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Employee Experience Engineer tbpgr(てぃーびー) のブログ

Recruiting Operations のお仕事 Part 1 - 質向上編

この記事は スタディストアドベントカレンダー 2019 の2日目の記事です。

私は2019年7月にスタディストに入社し、2019年9月の中旬から開発部門の採用を担当するようになりました。 前職までは Web のエンジニアをしていて、人事になった今でも自分にとって必要ならプログラミングで問題を解決することもあります。 今回は開発部門の採用に関わり始めてから今まで 2 ヶ月程度の期間でやってきたことを通して、 Recruiting Operations を名乗る私がどのような施策を行っているかをお伝えします。

Recruiting Operations とは?

Recruiting Operations とは

  • 業務の効率化のための改善を継続的に行う
  • 最新のツール類を活用することにより、業務改善を実現する
  • 採用に関わる全てのプロセスを形式化する
  • データを活用した改善サイクルを回す。推測と意思決定の質を上げる

というような責務を持つ職種です。 もっと大きな粒度でいうならば「採用の質と効率を高める人」という感じです。 詳細はこちらにまとめてあります。

tbpgr.hatenablog.com

スタディスト採用の歴史

私が取り組んだ施策を紹介する前に、スタディストが採用に対して取り組んできたことの歴史を前提としてお伝えします。

創業直後は人事グループは存在せず、総務グループが採用を行っていました。 多岐にわたる業務を抱えながらの採用ということもあり、多くをおまかせできるエージェントさんと、つながりを活用できるリファラルが主要な採用チャネルでした。 そこから人事グループが立ち上がり、少しずつ他の採用チャネルも試し始めるようになりました。 人事のリソースの制約や、もともと開発部の北野が採用にアンテナをはってくれていてた関係で開発部の採用は自走していた面がありました。

取り組み内容

このような背景を踏まえ、個別の採用オペレーションとは別に Recruiting Operations として以下のような取り組みを行っています。

  • 採用の質向上に関わる取り組み
  • 採用のプロセス改善に関わる取り組み
  • 採用状況の可視化に関わる取り組み

当記事では「 採用の質向上に関わる取り組み 」をご紹介します。

採用の質向上に関わる取り組み

採用の質向上に関わる取り組みに関しては、以下の優先順位にそってすすめています。

  1. 開発採用チームの立ち上げ
  2. 組織が求める人材像の明確化
  3. 職務の明確化
  4. ペルソナの作成
  5. 訴求要素の明確化
  6. 選考の質向上

まずは開発部の採用に対してこの順に取り組んでいますが、特に開発特有の話ではないため、うまく機能しはじめたものを順次開発以外の採用にも横展開したいと考えています。

1. 開発採用チームの立ち上げ

開発部の採用を行うにあたり、開発採用チームを立ち上げました。開発部の組織づくりの責任者である SRE グループのマネージャーである北野を中心に Web アプリグループのマネージャー、ネイティブアプリグループのマネージャーと人事の採用担当者である私の4名のメンバーです。 私がこのチームに SERT という名前をつけました。Studist Engineer Recruiting Team の略です。いまのところ、そんなに浸透してません!!

SERT では

  • 今行っている個別の採用に関する課題
  • 中長期に向けた課題

について定期ミーティング・任意ミーティングにて話し合います。

SERT の課題は Backlog で管理しています。

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共有すべき情報は Backlog の Wiki で共有しています。 以下のサンプル画像は採用施策の歴史を確認できるようにした Action History です。施策の歴史が残っていると、あとでふりかえる際に、どの施策の影響でどのような変化がおこったのかの因果関係を確認できるようになるため記録するようにしています。

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候補者さんの基本的な情報は ATS(Applicant Tracking System) である Talentio で管理しています。ステータス管理にかんばんを使いたいこともあり、別途 Trello のかんばんを活用しています。 かんばんのレーンでステータスが確認でき、個別の採用に対するタスクレベルの進行状況は各カードのチェックリストで確認できるようになっています。

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個別に発生する採用に関するやりとりは、 Slack の開発採用向けの channel で連携します。 新規の候補者さんごとに Slack にスレッドを作成してアクティブの間は pin し、非アクティブになったら unpin しつつ「対応完了」の Emoji をつけるようにしています。 この channel は private channel になっており、選考に関わる人のみがみています。 純粋に見た目でのわかりやすさと、任意の候補者の方のやりとりを探すために使う時間を可能な限り減らしたい、ということでこの運用にしています。 個人の機密に関しては Talentio 側で、より厳格に管理しています。 Slack で行うのはあくまで面接のアサインや日程調整などのコミュニケーションです。

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2. 組織が求める人材像の明確化

まず最初に職種を問わず、開発部が求める人材像を明確化することになりました。 ここは、SREの北野が時間をかけ、開発部全体に内容を共有しつつ内容を仕上げました。 実際の内容は以下になります。

## 知る、考える、作り出す喜びにあふれる
私たちのビジョン「知る、考える、作り出す喜びにあふれた 知的活力みなぎる社会をつくる」を実現するためには、私たち自身が実践する必要があります。

## 深く考え、早くためす
私たちのバリューの1つである DeepWork https://studist.jp/value/ の真髄は、そもそもやらないことを決めることにあります。試す前に、その仕事はなぜやるのか?そもそもやるべきか?を深く考えることが大切です。目の前に飛び込んできた仕事をこなすだけのスタイルは、私たち自身も消耗しますし、本当にユーザー志向なのか?カスタマーサクセスなのか?は疑問です。そういった不毛な仕事をしないためにも、建設的な批判目線を持った人に来てもらいたいと思っています。

## 楽しく働くために、チームを信じる
スタディスト開発チームでは「すべては楽しさのために」ということを大切にしています。このメッセージを実践するためには、チームを信じることが必要不可欠です。良いチームでは、メンバー同士の信頼関係が担保され、その結果、コトに向き合うことができます。チームを信じるからこそ、コトに向き合うことができ、酸いも甘いも含めた仕事の楽しさを感じられるようになると信じています。

## 多くの手札を持ちつつも、固執しない
ユーザー志向、プロダクト志向を突き詰めると、手段に固執する必要はありません。プロダクト開発は常に選択肢は無数にあるので、手札に固執せずお客様の価値を最優先にできる人物を求めています。

開発部で募集を行う際は、求める人物像にこの内容を記載しています。

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3. 職務の明確化

次にオープン中の職種の職務を明確化します。 ここでは職務分析を行いました。 職務分析 とは、職務における、役割・責務・必要なスキルなどの内容を明確化していく分析活動です。

職務分析の成果物として Job Description を作成しました。

もともと求人作成の際に Job Description は作成してあったのですが、組織の変化をキャッチアップしきれない状態になっていたこともあり、各職種の責務や必須要件・歓迎要件をより明確にすることができました。以下は、 Android エンジニアの Job Description です。

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4. ペルソナの作成

次に、ペルソナを作成しました。 求める人物像にあてはまり、職務を遂行する必須要件・歓迎要件を併せ持つ方はどこにいるか? ターゲットを定めることがペルソナ作成の目的です。

5. 訴求要素の明確化

ペルソナが定まったことでターゲットとなる候補者さんが組織に求めることが大枠でわかるようになります。 実際は面談時に個別の候補者さんの Want を確認するわけですが、現段階ではまだ見ぬ相手に大きな粒度で的を定める、という感じです。

そこで、ペルソナに訴求するための要素 = EVP を定めます。

EVP は Employee Value Proposition の略で、会社が従業員に対してどのような価値を提供できるか、ということを表す概念です。 SERT では EVP を動機づけ要因と衛生要因に分けて考えています。 動機づけ要因は満足、衛生要因は不満に関わる要素というとわかりやすいでしょう。 これを各ポジションのメンバーが主観で感じるものを教えてもらい、ペルソナに訴求するものを選びました。 また、各 EVP は本当にそれがあるというエビデンスがあってこそ信頼性が増すので、現在はもともとある EVP に関わる発信を整理したり、アウトプットされていなかった EVP をブログで発信するなどの対応中です。 今後の対応としては EVP 一覧を作成し、必要に応じてすぐそのエビンデスを紹介できるような状態にしていく予定です。

6. 選考の質向上

スタディストの開発部として求める人物像、職務に求める必須・歓迎スキルが定まり、ペルソナが求める要素が定まったことにより、選考の質を向上させるための前提が揃いました。 次にくるのは選考です。これから着手予定の部分になります。

選考は相互のマッチングです。 会社側から見た場合の

  • カルチャーマッチ
  • スキルマッチ
    • プログラミングなどの専門スキル
    • 論理的思考などの専門スキル以外のスキル

あたりがマッチする必要があます。

候補者さんから見た場合

  • 転職に際して個人が求めるもの

がマッチする必要があります。 その上で、選考体験が良好であることや、選考上の競合よりも魅力あるオファーになる必要があります。

これらが好ましく機能する面談や選考設計を行っていきます。

今後

現在は開発部の採用に対して質を上げるための取組を実施しています。
一通りの施策がワークし始めたら、他部門へと横展開していく予定です。