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Employee Experience Engineer tbpgr(てぃーびー) のブログ

セイチョウジャーニーの出展ジャーニー。初参加で350部を達成した技術書典5を振り返る

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成長と充実のハードルを下げることを目的としたコミュニティ Growthfaction として技術書典で書籍「セイチョウ・ジャーニー」を出すことになりました。
結果として初参加ながら 物理本 200 部完売 、DL版PDF 約 150 部を達成 することができました!
初参加としては、なかなかの結果ではないでしょうか。

そんな我々 Growthfaction の技術書典参加を振り返ります。

前提

5名のメンバーによる共同執筆です。

営業職の Hide さんが含まれる、というのが執筆過程におけるポイントです。
全員がプログラミングや、その周辺のツールや技術などを低い導入コストで使えることを前提にはできません。

書籍の構成と担当については

  • 一人ひとりが個人パートを執筆
  • てぃーびーはプロローグの執筆と、27名の方から集めた「成長と充実」に関するアンケートをまとめるパートを執筆・編集
  • あとがきは VTRyo さんが取りまとめ

という感じです。

執筆以前

オンラインミーティング

コミュニティの基本のやりとりは Slack で行っています。
情報共有は Kibela を使っています。

プロダクト・マーケティング周りは主に私が議論のたたき台をつくる担当をしました。

実際にやったこととしては、

などをまとめました。

以下はエレベーター・ピッチです。

  • イチョウ・ジャーニーという書籍は、
  • 成長・充実に不安・不満をもち、なんとかしたい人向けの、
  • 書籍です。
  • ユーザーは成長・充実に必要な要素を理解することや、考えるきっかけを得ることができ、
  • 自己啓発本とは違って、
  • 近しい境遇の同じ技術に関わる人の体験談が備わっている事が特徴です。

オフラインのミーティング前に、このあたりのすり合わせを行いました。

事前にコミュニティ自体のインセプション・デッキも作成してメンバーですり合わせ済みのため、コミュニティの活動としての軸もあり意思決定はしやすい状態です。

オフラインミーティング

大枠での方向性を決めたあと、実際にアクション可能なレベルにしていくためにオフラインで全員集合し、 KANE さんが作った枝豆燻製をつまみながら方向性を話し合いました。

ターゲットは「 成長したいけど、どうやっていいかわからない人 」のように、成長のかなり入り口で助けを求めている人を対象にすることにしました。
逆にいうなら、すでにある程度の成長自体はしていて、より効率のよい方法を求めている「成長の中級者、上級者」はターゲット外になります。それらの方については、周りにいる後輩など助けたい相手がいるときに参考になるようなものになるといいね、という話をしていました。

基本方針として「 読者は何を求めていて、そこに対して何を提供するか? 」を考えての話し合いであり、サービス開発に通じるところがあるやりとりになりました。
VTRyo さんが 転職成功LT を主催していることもあり、ちょうど想定読者層に近い方々のことをよく知っていることが優位に働いたと思います。

その他、

  • イチョウ・ジャーニーというタイトル
  • 時間の制約上、全体の整合性を合わせるような執筆は難しいのでテーマを決めたらあとは個別にテーマにそった別々の内容を書くこと
  • Bitbucket を使うこと
  • 入稿周りの過程は VTRyo さんが担当すること

などを決めました。

また、この時点で部数についてはかなり控えめで

  • 現実的には 30 部くらいかな?
  • 10,000 人入場者がいるとして、1%にささって 100 部いったら大成功かな?

などと話していました。
まさか約 350 部を達成するとは思いもよらず。

執筆期間中

執筆

執筆は Markdown で行い、 Kibela に保存して相互レビューをしました。
Markdown 自体は執筆開始以前にコミュニティで Kibela を使っていたので Hide さんも少しは慣れています。

時間的にリッチな lint 環境を構築する余力は無かったので、アナログに読むレビューをしつつ、 Word の校正機能も活用しました。

最終的には ReVIEW フォーマットにするのですが、執筆内容そのものと、その見栄えを調整すること責務が別なので、まずは執筆内容を仕上げて、レビューしようということで Markdown での執筆を先に行うことになりました。

成果物も最終的には Bitbucket で管理したのですが Hide さんの負荷を考え、
レビューが完了するまでの間は git の操作を必要としない Kibela でのやりとりをメインにしました。

各自が自パートを書き終えたら、個別のパートを可能な範囲で自分以外の全員がレビューするようにしました。
これにより、当日各自が交代で売り子をしつつもお客様から「どんな本なんですか?」質問された際に、他担当の部分も含め、この書籍の内容について大枠で語れる状態になりました。

レビュー完了後、 Markdown を ReVIEW に書き換えます。
さほど多くの機能を使わなかったこともあり、概ね機械的に置き換えていきました。

執筆は印刷の早割に合わせて締切を設定し、無事予定通りに入稿することができました。

寄稿協力

付録の「みんなのセイチョウ・ジャーニー」として、成長と充実の定義を色んな人にきき、
それをまとめることになりました。

がそれぞれ友人・知人等に協力いただきました。

寄稿いただいた皆様、ありがとうございます。
特定の誰かの「成長と充実」が響いた場合は、感想をSNSやブログで発信すると、
執筆者の目に触れるかもしれませんね。

付録が好評で書籍の流れとしてこのパートがあったことで幅がでたように思います。

ppworks さんの感想ブログより抜粋

色々な著名な方々に

・成長とは? ・あなたが成長にとって重要だと考えるものは? ・充実とは? ・あなたが充実にとって重要だと考えものは? という質問をして、その答えが載っているという章。読んでいて、真似してみようかな?と思ってしまったので答えてみる。

PDFへの変換

ReVIEW 形式から PDF への変換については、 VTRyo さんがほとんどやってくれました。
入稿時の格闘などは、おそらく VTRyo さんの振り返り記事で語られると思います。

宣伝

早めの入稿を終えたことにより、早い時期からサークルカットがあり、目次も揃っている状態で告知をすることができました。

オンラインの告知

オンラインでの告知についてはブログ、PodcastSNS などによる告知を行いました。

オフラインの告知

VTRyo さん、 KANE さん、ゆのんさんがオフラインのイベントの登壇時に告知してくれました。
以下は、告知をしたイベントレポートの一例です。

人が直接会った事実というのは大きい もので、今回の部数が伸びた一番のポイントはこの3名が直接多くの人に声を届けてくれたことだと思っています。

リードナーチャリング

湊川さんからマーケティングに関してアドバイスをいただき、
AISCEAS(アイシーズ) をもとにリードナーチャリング(顧客育成)を管理しました。

AISCEAS は顧客の段階を以下のように分類します。

項目 内容
Attention(注意) 消費者が注目して認知する
Interest(興味) 消費者が興味・関心を持つ
Search(検索) 消費者が検索して商品について調べる
Comparison(比較) 消費者がいくつか検索して比較する
Examination(検討) 消費者が比較した商品について検討する
Action(購買行動) 消費者が購入をする
Share(情報共有) 消費者が商品の評価を情報共有する

今回は必要最低限の分類にし、 Attention(注意), Examination(検討), Share(情報共有) の3分類のみを扱うことにしました。
Twitter の発言をもとに Slack に channel を作り、該当ツイートのパーマリンクを貼ることでリードの管理をしました。

項目 内容 Slack の Channel 名
Attention(注意) イチョウ・ジャーニー関連の情報に反応している techbook5_interest
Examination(検討) 購入を迷う発言や、購入の意思をみせているがまだ購入はしていない techbook5_examination
Share(情報共有) イチョウ・ジャーニーに関する評価を拡散してくれている techbook5_share

例えば、メンバーがオフラインのイベントで言及すると、

「セイチョウ・ジャーニー面白そう」などの発言をしてくれる人がでます。
この場合は、 techbook5_examination に分類し、ツイートのリンクを共有します。

そのツイートを見て like をしている人は techbook5_interest に共有します。

そして、当日購入したことをツイートしている人や、セイチョウ・ジャーニーに関するツイートを自発的にしてくれる方の発言は techbook5_share で共有します。

すると、誰からが共有した情報に対してリアクションをとるのに適したメンバーが
自発的にコミュニケーションを取りに行くことができます。
例えば、そのツイートをした人と近しい関係の人がいればその人が。
また、他のメンバーもツイートに like をすることができます。
このあたりは細かな基準はなく、各自の自発的な意思決定に委ねています。

告知総括

地道な活動のかいもあり、多くの方に購入いただけることとなったわけですが、
実際に売り子をやっている際も「インフラ勉強会で KANE さんからきいてきた YY です!」というように各自の地道な活動の成果として多くの人に来ていただいている、というのがわかる瞬間が多くありました。

というようにあたたかいお言葉をいただきました。

チーミング

執筆中幾度かメンバー各位の意見がまとまらないことがありました。
そんなときに頼れる VPoE である ゆのん さんが力を発揮し、心理的に安全な場を作り出してくれました。
ちょっと内容は表に出すには微妙なものなので、具体的な内容発信できないのですが実に見事なまとめぶりでした。
同じ方向性の目的を持って集まったとはいえ、まだまだ知り合ったばかりのコミュニティのメンバーが技術書の執筆という目的に団結して向かっていくことができたのは、ゆのん さんの力によるところが大きかったと思います。

ゆのん さんは会える VPoE として活動しているので、ソフトウェア開発者やエンジニアリングマネージャーをしている方は声をかけて、ランチのお誘いをすれば体感できると思います。

課題管理

共同執筆において、各自の担当分けやタスクの進捗状況を確認するために自発的に課題管理を行いました。

ブラック受託開発の現場で朝から終電までひたすら Redmine での課題管理をやっていた経験が活きるとは思いもよりませんでした。

課題管理の詳細については「 課題管理で執筆をブーストする 」というタイトルで 2018/10/26(金) 19:00〜22:00 の 執筆の技術を勉強する会にて概念登壇します。
概念登壇は、私はスライドのみ作成して実際の登壇は KANE さんが行う形式での登壇です。

techplay.jp

【後日更新 概念登壇したときのスライドです】

技術書典5の当日

準備

私と VTRyo さんでサークルの準備を行いました。
とはいっても、事前に VTRyo さんがあれこれ準備してきてくださったので、
大きな問題もなく設営完了・・・

と思いきや、そのあと事件が・・・。

開場まで20分ぐらいあったので、各自 7分ずつぐらい知り合いのサークルに挨拶まわりをして5分前に二人とも
戻っている状況にしようという話になりました。
先に私が挨拶まわりにいくことに。
開始する前にお手洗いに行っておこうと思い、おもむろにイベント会場の部屋を出た直ぐ側のお手洗いに。 すると・・・

しめだされてしまいました(汗

当日のサークル担当を私と VTRyo さんにすると決めたとき、私が緊張すると腹痛が出るタイプの人です、という情報を共有していたのですが見事に伏線を回収しました。

結局予定していた 7 分でちょうど戻ることができたので、開始には問題なかったのですが挨拶まわりの時間を失いました。

出展中

ついに開場。流れ込んでくる一般入場者。
そこから1時間くらいはほぼ列が途切れることなく、
てんやわんやで販売をしていました。

そして、1時間ちょっと経過で物理本が完売。

怒涛のような1時間でした。
その間メンバーの2名はトラブって助けを求めていた他サークルのお手伝いをしていたようです。

note.mu

Hide さんのさすが営業職という笑顔で、告知をしつつダウンロードカード販売を開始。

ダウンロードカードの販売になってからは、少し落ち着きつつの販売になりました。
時折、知り合いの方が訪れ会話をするなどしつつ5名のメンバーで交代しながら売り子をします。

そして、最終的に約 350 部で終了時間を迎えることとなりました。

ちなみに、目的買いではなくその場で見本誌を立ち読みして購入決定をした人の割合ですが、厳密に数えていないものの

  • 物理本がある時間帯は5割程度が立ち読みから購入
  • 物理本がない時間帯は3割程度が立ち読みから購入

ぐらいの印象でした。
直感的には立ち読みからの購入率はすごく高かったのではないかと考えています。
本屋で立ち読みから本を買う確率を考えたらものすごく高いですよね、おそらく。

個人的なハイライト

開始準備をしようとしたら2つとなりのサークルに ぷぽさん がいた。

同じく開始準備中に久しぶりに 若杉さん と遭遇。

以下、売り子中の話。

エンジニアリング組織論への招待 でおなじみの 広木さん に話しかけられるも私が広木さんの見た目を知らずにあたふたしながら接客をしたり。
※広木さんがゆのんさんとPodcastEM.FM )をはじめた関係で私達のサークルを認知している

沢渡あまね さんに話しかけられて急に私の声のボリュームが上がりつつ、サークルメンバーに「なんで沢渡さんに話しかけられてるんですか!?私、沢渡さんの本読んでます!」と聞かれて「インターネットで仲良くしてます」と答えたり。

esappworks さんに話しかけられてホクホクしたり。

情報会議 で一緒だった htomine さん話しかけられてホクホクしたり。

しがないラジオzuckey さんや、 gami さんと「調子はどうすかー?」とかお互いに話したり。

シス管系女子Piro さんと話したり。

登壇を応援する会ariaki さんに差し入れをいただいたり。

その他、ツイッターで私を認知している複数の方から名乗っていただき、ちょっとだけご挨拶のやりとりをしました。みなさん、ありがとうございます。

非公式アフター

無事イベントを終えた後は、 技術書典非公式アフター に参加しました。

開始直後に数名の方とお話したあとは、疲労により椅子に座って地蔵と化しつつ全体の様子を観察していました。
歳には勝てん。※歳だけじゃないと思うが

少ないながらも交流はできたので、いってよかったなと思います。

  • 生まれてはじめてサインをする
  • カイゼン・ジャーニーの出版社の方と名刺交換をする
  • 技術書典に参加していた甥っ子と雑談←それ、ここじゃなくてもよかったのでは?

などの出来事もありましたし。

VTRyoさん、ゆのんさん、KANEさんは LT をし、いろんな方と活発に交流しているようでした。
LT 駆動で現地でコンバージョンしていたようだ。強い。

PDF販売

BOOTH にて PDF 販売を行っています。
気になる方はいつでも購入可能です。

growthfaction.booth.pm

Togetter

イチョウ・ジャーニーの出展前、当日、出展後の関連ツイートを Togetter にまとめています。

謝辞

書籍自体の関係者への謝辞は書籍内でしてあるので省略しますが、
技術書典の運営の皆様に感謝いたします。

まとめ

技術書典への出展は Growthfaction の取り組みとしては、成長と充実のハードルを下げる取り組みの一部です。
書籍へのフィードバックや、認知が広がったことにより次の選択肢が広がったと思うので、引き続きやっていこうと思います。

例えばセイチョウ・ジャーニー系のイベントへの要望などあれば、
ご意見いただければ検討しますので、この記事へのコメントや Twitter での言及などもらえると嬉しいです。

例えば

  • イチョウ・ジャーニー読書会
  • わたしの「成長・充実」の定義を語る会
  • マヨイ・ジャーニー実施者の会

など、可能性は色々ありそうですね。

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読者の感想ブログ記事は随時以下の記事に追記していっています。