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「あいつはDRYなやつだよね」「「確かに」」 - 多義性とミスコミュニケーション

誰かと話をしていて、どうも話が噛み合わない。
そんなとき、多義性をもった言葉の誤認識が発生していないでしょうか?

多義性とは?

多義性とは、ある対象が複数の意味で用いられる、解釈可能であること。曖昧さ。

ミスコミュニケーションとは?

ミスコミュニケーションとは、発信側の意図と受信側の解釈がずれることです。

具体例

DRY という言葉は人間に対して使う時、一般には感情よりも理論。
場合によっては冷淡というような意味を持ちます。

システム開発においては Don't Repeat Yourself を略して DRY という言葉があります。
こちらは、重複を許さず冗長性を減らしていく、といったどちらかというとポジティブな意味を持ちます。

この2つは全く意味が異なりますが、 Don't Repeat Yourself は本やインターネットを活用した
学習をあまりしていない人は出会いにくい言葉です。
そのため、同じ開発者でも

田中さん「たかしくんは DRY なやつだよね」
佐藤さん「確かに(こだわりのリファクタリング職人だよね)」
鈴木「確かに(冷たいやつだよね)」

という解釈がありえます。
このとき、田中さんは Don't Repeat Yourself の意味で発言していたとすると
田中さんはたかしくんを褒めるニュアンスで話していたとしても、
鈴木さんはたかしくんをディスっていたと認識して、ひょっとしたら

鈴木「田中さんがお前のこと冷たいやつだってディスってたよ」
たかしくん「げきおこ」

という展開がありえます。

特殊な多義性

独自定義

もともと正式な用語として意味がある言葉に、発信者独自の意味を込めているケース。
もし事前に発信者独自の解釈であることを伝えていなければ、よほど発信者のことを
理解した受信者であるか、話の流れから「これは独自解釈だな」と気づくことができる
地頭がない限りはミスコミュニケーションが発生するだろう。

誤認識

そもそも言葉の意味を間違えて覚えているケース。
誰かが文脈のおかしさに気づいて指摘できないとミスコミュニケーションが発生するだろう。

対策

相手を知り言葉を選ぶ

相手の知識が想定可能な場合は、

  • コンテキストを省略する
  • コンテキストを明示する

などの選択がしやすくなります。
まずは相手の知識を想定して話す、という意識づけが必要になります。

可視化する

会議であればホワイトボードへの板書やグラフィックレコーディングなどによる可視化によって
意味のズレを発見しやすくなります。

心理的安全性

相手側が不明点を確認しやすい関係を作っておくことも大事です。
「間違っているかも。でも無知を知られると怒られる or 甘く見られる」など、
確認することの心理的コストが高いと認識齟齬をなくす機会を逃すでしょう。

まとめ

多義性のある言葉を用いたハイコンテキストなコミュニケーションは短い言葉で済むので楽ですし、
みなまで言わずに伝わったときの一体感のようなものもありそうです。
ただし、ハイコンテキストであればあるほどミスコミュニケーションの可能性は高まります。
そして人によってはハイコンテキストな言葉が伝わらない相手を責めることすらします。

相手にあった言葉を選んで話すことができているか、確認してみようと思います。

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