概要
自分自身が怒ったわけでも怒られたわけでもないのですが、
第三者として技術力不足を怒る上司と怒られる部下の姿を見る機会が多かったのでこのようなケースを分析します。
アンチパターンとして注目し、日常の部下教育に活かせていければ良いと思います。
技術不足に激怒する上司
どの現場にも怒りっぽい上司というのは居るものです。
システム開発の現場に居る怒りっぽい上司というのは以下のような人が多いのが特徴的です
※主観なので反論は認める
・自分のスキルレベルと同等のレベルを求める
・話している内容は正論
・自分の判断で簡単だと思っていることに対してメモを取る猶予を与えない
・細かいミスに対しても指摘をする。下手をすると日本語の文法や話し方まで
・マルではなくバツをつける
「なんでこんな非効率なやり方をしているんだ!こうやれ!」
・一気に多くの指摘を行う
・早口
・高度な技術用語、略語を多用する
・分かって当然、という話し方をする
※そのため、言われる側はわかっていないとは言い難い
技術力不足を指摘された部下の反応
このような指摘を毎日受け続ける部下が指摘された内容を改善するのは
稀であるように見受けられます。
何故改善しないのか?このような方法で怒られてる部下について考えてみます。
・無理難題ともいえる指摘内容を覚える意欲すらわかない。
沸き起こるのは上司への怒り、無力感、自信喪失など。
・技術的に難しい話題をまくし立てられるため、正論なのかどうかも判断出来ない
・メモを取れないので、指摘内容を後で調べ直すことも出来ない。人間の記憶力には限界がある
・粗探しのような扱いを受け続けると、極力その上司と関わろうとせず、話しかける回数が減る
・バツを付けられ続けることによる自信喪失
・多くの指摘を受けすぎて内容を把握出来ない
・怒られていることに意識がいくことで技術的な指摘内容に集中できない
・常に監視されているような感覚で日常作業時にパフォーマンスを発揮できなくなる
・説明の中にも分からない用語や技術内容が多すぎて説明を聞いても何を学べばよいのか、
何を質問すればいいのか判断できない
引き起こされる結果
・上司を恐れるあまり、関わる部下のほうれん草が減る
・上司に会話が届く事自体を恐れ、オフィス全体の会話が減る
・部下たちは技術が嫌いになる
・ほうれん草が減ることで、開発情報が隠蔽されリスクが高まる
・雰囲気が悪くなり全体のパフォーマンスが下がる
・開発メンバー全体のストレスがたまる
直接怒られていなくても人が怒られているのを毎日頻繁に聞くのは
ストレスがたまるものです
・環境が悪化するために上司は更に不機嫌になる
以下ループ
上司はどうすべきか?
もちろん仕事をしていれば部下を叱る事自体が必要な場面もあるでしょう。
遅刻であったり、バグの発生を隠していたりなど。
しかし、技術力不足に対して叱る事に果たして意味があるのでしょうか?
仮に頻繁に指摘しても改善されない場合、それは指摘を行った側の教え方が悪いのではないでしょうか?
私達開発者が取り扱う世界は0と1で成り立つデジタルな世界ですが、
それを作るのはあくまでも人間であり部下たちはアナログな存在です。
正しい情報を与えれば全てを記憶して常に正しい結果を返すコンピューターとは異なります。
その時点で部下の技術力が不足していることは動かし用がない事実です。
ならばリラックスして技術自体を丁寧に教えることが重要ではないでしょうか。
さらにここから段階を上げ、部下に自発的に技術力を吸収するように促す方法を考えるほうが生産的ではないでしょうか?
ここまでを踏まえて技術力不足に対する指摘を行う際は
▼リラックスして吸収してもらう段階
・相手のスキルレベルにあわせて話す内容を判断する>コンテキストが重要
・メモをとれるような猶予をあたえる。メモを取ること自体を判断出来なそうならメモを取ることを促す
・あまりに細かいミスは指摘しない。時には受け流すことで円滑になることもある。
・バツではなくマルをつける。
「こういうやり方をしたらもっと効率出来てオラオラオラオラ!って効率出来るぞ!」
・一度に行う指摘は少な目に。仮に一定数以上の指摘を行う場合は必ずメモをとらせる
・複数の開発者に同じような指摘をする機会が増えたらWiki化して共有する
・リラックスして聞いてもらえるようにする。ユーモアのある人は織り交ぜて。
なければ最低でも威嚇するような態度はとらない
・抽象的な説明だけではなく具体例を挙げる。
・余裕があれば教えた内容を箇条書きでメモして、あとで覚えているか確認する
※指摘済みの内容を覚えて貰えない場合があったら教え方を変える必要がある
▼自発的な学習を促す段階
・楽しさ、驚きを伝える
技術によりどんな便利なことや、どれだけ効率化が行えるかをポジティブな言葉で伝える
・具体的な改善例を見せる
実プロジェクト上で、Before/Afterで成果を見せる
・リラックスした環境、楽しさが伝わると部下が技術力の高い上司に自発的に質問するようになる
ナレッジの共有。教える側の技術力も向上するため生産性アップのスパイラルが発生する。
※しかし現実には業務以外では全く技術を学ばない人がいます。
そういう場合、そもそもその人を採用したのが間違いなのでは・・・
毎日怒り続けるよりも、主要業務から遠ざけてしまうほうが生産的に思えます。
おまけ
技術屋っていうのはインドア派で内向的な人が多い業界(反論は認める)なので
叱られて奮起するタイプって少ないじゃないかな、ということも思ったり。
勉強不足を怒る気持ちも分からないでもないですが、怒ったことで何か生まれるかと言われれば何も生まれないわけで。
さて、ここまで偉そうに書きましたが、私自身も発展途上であるためまだまだ視野も狭く的はずれな指摘が多いとは思います。
長文にお付き合いいただきありがとうございました。