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元エンジニア 人事 tbpgr(てぃーびー) のブログ

リモートワークでも閃きを発生させる。知識創造をSECIモデルベースで考える

今、企業活動において知識創造が以前よりも重要になっています。
また、多様性・時間の有効活用など、様々なメリットからリモートワークも重要視されています。
ここで懸念があります。リモートワークで知識創造の機会が減るのではないか、という点です。

そこで、暗黙知形式知の組み合わせからなる知識創造をモデル化した「 SECIモデル 」にあてはめて
リモートワークにおける知識創造について考えてみます。

前提

私は副業で2年以上リモートワークをしています。
以下でまとめたような概念に対して、一定の範囲で実際の行動を踏まえた上での効果の実感があります。

リモートワークとは?

リモートワークとは情報通信技術を活用した、場所や時間にとらわれない働き方です。
テレワークとも呼ばれます。

SECIモデルとは?

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SECIモデルは野中郁次郎氏と竹内弘高氏らが提示した広義のナレッジ・マネジメントのフレームワークです。
暗黙知形式知の組み合わせをもとにした以下のような4つのモードから構成されます。

-- Name English From To
共同化 Socializaiton 暗黙知 暗黙知
表出化 Externalization 暗黙知 形式知
連結化 Combination 形式知 形式知
形式知 Internalization 形式知 暗黙知

詳細は以下の記事でご確認ください。

empowerment-engineering.hatenablog.com

オフラインにおけるSECIモデル

リモートワークの前に、オフラインにおけるSECIモデルの具体例を
経済産業省のクリエイティブ・オフィスの資料にある 12の知識創造行動 で確認しましょう。

-- Name English From To 知識創造行動
共同化 Socializaiton 暗黙知 暗黙知 ふらふらあるく
共同化 Socializaiton 暗黙知 暗黙知 接する
共同化 Socializaiton 暗黙知 暗黙知 見る。見られる。感じ合う
表出化 Externalization 暗黙知 形式知 軽く話してみる
表出化 Externalization 暗黙知 形式知 ワイガヤ・ブレストする
表出化 Externalization 暗黙知 形式知 絵にする・例える
連結化 Combination 形式知 形式知 調べる・分析する・編集する・蓄積する
連結化 Combination 形式知 形式知 真剣勝負の討議をする
連結化 Combination 形式知 形式知 診てもらう・聴いてもらう
内面化 Internalization 形式知 暗黙知 試す
内面化 Internalization 形式知 暗黙知 実践する
内面化 Internalization 形式知 暗黙知 理解を深める

図解なども含めたより詳細に関する情報は以下のPDFでご確認ください。

オンラインにおけるSECIモデル

では、リモートワーク=オンラインにおけるSECIモデルの各モードに対応するのは
どのような行動なのか、考えてみましょう。

-- Name English From To 知識創造行動
共同化 Socializaiton 暗黙知 暗黙知 チャットでひとり言を話す
表出化 Externalization 暗黙知 形式知 チャットで会話をする
ビデオ通話をする
表出化 Externalization 暗黙知 形式知 オンラインブレストをする
表出化 Externalization 暗黙知 形式知 データとしてイメージを共有する
イデアの例えを情報共有システムで共有する
連結化 Combination 形式知 形式知 オンラインで調べる・分析する・編集する・蓄積する
連結化 Combination 形式知 形式知 オンラインのチャットやビデオ通話で真剣勝負の討議をする
連結化 Combination 形式知 形式知 オンラインで診てもらう・聴いてもらう
内面化 Internalization 形式知 暗黙知 オンラインで試す
内面化 Internalization 形式知 暗黙知 オンラインで実践する
内面化 Internalization 形式知 暗黙知 オンラインで理解を深める

雑感

共同化以外に関してはほとんどが通信手段となるツールを使ってオフラインと同様のことをすることで
解決できそうです。

共同化に関しては、現状気軽にできるのはひとり言を話すことで
オフィスにおける雑談や、通りがかりに聞こえた会話をきっかけとした知識創造に
近いことが実現できそうです。
その他の「接する」「見る」「ふらふらあるく」などに関しては、
Microsoft が主張する Mixed Reality のような仕組みが発達すると実現されるのかもしれませんね。

実感

2年間のリモートワーク経験を元に振り返ってみます。
リモートワークの環境は

  • GitHub で開発に関わる課題とソースコードを管理している
  • esa で情報共有をしている
  • Slack でチャットコミュニケーションをしている

という感じです。

オンライン・オフラインにおいて知識創造の起点となるのは Slack です。
目的別の channel の他に、分報を導入しています。
分報を知らない方は、以下をご確認ください。チャット版のTwitterみたいなものです。

分報に各自の考え、やっていることなどを細かに発言してもらうことで、
SECIモデルの共同化の役割が果たせているように思います。
誰かの発言を元にサービス改善の発想が生まれる。
業務改善の発想が生まれる。
そんな機会を多数みました。

通常の目的別 channel でも、閃きは発生しますが、必要な情報だけに限定していると
発生しなかったであろう閃きを分報で創りだせていると感じます。

表出化についてはSlackでの会話や、チャットや情報共有ツールのコメント欄上での
やりとりでブレストが行われることがあります。

連結化は情報共有ツールの利用そのものの効果でもありますね。

内面化も各自が形式化された情報を学んだり、実践し、理解を深めています。

この現場の特徴として、もともとリモートワークに慣れたメンバーが揃っていたことが
幸いしています。つまり、通常は意識的に情報を表に出したり、
言葉だけではなくテキストとして保存していくことを意識付ける必要があります。
こういったことができているからこそ、各種の創造が発生しているのでしょう。

まとめ

SECIモデルの各領域に関して、リモートワークでも近い成果を出すことは可能そうです。

リモートワークを実践している企業・個人の方は、
自社独自の取り組みでSECIモデルのどのモードのものがあるか考えて見ると面白いかもしれませんね。

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