複数の友人・知人に書籍をおすすめしてもらったのと、他の書籍からの引用もあり、前から気になっていた「 ALLIANCE アライアンス―――人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用 」を読みました。
ALLIANCE アライアンス―――人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用
- 作者: リード・ホフマン;ベン・カスノーカ;クリス・イェ,篠田真貴子;倉田幸信
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2015/07/10
- メディア: 単行本
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著者は LinkedIn の共同創業者でもあるリード・ギャレット・ホフマンさん他2名。
ホフマンさんは、つい最近読んだ「 GIVE & TAKE 「与える人 」こそ成功する時代」でも、ギバーの成功者の代表例として登場していました。
翻訳はほぼ日の 篠田 真貴子さん 。
シリコンバレーで実践されているという「ALLIANCE」という雇用形態がどんなものか?
日本ではどうだろう?
そんなことについてざっくりまとめてみます。
ALLIANCE とは?
ALLIANCE とは、個人と会社がお互いの目標達成のために期限を設けて合意をするような関係を築くことです。また、退職後も継続して協力し続けていけるような関係のことです。
背景として、アメリカにおいて終身雇用が終わりを迎え、
会社からすると状況に応じて都合のよいように社員を扱い、
社員の側もよりよい環境があればすぐに他に移る、といった状況がありました。
この状況では会社の人材の力は強まりませんし、個人も会社のバックアップが得られないので、好ましいキャリアを築きにくくなります。
これを解消するのが ALLIANCE です。
個人は自分のキャリアの実現を支援してもらう代わりに、会社の目標に全力で貢献する。
会社は会社の目標に貢献してもらう代わりに、個人のキャリアを全力で支援する。
さらに、その関係は退職後も続けます。
良好な関係のまま退職した個人は退職後も、組織に対して人脈や新たな場で得た人脈の紹介や知見の共有をしてくれます。
代わりに会社は退職した個人からの貢献に対して報酬や会社側から提供できる情報・人脈などで報います。
日本とアライアンス
まだまだ終身雇用の名残が残る日本ではありますが、
Web系の会社ではこれに近いようなことが非公式に起こっていそうにみえます。
多くの優秀な人材を抱えるWeb系の会社では、人材があちこちを巡っていて、
退職後も良好な関係を継続しているという話はよく耳にしますし、インターネット上の
人の交流をみていても感じ取れます。
勉強会やカンファレンスなどでも、活発的に活動する人は限られていることもあり、
元同僚たちが顔を合わせる機会も多いでしょう。
こういった非公式な退職後交流、という意味でのアライアンスは今の日本でも
一部であるように見えます。
例えば、サイボウズ辞めたエンジニア、なんていうイベントもありましたね。
まとめ
ブランディングやビジョンの共有などが語られ、企業とのカルチャーマッチの重要性について語られているのをよく目にします。
しかし、そもそも組織のビジョンや価値観と個々人のビジョンや価値観はそこまで一致するものなのか、という疑問は残ります。
例えばとても優秀だけど根っこの願いは「わい、働らきたくないので、将来はたらかないで済むために今だけ働く」という人は、どこの会社にも根っこからは共感しないでしょうし、ずっと在席し続けてくれることはないでしょう。
大筋で共感することが好ましい、ということはあると思いますが、組織のミッション・ビジョン・バリューはあくまで、創業者や現経営者の想いである事が多いです。
後から入社してくる社員すべてが創業者や経営者の想いを自分自身の夢であるかのように感じるのは難しそうです。
もちろん、本当にぴったり想いが一致して「この会社で骨を埋める!」というケースもあるとは思いますが、比率としては低いでしょう。
そういった意味ではアライアンスのように、お互いの利害の一致を元にした関係のほうが、お互いにとって好ましい成果がでるというのは納得感がある気がします。
ここまでは会社と個人の関係性として ALLIANCE について言及してきましたが、もう一つ大切なことは書籍中で「ネットワーク情報収集力(Network intelligence)」として語られている概念です。
スタートアップにとって、成功のために必要な情報こそ価値がある。
競合との差別化、問題の解決、知識の掛け合わせによる発見やその結果としてのイノベーション。
書籍やWebでは得られない個人の暗黙的な知識など、これがあるかないかで一つの問題の解決速度が大きく変わったり、そもそも解決有無が変わったりする。
それを踏まえると、人のネットワークが社外まで広がっているということは、組織内外の脳を活用して組織を運営できるということになります。
そのために必要なのが、
であり、優秀な人達同士の社内外をつなげる人的ネットワークを用いて情報を獲得できるかどうか、という点なのです。
そして、こういった恩恵をもたらしてくれる人材への評価や、こういった行動を支援・推奨していくために会社として取り組みをしているのが LinkedIn であるようです。
日本でも類似の取り組みをしている企業はあるのかな?