セルフ・アウェアネス=自己認識ときくと、おそらく 自分からみた自己 を連想する方が多いかと思います。
書籍『セルフ・アウェアネス』を読んで、この言葉は 他者からみた自己 も含まれるということを知りました。
この2つの自己認識や、それを強化する方法についてまとめます。
2つの自己認識
内面的自己認識
内面的自己認識は自分から見た自己の認識のこと。
自身の強み、弱み、価値観などに関して認識できている状態。
外面的自己認識
外面的自己認識は他者から見た自己の認識のこと。
自身の強み、弱み、価値観などに関して他者からどう認識されているか把握している状態。
2つの自己認識による四象限
内面的自己認識/外面的自己認識 | 低 | 高 |
---|---|---|
低 | 探索者 | 八方美人 |
高 | 内省者 | 認識者 |
セルフ・アウェアネス P 26 「自己認識の4つの原型」より
- 認識者 - 自己を理解し、他者の意見を歓迎し自他からの自己を理解している
- 内省者 - 自己を理解しているが、他者からの意見を受け止めていない。他者評価や信頼獲得の面で成功しにくい
- 八方美人 - 他者からの意見は受け入れるが、確固たる自分を理解できず流されやすくなる
- 探索者 - 自己の認識が低く、他者からの意見にも目を向けず、行き詰まりやすい状態
2つの自己認識の強化手段
内面的自己認識
内省の際に、「なぜ(Why)」ではなく「何(What)」にフォーカスすること。
Why は事実よりも解釈に偏りやすく、バイアスに支配されやすい。
What で客観的に事実にフォーカスすることでバイアスに支配されにくい。
下記の記事にまとめた「事実質問」と「解釈質問」を内省時に使い分ける、という感じかなと思いました。
外面的自己認識
大前提として透明性幻想( Transparency Illusion)というものがあります。他者の自己に対する認識や自分の他人に対する認識は実際以上によくしっていると思いこんでしまうことです。
例えば、自分が他者と話しているときの表情に自覚的な人は少ないです。自分は上機嫌で話しているつもりでも、顔が険しくなってしまっていて相手に恐れられる、というようなことがありえるわけです。
例えば、私は表情豊かに物事を伝えることが苦手ですが、人の役に立ちたいという気持ちをもって物事を判断していることが多いです。この際に、無表情さから「気持ちを考えない冷たい人」と認識される可能性がありそうです。
このギャップを把握するには、他者からのフィードバックを得ることです。そして、得たフィードバックの中から変えるべき場所を見極め、実際に変えるためのアクションをとることによって現実上問題になっている外面に関する点を改善することができます。
まとめ
日常生活においても、仕事においても他者と全く関わらずにいることは難しいため基本的に物事を円滑にすすめるには外面的自己認識が重要になります。
そして、外面的自己認識を高めるには他者からのフィードバックがかかせません。
このようなフィードバックを得るためには、相手から信頼されていることが前提となります。
- この人相手なら、改善点をフィードバックすれば受け入れてくれるだろう
- 伝えたものに向き合って改善に役立ててくれるだろう
- この人の役に立ちたい
と思ってもらえている必要があります。反対にいうと
- この人に率直な考えを伝えるとすぐ怒ってしまう
- この人に率直な考えを伝えると落ち込み過ぎてしまう
- この人に率直な考えを伝えると攻撃してくる
- この人に率直な考えを伝えても、改善はしないだろう
- この人の役に立つのはしゃくだ
のように思われてしまっていると、率直なフィードバックをもらいにくいでしょう。
これを把握すること自体にも外面的自己認識がいるという罠・・・。
そして、通常年齢や立場が上になればなるほどフィードバック相手から見ると率直な意見を言いにくくなる傾向はありそうなので、そういった人ほど他の人よりもフィードバックされやすいふるまいをしておく必要がありそうに思います。このあたりは、広木さんが以前に Qiita で公開していた「権威勾配」の話に関わるところですね。
初期段階で、この前提を崩してしまっているとズレた自己認識を改めるべく協力してもらえる相手がいなくなってしまいます。
日頃の信頼が大切だと改めて思うところです。