採用市場の現状と企業に必要な施策をもとに必要な役割と責務をまとめてみました。
- 個人の採用に関わる断片的な現場経験
- HR 界隈の方との情報交換
- 多数のカジュアル面談で経営層の方々と組織のお話をした上で得た知見や現実の悩み
- 転職したい側のエンジニア・マネージャーとの交流が多数ある
- Web の情報
などが思考のベースになっています。
状況
売手市場の加速とその継続
技術系(IT・通信) の求人倍率は 7.22 倍
潜在層と顕在層
-- | 人数(万人) | 比率 |
---|---|---|
国内のエンジニア | 72 | 100% |
転職潜在層 | 49 | 68% |
転職顕在層 | 1.2 | 1.6% |
転職意志がない層 | 21.8 | 30.2% |
潜在層はわずか 1.6% を奪い合う超激戦区。
主流は潜在層狙いに移行していく方向へ。
今後の採用手法の主流
このイベントのツイートをウォッチしていたのですが、おそらくここでやっている手法が現状にあった採用方法になっていくのかな、という感じでみていました。
前提として、潜在転職層がメインターゲットになる。 そのため、
転職市場に出る前の人材といかに接点を作ってるかが重要 になる。
これは、
- 組織が潜在転職者に認知され、好意的に受け取られていること
- 組織内の個人が潜在転職者に認知され、好意的に受け取られていること
- 組織内の個人が潜在転職者と直接交流をしていること
などが必要であることを意味する。 その上で、
- 個人が転職を意識したタイミングでその組織および組織に属する個人が連想してもらえること
- 個人が転職を意識する前でも、その組織や個人に強い関心を持ってぜひ話を聞きたいと思うこと
- 関心を持ってくれる人が組織の事をよく知ってくれていて、アンマッチな人は最初から寄ってこない
などが次のアクションとして必要になる。
その意味で、
- 自社がどのような強み・魅力を持つ組織なのか?
- どのような気質の人が欲しいのか?
- どのような能力を持った人が欲しいのか?
- 実際にそういった属性の人はどの程度いるのか?高望み過ぎないのか?
などはできるため明確にし、可能な情報は調査していく必要があるでしょう。いくら自社が知られても、どこにも存在しない人を求めても得られないので。
これらを起点に カジュアル面談 や、個人間の相談などをきっかけに入社について意識してもらうきっかけをつくる。
ここで、お互いを深く知り、求職者の求めるものと組織が求めるものがマッチしていたら口説き落とす。
ということが重要になるのでしょう。
その上で必要な施策として
が必要になる。そのために
- 全社で採用にコミットしていける体制
- 専門性をカバーするスペシャリスト側
- 広報に注力する人事部門側
- 両者の連携
が必要になる。
どうやって実現していくか?
現状を元に、厳しい採用市場で潜在層にリーチしていくために上述したような施策が必要として、そこにどんな役割・責務が必要か?
なお、同じ人が複数の役割をすることもあると思います。
以下に挙げるような役割のすでにあるのか、まだないのか、によって追加で必要な人材や既存の人材に新たに覚えてもらうことが変わりそうですね。
旧来の顕在層向けの施策しかやっていない企業の場合は、かなり揃っていないケースが多いのではないでしょうか。
また、内容はあくまでどの組織にも必要になりそうな共通項として挙げているので役割・責務ともに状況に合わせたもっと具合的な別の内容もあると思います。
現状は主に先端 IT 界隈が特に人材不足が激しいので、潜在層へのアプローチが必要になっていますが、労働人口の減少や難易度の低い職業が減り、高度の職業が残っていくことを考えると、今後はこういった採用施策は他の業種・職種にも広がるようにも思います。
そうなると、こういった施策のノウハウはのちのち他業界に向けたコンサルなどにもなっていきそうですね。
採用戦略 Role
全体として上記の現状・対策の必要性を理解して、戦略を練り、組織全体に適切に伝え、相手に伝わり、行動に落とし込んでいくための協力を得る状態に持っていき、実際に実施の旗振りをする役割。
まず、入り口として今までと大きく異なるやり方が必要ということの認識統一し、広め、方向性を決めていく意味で初期に一番重要となる役割だと思います。
- 責務
- 戦略立案
- 組織レベルでの採用ターゲットのペルソナや入社からオンボーディング・活躍・離職までのエンプロイージャーニー的なものの作成
- ステークホルダーへの説明・協力依頼
採用アライメント Role
採用・人事・育成・離職対策は施策の範囲が広いため、関連するステークホルダー全体に対して足並みを揃えていく役割。
内容的には戦略 Role を持つ人が兼任しそうな気がする。
- 責務
- 全体方針の連携
- リファラル施策など、全社員での採用に向けた連携
採用ブランディング Role
ここでは、採用面で見た組織の魅力をいかに増幅させるか、作り上げるかを検討し、実行していく役割。
採用視点でみると動機づけ要因、衛生要因への施策を行っていくことや、
組織独自の魅力を関係者と連携して作り上げて、言語化していくこと。
どの組織であっても
「 その組織に勤めることでしか得られない社員からみた強い魅力 」
が必要だと思っていて、それがなければ結局は一般的な条件面でより優位に立てる企業に負けてしまいます。
特に独自の魅力づくりはビジネス・モデルそのものや、 MVV とも絡んでくるので経営層との密な連携が必要でしょう。
など、で現状を確認しつつ改善したり、社内で eNPS を計測したり、独自 Survey などで確認しながら改善していくような形になりそう。
まだ、β版ですが、衛生要因向けならハイジも選択肢に加わってくる?
また、採用市場が激化していることや、海外比で給与基準が低いということは、採用競争上も単価を上げていく必要があります。
となると、ビジネスモデルの質を上げることや、花形的な利益率の高いビジネスモデルの製品・サービスをあらたに創り出すことで利益率を高めることや、生産工程の改善により、利益率を高めることの意味が重要になりそうです。
いくら崇高な MVV を持っていても、あからさまに給与が大きく劣る組織に優秀な人が来るとは思いにくいので。
ちなみに生産性の話は、特に拡大期のベンチャーでは後回しになりやすいでしょうし、採用したいけど生産性が低くて利益が低いので高い金額でのオファーを出せない、という場合にまずは生産性を高める役割の人を入れるのは有効そうです。
チームレベルでは Engineering Manager であり、組織レベルでは VPoE ということになるのかな?
採用マーケティング Role
ブランディング施策で作り込んだ魅力を外部に発信していく役割。
- 責務
- 各種媒体の活用
- オウンドメディアでの発信
- イベントスポンサー
などがよくある施策だと思います。
現場の協力が必須になるので、 アライメント Role の担当と協力して進めることになるでしょう。
まとめ
表に見える情報から必要となる役割、責務を類推してまとめてみました。
実際、各社では上記のような話がどのくらい整っているのか、興味があるところです。