちとしては実際に開発力があるなら履歴書や職務経歴書の内容などどうでもいいのですけどね。
そして出社
10月1日に彼の初日出社となりました。
たった1日ではありますが、地頭の良さが伝わってきて「よい採用だったな」と満足しています。
引き続きよろしくお願いします、Aさん。
※勤務日としては10月2日もありますが、私は毎週金曜日にクリエイターズネクスト社の業務を手伝っている関係で 2日の彼はみていません。
おまけ
残業
本文中には含みませんでしたが、弊社は基本的に残業がありません。
私は在籍2年半です。前職では恒常的に毎月100-150時間程度の残業をしていましたが
現職では2年半の残業合計時間が前職の1ヵ月分の残業時間よりも少ないです。