仕事における経験機会には制限があります。たまたま自分がしたい経験を多くできることもあれば、ほとんどできないこともあります。一方で、座学での成長には限界があるため、自分を伸ばしていきたいと考えているのであれば、実践の経験機会は必要です。担当する業務の役割が大きくなるほど、座学だけではなく、実践が必要な傾向は強くなります。
業務外の個人的な活動における経験機会を自分で用意するという選択肢を持つと、業務の制約が厳しく、新たな経験ができない状況でも業務外で経験を通してスキルを身につけることができます。特に個人的な活動は失敗時のリスクが低く、自分で取り組む対象を決定する裁量も大きくなります。
前提
業務外で取り組みをするかどうかは自己判断であり、強要されるものではありません。そのため、この記事の想定読者は
- 自分の職業の分野が好きで、業務外でも趣味のように楽しみたい
- 仕事における目的や目標があり、個人の時間を使ってでも経験を積みたい
などのように、業務外で取り組む理由と意思があり、個人の時間を使う余力がある人を想定しています。
逆に、業務外で取り組まないことを選ぶ人を否定するものではありませんし、業務外で取り組むことを推奨する意図もありません。
取り組みたい意思のある人に向けた情報です。
必要な経験を見極める
今よりも大きな役割を担当したり、現状の業務の幅を広げる上で新たに必要な経験や不足している知識・スキルを整理します。自分では分からない場合、同じ領域で自分よりも熟練した同僚や社外の友人に聞いてみたり、生成AIに壁打ちするなどして自分に必要な要素を調べるとよいでしょう。
必要な要素が分かったら、それを身につけるためにはどのような経験が必要かを見極めます。
経験の種類
専門的な経験
専門領域における技術的な知識やスキルについては、職種次第で業務外の個人的な取り組みによって経験しやすい部分が多くあります。例えば、ソフトウェア開発者がプログラミングに関わる経験を積んだり、ツールを試すようなケースです。 一方で、職種によっては業務外で経験を積むことが難しい場合もあります。例えば、採用業務は個人で経験することはできません。
見習い~ジュニア~並のプレイヤー~尖ったプレイヤーあたりの範囲においては、専門的な領域における成長が重要になる比率が多くなりがちで、その範囲での経験の積み重ねが重要になります。ただし、ソフトスキルについて極端に苦手な要素があると、補正する必要が出てくることもあります。対人関係が敵対的であったり、正確な情報伝達が苦手であったり、などです。
ソフトスキルに関わる経験
タスク管理・自己認識・リーダーシップ・ファシリテーションなど、特定の専門領域に限定されないソフトスキルはも業務外で磨くことは可能です。ソフトスキルには自分一人で完結するものと、他者との関わりに関するものがあります。
- 自分一人で完結するソフトスキルの例
- 個人のタスク管理
- 自己認識
- 問題解決能力
- 他者との関わりに関するソフトスキルの例
- チームのタスク管理
- リーダーシップ
- ファシリテーション
自分ひとりで完結するソフトスキルは、自分一人で実践の機会が用意できますが、他者との関わりに関するソフトスキルについては、コミュニティや友人など他者の協力が必要になります。
尖ったプレイヤーの先にある『専門領域のリード』『チーム・組織のマネジメント』『企画職』『専門スキルを元にしたビジネスモデルの構築』などに関わる範囲においては、ソフトスキルに関する成長が重要になる比率が多くなりがちで、ソフトスキルに関わる経験の積み重ねが重要になります。
業務内での経験が必要な対象
専門的な経験、ソフトスキルに関わる経験のどちらに関しても、業務外の経験が難しく、業務内での経験が主になるものもあります。例えば、経験するために大きなコストがかかったり、多人数の協力が必要だったり、業務ドメインに関わる情報が必要だったり、高価なツールが必要になるような場合は業務外での経験は難しいでしょう。
これらについては、全体を通して経験することは困難ですが、業務の内容を要素分解できればその一部を業務外で経験することもできるでしょう。例えば、採用業務は個人で経験することはできませんが、採用業務に含まれる一部を要素として分解して経験するのができる範囲になります。例えば、選考観点を整理し、観点を確認するための選考方法作り、その選考内容を試す事は採用業務の場がなくても協力者がいれば試すことができます。
経験の場を用意する方法
業務外で経験の場を用意する方法には以下のようなものがあります。
| 経験の場 | 内容 | 専門的スキル | ソフトスキル | 経験する内容 |
|---|---|---|---|---|
| 技術検証 | 個人で専門領域における技術的な検証をする | 💚 | 💔 | ・業務で役立つ技術やツールの発見 ・業務で役立つ技術やツールの活用ノウハウの習得 |
| 個人プロジェクト | 個人で小さく試せるプロジェクトを持つこと | 💚 | 💚 | 業務に役立つツールの開発 ・ツールの開発に含まれるノウハウが役立つ ・ツールの開発時のプロジェクト管理スキルの習得 |
| 業務関連のコミュニティ活動 | 業務に関連するコミュニティを運営したり、参加したりする | 💚 | 💚 | コミュニティでの専門知識、スキルの習得 ・コミュニティ活動を通した対人スキルの向上 ・コミュニティ運営を通したリーダーシップの向上 |
| 業務関連における弟子の育成 | 業務に関連する領域での弟子の育成 | 💚 | 💚 | ・専門領域における育成スキルの向上 ・汎用的な育成に関わるソフトスキルの向上 ・対人スキルの向上 |
| 趣味関連のコミュニティ活動 | 業務とは関係ない趣味に関するコミュニティへの参加 ※ソフトスキルを強化したり、業務効率化を試す場になる |
💔 | 💚 | ・コミュニティ活動を通した対人スキルの向上 ・コミュニティ運営を通したリーダーシップの向上 |
| 趣味関連における弟子の育成 | 業務とは関係ない趣味の領域での弟子の育成 | 💔 | 💚 | ・汎用的な育成に関わるソフトスキルの向上 ・対人スキルの向上 |
| 人との関わり | 普段の人との関わり ※人に関わるソフトスキルを磨く場になる |
💔 | 💚 | ・対人スキルの向上 |
その他
業務ではあるが、本業では無いという意味で副業で経験を広げるケースもあります。
ただ、副業はできることをベースに取り組むケースが多いことから、経験の機会として期待して副業をするというよりは、副業をやっていてたまたまそこに経験の機会が含まれていた、という関係性になるでしょう。