情報共有の効果は数字として表現しにくく、導入説明の際の障壁になるという話をときおりききます。
また、無事導入したあとも「情報共有はいいものなのでガンガン書いて、ガンガンメンテしていこう!」というタイプの現場も
あると思いますが、それって本当にコスパ的に「黒字」になっているのでしょうか?
そういった点に関して考えてみます。
※ 2017/06/28 16:43 追記 - 以下のような疑問をいただきました。この記事の内容は 「クローズドな社内の情報共有」 に関するものです。
また、記事タイトルを「あなたの情報共有は黒字になっていますか? - 情報共有のコスパについて考える」から
「あなたの 社内 情報共有は黒字になっていますか? - 情報共有のコスパについて考える」に変更しました
ここでいう「情報共有」とは「クローズドな社内の情報共有」っぽい?僕はQiitaやブログに書くオープンな情報共有かと思ったので、読みながら混乱してしまった。
— Junichi Ito (伊藤淳一) (@jnchito) 2017年6月27日
あなたの情報共有は黒字になっていますか? - 情報共有のコスパについて考える https://t.co/GtewnWxWH6
クローズドといいつつ組織の中でそもそも情報共有をしていなかった場合は
(相対的に)オープンな情報共有になるな、みたいな言葉遊びを考えていた(日本語難しい)
情報共有の分類
ここでは情報共有を攻めと守りに分類します。
便宜上守りから紹介します。
守りの情報共有
すでに存在する業務の流れに必要となる情報を扱います。
これらの情報を共有することで
- 品質が一定レベル以上に上がる
- 作業効率が一定レベル以上に上がる
などの恩恵があります。
別の言い方をすると
- 誤った情報が伝わることを防ぐ
- 欲しい情報を早く見つけることができる
ということになります。
具体例
- 企業の経営理念、目的、指針
- 特定業務の目的
- 設計書類
- 繰り返し行われる業務の手順書
- 業務フローの全体像
情報共有の利益
コスト面では
- 誤った情報が伝わる機会が減ることによるコスト減少
- 手順の質が上がることによるコスト減少
- 情報を探す時間が減ることによるコスト減少
利益面では
- 仕事の本質に使う時間が増えることによる潜在利益の増加
があります。
攻めの情報共有と比べるとその効果は 安定的かつ小さい と予想されます。
攻めの情報共有
組織内の優れた人材が持つアイデアやノウハウを引き出すことで新たな機会を得ます。
これらの情報を共有することで
- 人材のレベルが上がる
- プロダクトに新たな大きな価値を生み出す
- 生産性が大幅に上がる仕組みが見つかる
などの恩恵があります。
ただし、その情報がこれらの成果を生み出す確率が高いとは限りません。
他の人のために役立つと思われた知見は誰の役にもたたない可能性があります。
プロダクトの価値を生み出すと思われたアイデアは無価値かもしれません。
具体例
情報共有の利益
コスト面では
- 改善案を元にしたコストの大幅減少
利益面では
- プロダクトの価値を大きく上げるアイデアによって売上大幅増加
- 知見の共有によって所属人材のレベルが長期的にアップ
があります。
守りの情報共有と比べるとその効果は 不安定かつ大きい と予想されます。
情報共有の収支
情報共有の損失について個別にふれなかったのは、
攻守双方で特に変わらない点だからです。
どちらの場合も
- 導入コスト
- ツールに関わるコスト
- ツール利用のガイドラインを作成するコスト
- 共有が軌道に乗るまで先導をするコスト
- 維持コスト
- ツールに関わるコスト
- 人に関わるコスト
- 情報を共有するコスト
- 情報を読むコスト
- 情報を整理するコスト
が必要になります。
組織が変化に対して柔軟ではなければないほど、
情報リテラシーが低ければ低いほどコストは高くなります。
導入コストは固定費なので、重要なのは維持コストになります。
例えば、情報を整理するコストを極力下げ、ガイドラインで吸収できる範囲を
増やしておくとよさそうです。
情報共有の利益と損失を比べて
利益が大きいかどうかが情報共有導入の判断基準となりそうです。
とはいえ、実際に具体的な数値が出せるわけでもなく、
大まかにこういった要素を洗い出して、
「さすがに導入したほうがお得でしょ」
くらいの判断ができるとよい、というのが現実的かもしれません。
まとめ
そもそも情報共有は目的があってするもののはずで、
それが当記事の分類でいう守りの情報共有なのか、
攻めの情報共有なのか、両方なのかはそれぞれだとは思います。
もちろん守りの情報共有目的で入れたら、攻めの使い方もあることに
あとから気づくパターンもあるでしょう。
情報共有で解決すべき課題があり、その目的の為に情報共有ツールを導入し、
できる限りコストパフォーマンスよく情報共有を行うか、というのが
ビジネスにおける情報共有において大切な点に思えます。
あなたの現場の情報の攻守、それぞれの収支。
黒字になっていますか?