ソフトウェア開発者の採用に関して「良いエンジニアを採用するにはどうしたらいいか」というエントリが話題になっていました。
この記事の中に
特に統計をとったわけではないのですが、自分の周りの良いエンジニアは社員の紹介経由で転職することが多いです
とあります。この「リファラル採用」について掘り下げてみます。
※補足になりますが、個人的に複数の組織に対してリファラル採用で「紹介する側」になったことや、現在転職活動中で「紹介される側」になったことがあります。
リファラル採用に至る道
- 組織の共有ビジョンが明確であること
- 組織が魅力的であること
- 現場で必要としている人材の役割・責務が明確であること
- 声をかける社員が魅力的であること
- 社員がリファラル採用に協力したいと思える組織であること
- 社員が目利きであること
- 社員の交友範囲が広いこと
組織の共有ビジョンが明確であること
組織に所属する人間が自信をもって知人・友人を紹介するためには、
組織のビジョン・ミッション・バリューを自分の口で語れる必要があります。
そのため、ビジョンが明確であり、それが形骸化せずに本物として浸透している必要があります。
組織が魅力的であること
声をかけられる側にとって、魅力的である必要があります。
人が企業に対して感じる魅力は個人の価値観によって異なりますが、少なくともないよりはあったものがいいものとして
- 働く仲間が優秀であること
- 働く仲間と目指す方向性が近いこと
- ※個性としての多様性は認めつつ、成し遂げる方向性が一致していること
- 成果を出しやすい快適な労働環境であること
- 十分な待遇であること
などがありますね。
最低限これらが採用競合よりも魅力的である必要があります。
その上で、その企業特有の魅力が必要になると思われます。
現場で必要としている人材の役割・責務が明確であること
知人・友人に声を掛けるには、いま組織・チームでどのような知識・スキルをもった人材が必要となっているかが
明確になっている必要性があります。
また、少し高度ですが、仮に正式な募集職種として用意されているポジションが無かった場合でも、
自社の共有ビジョンを把握していれば、目の前の優秀な人にどんなポジションを与えることができるか想像し、
社内と調整することもできるでしょう。
声をかける社員が誠実で魅力的であること
リファラル採用では、声をかける社員が相手から信頼され、魅力的に思われている必要があります。
声をかけられる側の心情で言えば
「この人が話すのなら、これらの話は全て真実だろう。魅力的なオファーだ」
「この人と一緒に働いてみたい」
と思ってもらえるのなら、社内に取り次ぐところまでは円滑に進むことが想像できます。
社員がリファラル採用に協力したいと思える組織であること
社員がリファラル採用に協力したいと考えるには、社員が組織のためなら自分の「信頼」を元に、
知人・友人に声をかけて、ぜひ組織のため、そしてその先の顧客のためになりたいと考える。
また、この素晴らしい環境で知人・友人も仲間になってほしいと考えるような関係である必要があります。
逆に組織側が知人・友人に対して失礼な対応をした場合、紹介した社員の信頼問題につながり、下手をすると紹介した社員とその知人・友人の人間関係が悪くなってしまう可能性すらあります。
社員が目利きであること
社員が紹介する相手の実力を大枠で的確に評価できていることや、
自社の文化にマッチする人物であるかどうか判別できている必要があります。
社員の交友範囲が広いこと
誠実で、魅力的な社員がいたとしても、その社員の行動範囲が狭ければ、声をかける相手が少なくなります。
得手不得手や、個人の趣向もあるので無理やりつながりを増やしてもらう必要はありませんが、
激務過ぎて外部の集まりに顔をだす機会を失わせたり、社内で得た経験の発表を禁じることで
イベントで登壇する機会を奪うなど、しないようにするとよいでしょう。
その上で、 public な活動を促進するような評価制度を追加することで、
外のつながりを広げる動機を増やす施策を用意するのもよいでしょう。
マネーフォワードの採用戦略
元マネーフォワードの越川さんが 2016 年に執筆した記事が、先述の要素の多くをカバーしていてわかりやすいです。
まとめ
リファラル採用をした、された立場からリファラル採用を運用する企業の立場で、必要となる要素を考えてみました。
待ちの採用では、「人で不足倒産」が待っているかもしれない労働者減少の未来が待っていると考えると、リファラル採用にどれだけ積極的に取り組むことができるかは、組織の未来にとって重要な要素であるように思います。