この記事は2021年の Employee Experience Advent Calendar の21日目です。
Employee Experience Technology とは?
Employee Experience Technology は 従業員体験( EX ) に影響を与えるテクノロジーです。
重要性を増す Technology
従業員体験に関わる環境の分類として以下の3つがあります。
しかし、世の中の変化により、文化や物理的な環境の部分についてもフルリモートやハイブリッド化によりリモートに置き換わりつつあります。そして、リモート環境にはテクノロジーの支援が欠かせません。その意味で、従業員体験に対してテクノロジーの持つ意味は拡大していると言えるでしょう。
文化とテクノロジー
文化として典型的なのは Mission / Vision / Value として掲げられているものでしょう。また、それ以外にも会社特有の意思決定の特徴、人々の細かなふるまいの傾向などもあるでしょう。 例えば、オフィスに同僚が入ってきたら元気に挨拶をする会社もあれば、無言で見向きもしない会社もあるでしょう。良くも悪くも新しく会社に加わる人は所属している各自が作り出すこの雰囲気を察知し、溶け込んでいくか、居心地の悪さを感じて去っていくか、はたまた自身の色を組織の文化に加えていくか、などになるわけです。この際に今まではオフィス環境で直接仕事をしない人の雰囲気・振る舞いも含めて見える範囲が広かったと思います。 逆に、物理からオンライン環境になると近い範囲でともに仕事をする人以外の振る舞いが見えにくくなります。この場合に、全体の空気・振る舞いとしての文化はやや薄れ、個別の部門・チームなどによって少しずつ色合いが変わってくるでしょう
この際に、テクノロジーの活用で強い文化をどう保つか、という論点が新たにでてきているわけです。
労働環境とテクノロジー
もともとは物理的な環境( physical environment )として考えられていたカテゴリですが、現在では
- 物理的な環境 + 論理的な環境 / ハイブリッド環境
- 論理的な環境 / フルリモートワーク
を選択する企業も増えてきています。となると従来物理的な環境で語られていたポイントをそのまま適用できなくなります。
例えば、 SECI モデル に基づいたオフィスづくりとして経済産業省が推進していた「クリエイティブオフィス」があります。
ハイブリッド、フルリモートの場合はこれらの要素をいかにオンラインで再現するか、ということを検討する必要がでてくるのでしょう。現状再現に特に苦戦していそうなのは Socialization の部分ですね。
- 見る、見られる
- 接する
- ふらふらあるく
などをいかにオンラインで再現するか?
バーチャルオフィスなどは一つの選択肢なのかもしれません。
仕事とテクノロジー
個別の業務を質よく、効率よく行うにはテクノロジーの力が欠かせません。同じことをなすために必要な余分な作業が多いと、労働体験が損なわれます。
例えば、テクノロジーを活用すれば紙の処理が不要な業務があったとき、まだ紙ベースの業務プロセスのままになっていれば、従業員は無駄な手間をより多くかける必要があります。チャットで済む問題を毎回対面のミーティングやEmailで行っている場合も手間です。
こういった従来のテクノロジーによる労働体験の話以外に、リモートワークではそもそもの労働インフラとしてテクノロジーありきになります。チャット、ビデオミーティング、情報共有ツール等。それらのインフラとなるツール類が使いやすいか、利用に際してITリテラシーが不足している方々へのサポートが充実しているか、などが重要になってきます。また、オフラインで行っていた活動を追加でオンラインに置き換えていく必要もあります。例えばアイデア出しなど付箋ワークが必要な会議を Miro で実施する、などです。
まとめ
もともと従業員体験にとって重要だったテクノロジーの存在ですが、リモートワークの拡充によって更に重要になってきています。その意味では、組織内のテクノロジーの万人たる情報システム関係者の重要性や、情報システムと組織づくりをする人事等の関係者の連携がより重要になっているでしょう。