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アジャイル化する人事。Harvard Business Review の人材育成・人事の教科書から学ぶ

『Harvard Business Review の人材育成・人事の教科書』を読みました。

特に気になった アジャイル化する人事 の章を掘り下げます。

目次

『Harvard Business Review の人材育成・人事』は以下のような内容を取り扱った書籍です。

  1. 「最高の職場」をつくる6つの原則
  2. シリコンバレーを魅了したネットフリックスの人材管理戦略
  3. CHRO は経営者たれ
  4. アジャイル化する人事
  5. ピープルアナリティクスで人事戦略が変わる
  6. 終身雇用を捨てよう
  7. 社員の成長につながる人事評価システム
  8. シニア世代を競争優位の源泉に変える
  9. コラボレーティブ・インテリジェンス:人間とAIの理想的な関係
  10. 差別の心理学:ダイバーシティ施策を成功させる方法
  11. 人材は潜在能力で見極める

個別トピック一つ一つが追加で掘り下げる要素のある本です。
ここを入り口に、さらに掘り下げたい領域を選ぶのによい本であると感じました。

アジャイル化する人事

時代背景から計画主義の長期的な人事施策が有効に働きにくくなっている。
例えば後継候補を早期から見込んだ後継者育成など。今だと育成過程で必要となる前提能力が変化することも珍しくありません。

そういった背景も踏まえ、人事領域でアジャイル化が進んでいるのは以下とのこと。

  1. 業績査定
    • Before
      • 任意の期間ごとに実施される面談
    • After
      • 継続的な対話
  2. コーチン
  3. チーム
    • 同僚同士のフィードバック強化
    • 部下から情報へのフィードバック強化
    • 現場への権限委譲
  4. 採用
    • スクラムマスターが採用プロセスを監督
    • 候補者要件の議論が決着するまでは採用活動に入らない
    • 空きポストに優先順位をつける
    • 全ポストの進行状況を可視化

業績査定の部分は、継続的フィードバックを行う OKR における CFR の話と通じます。
半年や1年に一回だけ人事評価面談を通してフィードバックするのではなく、常日頃、継続的にフィードバックすることが大切という考え方です。

コーチングもチーム内でのフィードバックも含めフィードバックの質と量が重要ということでしょう。

採用に関しても、採用人事の PM 化というキーワードを聞く機会が増えましたが、そういった視点に近く思います。採用市場の変化から採用要件のギャップも変化させていく必要性がある、と考えると PjM というよりは PdM 的な視点でプロダクトの仮説検証を行うような取り組み方が近いのかもしれません。
採用活動自体も同じことをただただ繰り返すのではなく、採用チームの振り返りを通して改善していく必要があるでしょう。

となると、チームにとっても個人にとっても

  • ふりかえり
  • フィードバック
  • アンラーニング
  • 学習能力

あたりが鍵となるのは確実ですね。

まとめ

最後に、アジャイル宣言を人事領域に当てはめてみることで、総括とします。

プロセスやツールよりも個人と対話を、
包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを、
契約交渉よりも顧客との協調を、
計画に従うことよりも変化への対応を、

人事領域版を考えてみました。

年に1,2回の評価面談 よりも リアルタイムフィードバックを、
一方的な期待 よりも、 従業員と企業の アライアンス契約 を、
上から下への一方的な指導 よりも、 心理的安全性 を元にした相互フィードバック を、
長期的な後継育成計画 よりも、 継続的なコーチング・キャリアサポート を、

を価値とする。

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