暗黙知を形式化する手法として Sharain というものを作りました。
では「そもそも何のために暗黙知を形式化するのだろう?」という目的をまとめます。
また、その目的を踏まえつつ実際に形式化するかどうかの意思決定をどのように行うかを考えます。
暗黙知を形式化する目的
暗黙知の形式化には以下のようなメリットがあります。
大きく分けて攻めと守りに分類します。(この定義は既存のものではなく、私の独自定義です)
守りの目的
- 業務上必須の情報を共有することで以下の利益を得られる
- 品質が一定レベル以上に保証される
- 特定の人に聞かなければ分からない、というボトルネックが解消される
このたぐいのものが暗黙化されているのは業務が滞る原因になっている可能性が高く、
費用対効果が高いように思います。
例えば、
- 繰り返し行われる業務の手順書
- 業務フローの全体像
などです。
知識が暗黙化されていることで通常の業務を円滑に進む妨げになっている状態を
解消することを目的とするのが 守りの目的 です。
攻めの目的
- 組織内の優れた人材が持つ知識・思考を共有することで全体のレベルを押し上げることができる
- 組織内の優れた人材持つアイデアを引き出すことで新たな機会を得る
- 業務ドメインのビジネスや、組織内の仕事の進め方に対する強い思い
このたぐいのものは効果が予測しにくいです。
素晴らしいものが出てくるかもしれませんし、そうではないかもしれません。
なんとなくですが、人材のレベルに依存しそうな気がします。
つまり、レベルの高い人材がいるが個別に活躍していて知識が個人に閉じているならば
費用対効果が高いように思います。
例えば、
- システムの設計に対する勘所
- 画期的なアイデア
などです。
暗黙知を形式化することで新たな価値を生み出そうとするのが 攻めの目的 です。
暗黙知を形式化する際の判断基準
形式化の目的に挙げたようなメリットを利益と考えます。
形式化の導入・運用にかかる費用をコストと考えます。
この際に
利益 - コスト
がプラスになるのであれば形式化する価値がある、ということになります。
・・・・とは言うものの、実際に数値化できるほど明確に表せるわけでもなく、
直感的に「これはやったほうがいいだろう」という程度の判断になるのでは、と思います。
まとめ
歯切れの悪い内容になりましたが、利益とコストを意識した上で直感的なもので導入の判断をし、
実際そのあとに起こった利益と使ったコスト(主に共有に使った時間)を大まかに把握して
実施の継続有無を決めるような形が現実解ではないかな、と思います。
逆に「そうじゃないよ、わかってないな」という方の意見も是非きいてみたいので
言及エントリなど、楽しみにしています。
参考資料
SECIモデル
empowerment-engineering.hatenablog.com