企業「カジュアル面談にきてくださいよ」
求職者『はい、ぜひ』
企業「弊社を希望した理由は?」
求職者『は?』
求職者 ・・・帰宅・・・
求職者 .oO( 正式応募どうしようかな。やめとくか )
メーラー 「ゆーがっためーる」
企業からのメール
この度は、当社にご応募いただきまして、誠にありがとうございます。 残念ながら今回はほげ様のご期待に添えない結果となりました。
求職者『ちくしょう転職だ!※違う』
というような、カジュアル面談の悲劇を防ぐべく、情報をまとめようと思います。
補足になりますが、個人的な経験からくる恨みとかそういう動機からまとめているのではなく、今後採用に関わる可能性もある身として、界隈がよりよい状態になったほうが求人・求職側相互にとってよいだろう、という話を身近なエンジニア・人材界隈のビジネスをしている人・人事担当の人などと話し合った結果としての記事化です。
特に現状カジュアル面談を誤用している企業を責める意図はありません。
カジュアル面談とは?
以前にカジュアル面談の起源を調べました。
カジュアル面談とは、 1.スーツではなく、普段着での求人企業訪問。 カジュアルな格好でリラックスして求人企業について知る事ができます。 2.まず求人企業側から企業の概要、業務についての説明していただきます。 志望理由をいきなり聞かれて面食らう事がありません。 企業をアピールする場&あなた(応募者)の人柄を知っていただく面談としております。
※上記ページより引用
結論は未確定ですが、 paiza さんのサービスで使われ始めたのが最初にみえました。
概ね、私自身の認識とも一致しているので、この情報がカジュアル面談の定義であるとして考えます。
カジュアル面談の皮をかぶった一次面接
カジュアル面談と聞いて訪問したつもりが、
- 応募理由をきかれた
- 面談後に正式応募の有無を検討しようとしたら、先に不採用通知をもらった
という話をときおり目にします。
いま、ざっと検索して見つかったのこちらです。
典型的かつリアクションとしても、よくありそうな感じだなと思います。
企業側としては、このような悪印象を持たれる企業として名が広まっていくリスクがあるということです。
表では企業名はでないかもしれませんが、エンジニア界隈は世間も狭く、勉強会・コミュニティなどでの交流も活発なため、多くの人がつながっていて、良くも悪くも評判は広まりやすいです。
特に最近は しがないラジオ 、転職LT など転職を軸とした人のつながりが広がっていることもあるのでなおさらですね。
カジュアル面談が選考になるパターン
カジュアル面談は相互理解の場であり、選考ではないはずですが、カジュアル面談が選考になってしまうケースは大きくわけて2つあると思います。
ハンロンの剃刀
1つ目は、企業側の採用担当者がカジュアル面談が何を表すか知らなくて、通常の選考だと考えているケースです。
面談と面接がそもそも混同しやすいのでしょう。
例えば、小さな組織で採用を兼任でやっていて、専門的なことをやっている人がいないケースなどでは、発生しやすそうです。
この記事で、てつのすけさんが語っている
面談と面接って名前が紛らわしいので面接のことはできるだけ「選考」って呼ぶようには工夫はしていますね・・・選考ではないのでお持ち頂く必要のあるものもないです、と面談前に伝えるようにはしています
というところです。
これは悪意がないので、単に ハンロンの剃刀 として捉えることでさらっと流す、という方針が一見よさそうにみえるのですが、ここで転職活動というものの難しさがあります。
この記事への反響からも見て取れるように、そもそも転職活動は構造的に挫折を導くようなネガティブな感情を生みやすく、ストレスフルな活動になりやすいため、そんなときに心を落ち着けて「そうそう、ハンロンの剃刀だよね」というようにあしらえる人のほうが少数派だと思います。
また、必ずしも「知らなかった」ケースだけではないだろう、という点もあることが問題です。
そういった点から、本当に知らなかっただけなのだが、あくどい企業として悪評が広まってしまう、という可能性があるわけです。
ダークパターン
カジュアル面談が何を表すものか知りつつ、あえて面接にしていくケースです。
ここで想像できるのは2つの動機です。
- 採用競争の激化からくる早期採用圧力
- できるだけ早く内定を出して採用することで、他社選考より先んじたい
- 人事担当者としての KPI の達成
前者は、少しでも早く選考をすすめて人を先にとりたい、という思考です。
後者は、組織内での部分最適化ですね。急いで選考に持ち込んで合格者を増やしたほうが自身の評価が上がるというケースです。
どちらも長期的に見ると、会社の評判の低下や、そもそも志望動機が低い状態の人材を急いで採用することによるアンマッチの増加。結果として、定着率の低下により次の採用が必要になり、全体の採用コストが押し上がるという結果になるように思います。
また、組織の人材レベルの低下やカルチャーマッチ率が下がり、組織の足並みが揃いにくくなる、などの悪影響もあるでしょう。
求職側としての自衛手段
求職側としては、任意の転職媒体や Twitter 転職などで面談のやりとりをする際に、
「選考ではなく、お互いを知るためのカジュアル面談ですね」
という事実を念押しした上で、会うとよさそうです。
わざわざ言わなくてもその辺りは分かっていそう、という企業に対してはあえていわなくてもよいと思いますが。
求職側としての気にすること
さて、採用側・求職側相互のマッチングの場であるカジュアル面談ですが、その時点でお互いの希望がマッチしなかったといっても、雑な受け答えをすると未来の機会を逃すことになります、
その理由は以下のメルカリさんの分析チームの採用記事をみるとわかります。
企業側は、カジュアル面談の時点でお互いの条件が一致しなかった候補者の方でも、時間が経ち、さらに必要な事業やポジションが増えたり、組織内の課題が変化して新たな役割が欲しくなった場合などに再度あなたを思い浮かべる可能性があります。
さらに、気になる潜在候補者の方をときどきチェックして、その時の力量の増加分を見守っている可能性もあります。
そこまでできている例はまだ少ないかもしれませんが、今後は増えるでしょう。
例えば Twitter 転職で会った企業には、あなたが有能であればあるほど、その後もツイッターを見られている、という可能性が高くなります。そういうことです。
まとめ
カジュアル面談に関する問題点としてよくある点をまとめてみました。
求職者側としては、採用サイドの健全化に協力するためにもここで敵対的反応をせず、方向転換のきっかけをお互いにつくれるとよいですね。
これは逆のケースですが、最初から転職意志が強くあるにもかかわらずカジュアル面談を設定してくるのは逆に迷惑、というケースもきくので、面談なのか面接(選考)なのかは、はっきりさせるとよいでしょう。