「ケアする人も楽になる 認知行動療法入門 BOOK1」を読みました。
- 作者:伊藤 絵美
- 発売日: 2011/02/01
- メディア: 単行本
COVID-19の影響もあり、不安を膨らませやすい前提がある現状かと思います。私はもともと多重請負環境での過剰労働やパワハラにより、メンタルを消耗し、カウンセラーさんの指導のもと認知行動療法を実施して回復した経験があります。そういったこともあり、このご時世の標準スキルとして自己のメンタルを良好な状態に保つツールとしての認知行動療法を身につけるのは有効なのではと考えました。そこで、認知行動療法入門で得た内容をもとに大枠をまとめ、事例を示し、認知行動療法への関心を強めることができるとよいなと考えています。
大まかな内容
ストレッサーとストレス反応
ストレスを発生させる元をストレッサーと呼びます。ストレッサーによっておこる反応をストレス反応と呼びます。
ストレッサー、ストレス反応にはそれぞれ以下のような要素があります。
- ストレッサー
- 状況 - 例えば以前嫌なことがあったときと同じ状況など
- 出来事 - 例えば転勤、喧嘩など
- 対人関係 - 例えば苦手な人、上下関係など
- ストレス反応
- 認知 - ストレッサーをどう捉えるか
- 感情 - ストレッサーにより、どのような感情になるか
- 行動 - ストレッサーの結果、とる行動はなにか
- 身体反応 - ストレッサーの影響で身体にでる反応
ストレス反応は、それぞれの要素がそれぞれに影響を与えます。場合によっては、
- ストレッサーに対して過度にマイナスの認知で捉える
- 認知の影響で不安が広がりみるみる感情が落ちていく
- 感情が落ちた結果、身体に影響がでて体調が悪くなってくる
- 体調が落ちた結果、活動的に行動するのが難しくなり上向きに持ち直しにくくなる
というような負の反応が連鎖をおこす可能性があります。
アセスメント
現実にマイナスのサイクルに入っていく場合、上記のようにストレッサーとストレス反応や、ストレス反応の相互反応が発生しています。しかし、多くの場合、上記のような連鎖がどのような関係で発生したか頭の中で整理することなく、漠然とした不安の中でマイナスの影響を膨らませます。
問題を解決するにはまず明確にする必要があります。ストレス反応を自覚したら、それがどのようなストレッサーが原因で、ストレス反応がどのように反応しあっているのかを書き出し、整理することが出発点となります。
この活動を アセスメント と呼びます。
コーピング
アセスメントで問題を明確にしたら、次は解決です。
ストレッサー、ストレス反応の中には、変化させられるものとさせられないものがあります。まず、ストレッサーですが、外部環境や他者などすべて自分ではコントロールできません。また、ストレス反応のうち、感情と身体反応はコントロールできません。
そのため、認知と行動を変えていき、その結果その他の要素へ影響を与えていくのが解決策となります。ストレッサーを解決していくことを コーピング と呼びます。
事例
- 前提
- 炎上開発プロジェクト参加している開発者が対象者
- ストレッサー
- 状況 - 最初からスケジュール通りの進行が困難な炎上システム開発プロジェクト
- 出来事 - 期待される通りに進行しない個人の開発担当
- ストレス反応
- 認知 - 自分の能力が不足しているため迷惑をかけている
- 感情 - 申し訳ない気持ち。自信を失う気持ち
- 身体影響 - 落ち込みからくる活力の低下
- 行動 - 消極性が強化される
アセスメント結果が上記のようになる出来事があったとします。
この場合、実際はプロジェクト自体の前提によって担当業務が無理筋なボリュームで開発が間に合わないだけ、という認知の歪みが存在します。開発者個人の実力ではどうにもならなったものだった、と捉えることができるのがコーピングによる対処になります。この捉え方により、申し訳なかった感情が薄まり、身体への影響が減り、消極性が薄まり積極性へと転化しやすくなれば、コーピングが成功になります。※成功するとは限らないので、その場合は別の手を試していくことになる
まとめ
自分自身・同僚・家族・友人のために心をケアする手段を身に着けたい、という方に認知行動療法への関心を持っていただけたら幸いです。