年末にファシリテーションの猛者である gaoryu さんに弟子入りしました。
はい!よろこんで!
— gaoryu/ (@DiscoveryCoach) December 27, 2019
その直前に、一度オンラインで相談させていただいた際に紹介してもらった書籍が今回紹介する内容になります。
ミーティングのデザイン エンジニア、デザイナー、マネージャーが知っておくべき会議設計・運営ガイド
- 作者:ケビン・M・ホフマン
- 出版社/メーカー: ビー・エヌ・エヌ新社
- 発売日: 2018/09/26
- メディア: Kindle版
周りの人と話していても「弊社のミーティングは明確・的確・完璧!」という話は聞いたことがなく、おそらくかなり多くの組織で課題を抱えている領域ではないでしょうか。ということで、せっかくだから理解の整理も兼ねてまとめつつご紹介することにしました。
ミーティングデザイン
ミーティングは会社組織の活動において、意思決定・問題解決の核となる非常に重要な活動です。しかし、その実施方法が明確にデザインされているケースはどちらかというと少ないでしょう。そこで、この書籍はデザイナー目線でミーテイングを捉えることで、よりよいミーティングに関して考える素材を与えてくれます。
そこで、この書籍で紹介されているミーティングに関する考え方の大枠をまとめます。
また、後半の章で紹介されている
- 個別のミーティング手法
- 実際のミーティングの種類と実施例
などは省略します。気になったら書籍でご確認ください。
ミーティングとデザイン思考
デザイン思考に当てはめて考えるのならば、
- 観察 - ミーティングの現状を観察する
- 問題提起 - あるべきミーティングとそうではないミーティングを整理し、差異を把握する
- アイデア抽出 - よりよいミーティングにするための案を出す
- プロトタイピング - よりよいミーティングにするための案を実行可能な状態にする
- 検証 - よりよいミーティングにするための案を実行し、効果を検証する
ということを繰り返しつつ、ミーティングをプロダクトにみたててその質を改善することになります。
ミーティングで解決する対象が、ミーティング外でよりよく解決できるのならばミーティングそのものが不要になるケースもあります。
自社サービス開発をしている方にとっては慣れ親しんだ方もいそうで、そういった方には馴染みやすそうですね。
理想のミーティングとは?
問題提起にある「あるべきミーティング」とはなにか?
ミーティングにも様々な種類があるので、ひとくくりにするのが難しい面もあるが、大きく捉えると
- 問題が明確になり、解決方法が導かれ、それによってもたらされる影響を理解し、実施するためのアクションが決まること
- その決定について、ステークホルダーの間で認識が統一された上での決定がなされていること
という感じでしょう。
人の制約とアンチパターン
特にデザインすることを意識しないミーティングの典型としては、事前にアジェンダはなく、口頭のみのやりとり(いわゆる「空中線」)で進行し、ホワイトボードの活用もないようなケースでしょう。
細かなことは書籍に讓りますが、ざっくりいうと人の脳の記憶量には限界があります。そのため
- 口頭のやりとりに関して、誰が何を言ったかすべてを記憶する
- その上で自己の意見も考え、伝える
ということを1時間やったとして、その内容を意味を損ねないレベルで正確に記憶しつつ議論できる参加者は稀でしょう。
実際は、そこに「理解」の要素も加わります。途中で曖昧な表現で認識がズレた場合に、ズレたまま議論は進行します。結果として
- 途中で忘れた内容、認識齟齬をした内容を元に議論がすすむ
- 理解がズレたり、忘れている状態で本来の目的に対する正しい解答を出せるわけもなく明後日の解答で終わる
- 次のアクションを行う人・日次なども曖昧なままで実行もされない
というようなミーティングのために参加人数分のコストを使うことになるのが典型的なアンチパターンでしょう。
時間と人数
ミーティング参加者と時間の関係もさほど意識されないことが多い。多くても少なくても1時間など。
しかし、扱うお題あたりに参加する人数によって必要な合意点の数が大きく変わります。
- 3人 - 合意点 3
- 4人 - 合意点 6
- 5人 - 合意点 10
- 6人 - 合意点 15
- 7人 - 合意点 21
合意点は上記のようになる。となると、ミーティングの人数が7人目になったあたりから時間内でどうにか合意点を導くのがかなり厳しくなります。そのため、2つに分割することや、2人数にして最後に持ち寄る、などの実施方法で回避することになる。
もちろん実際はそんな人数が不要なミーティングもあるでしょう。一言も意見を言わない人がいる、など。その場合は単に出席者を最低限にします。
ミーティングに必要となる役割
- リーダー
- ファシリテーター
- 記録係
- 参加者
一般にこの4つの役割が必要になる。しかし、現実には何も明示されないまま進行されることも多いでしょう。
ファシリテーション
ファシリテーションの役割として
- ミーティングの目的を与えられた時間で果たし、ゴールに導く
というのが大きな役割です。
その中の必要となる要素として
- 対立の対処
- 発散・収束のやりとりをうまく促す
- 発散 - 意見の引き出す
- 収束 - 結論や選択肢のまとめる
- 本線に沿い続けるように促す
- 議論の可視化 ※これは別担当をたてるケースもある
などがある。
まとめ
- 人の記憶力には限界がある。すべてを覚えてはいられない
- 曖昧な表現は誤解を生む。誤解がないか、ズレを確認したほうがいい
- 人数が増えたら話がまとまりにくいので、人を絞るか分割議論をするなどする
など、いざ言われてみると当たり前ですが、実際はこの当たり前を無視した運用になっているケースが大量にあるでしょう。ミーティングは一般に権威勾配でいうと上の人が開催するケースが多くなりがちで、上の人のやり方に指摘をしにくいというのもあるかもしれませんね。