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OKR の兄弟ともいえる手法「CFR」の存在を知った。Measure What Matters 読書感想

Google に OKR を持ち込んだジョン・ドーアさん の「Measure What Matters」を読みました。

日本でもベンチャーを中心に増えはじめた 目標管理手法 である OKR ですが、よくある参考資料としては re:Work があるくらいで、詳細な運用方法については不足しているような気もしていました。
その行間については、各社が自社のコンテキストを踏まえて「いいかんじ」にやってきたのだろうと予想します。
その行間を確認できる書籍なのではないか、と思いました。
※実際に OKR の運用をしている組織の中で話を聞いたわけではないので、 Web で見かける情報を元にした推測です

どんな本?

OKR の目的・効果・運用法とそれにまつわる多様な事例がまとまった書籍になっています。

OKR の情報自体はよくみかけるので、ここでは第2部の 継続的パフォーマンス管理 で語られている CFR に注目することにします。

CFR は OKR と相互に補強しあう性質があるとされています。
書籍中では、アメフトに例えて

ゴールポストがあなたの目指す目標で、
ヤードラインはそれぞれの目標に至るまでの「主要な結果」だとする。
中略
あらゆる集団的取り組みに不可欠なのは、試合を勝ち進んでいくなかでチームの絆を強くするさまざまなやりとりであり、それがCFRだ

とされています。

ジョン・ドーア・2018年・日本経済新聞出版社・「Measure What Matters」 (土方奈美訳)- P253

CFR とは?

CFR は以下の頭文字をつなげたものです。

  • Conversation - 対話
  • Feedback - フィードバック
  • Recognition - 承認

OKR は重要な目標にフォーカスすること。
全体のつながりを持つことでや目標が透明化されることで アラインメント を実現すること。
進捗を定量化することでトラッキング可能にすること。
ストレッチ目標 で取り組む人々のパフォーマンスを高めること。
など、様々な効果が期待できます。

これを実際に達成するためには、 CFR が必要となります。

CFR はなんのためのものかというと継続的に組織のチーム・個人のパフォーマンスを改善するためのものです。

従来のパフォーマンス評価は、年次評価などスパンが長い物が多く、報酬と連動しているものが多いです。
OKR は常にパフォーマンス評価が可能な状態にすることで、継続的にパフォーマンスを改善可能にすることを目指しています。

例えば、年に一回目標に対するふりかえりをしたところで、取り組みの詳細を覚えていないことも多いでしょうし、情勢が変わっていてそもそも目標自体が的外れになっているかもしれません。
また、評価と連動していると報告内容を実体よりよく見せる動機や、最初から目標を低く設定する動機が強くなってしまいます。
この状態ではチーム・組織のパフォーマンス改善の効果は低くなってしまいます。
それは、結果として組織の成長速度を鈍化させます。

一方、OKR は目標自体を状況に合わせて変更することが許されています。
評価に紐付いていないため、組織にとっても個人にとっても本気で取り組めるレベルの高い目標を設定できます。
その高い目標の設定や、その経過で行われる 1 on 1 の際は 対話 が必要になります。
常に全体に公開されているため、いつでも誰からでも フィードバック を受けることができます。
そして、関わるものの 承認 (感謝の声や表彰など)を意識的に行うことで、エンゲージメントを高め、継続的に目標に取り組むテンションに満ちた場にします。

まとめ

CFR の内容はコーチング手法に含まれるものばかりなので、組織としてコーチングを取り入れているケースは特に意識することなく、 CFR をしているかもしれませんね。
逆に、そういったこともなく、 OKR があるけど、報酬と連動していて、しかも四半期に1度くらいしか内容を確認していない、というような場合はおそらくもともと意図されている効果を生み出しにくい状況になっているのではないかと思います。
確認する意味でも、 OKR の導入企業の方にとっては必須の書籍ではないかと感じました。

OKR 誤運用チェックリスト

  • 報酬制度と結びついている
  • 継続的にパフォーマンスを評価せずに長めの期間(四半期や1年)をあけている
  • 組織・チーム・個人の目標のつながりを把握できていない人が存在する
  • ストレッチ目標(6-7割達成すれば成功と呼べるような目標)になっていない
  • 時間とともに前提が変わったが目標が古いまま
  • CFR にあたるものが特に実行されていない
  • Key Results をすべて達成しても Objective が達成されない
  • Key Results が SMART な目標になっていない

関連資料