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Employee Experience Engineer tbpgr(てぃーびー) のブログ

開発の採用活動に必要な前提知識と人事・開発それぞれからみた習得難度

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ソフトウェア開発者の採用において、必要となる知識について元ソフトウェア開発者であり、ソフトウェア開発者の採用担当もしたことがある目線で、それぞれから見た理解難度についてまとめることにしました。

ソフトウェア開発者の採用関連知識

  • ◎ - 元から詳しい
  • ○ - 学習すれば大丈夫
  • △ - 学習で一定レベルまでいくが高いレベルには至りにくい
  • X - 習得困難
カテゴリ 項目 人事 開発 メモ
全般 ATS HRMOS, HERP, Talentio 等
全般 個人情報保護法 応募関連の個人情報の扱い
全般 採用関連メトリクス Time to Hire など、採用関連の重要なメトリクスの理解・運用
全般 市場相場 相場販売元、媒体、他社採用関係者などから入手
採用広報 採用マーケティング 転職顕在層、潜在層。採用ファネル。タレントプール。ナーチャリングなどへの理解
採用広報 開発のEVP 人事は開発から情報を得ることはできるが詳細度が高い説明は難しい
採用広報 EVP以外の開発に関する情報透明化 人事は開発から情報を得ることはできるが詳細度の高い説明は難しい
求人要件定義 職務記述書 X いわゆる Job Description にあたるもの。現場にしか作れない
求人要件定義 募集背景 X 現場にしか作れない
求人表作成 労働基準法 求人票に記載する項目など。人事が詳しい
求人表作成 求人要件 X 現場にしか作れない
エージェント対応 エージェント対応 詳しく求人要件を伝えるのなら伝言ゲームをせずに開発が伝えたほうが詳しく伝わる
カジュアル面談 情報提供 詳しく開発組織や職務について伝えるなら開発が伝えたほうが詳しく伝わる
カジュアル面談 アトラク 実際の体験談や、現場にいないとわからない業務の魅力を説明できるのは現場のみ
スカウト 各採用チャネル前提知識(リファラル) 該当チャネル向けの知識
スカウト 各採用チャネル前提知識(Twitter) 該当チャネル向けの知識
スカウト 各採用チャネル前提知識(Twi採用媒体tter) 該当チャネル向けの知識
スカウト 開発者にささるスカウト文 X 開発に関わる魅力を語れるのは現場のみ
応募対応 各採用チャネル前提知識 チャネルごとに利用方法やターゲットが異なるのでそれぞれ覚える必要がある
選考 書類選考 典型的には求人票の必須要件に当たる内容によるチェック。技術的観点が必要で、人事には難しい
選考 カルチャーマッチ(組織) 開発の枠をこえた全社に関する文化理解は人事のほうが詳しい
選考 カルチャーマッチ(チーム) X 開発に関する文化理解は開発以外には難しい
選考 スキルマッチ X 開発に必要となるスキルは開発のみがわかる
選考 コーチン 転職軸を確認する流れで、まだまとまりきっていない方のキャリア整理のお手伝い
開発文脈に関わるため、開発者以外だと難しい範囲がある
選考 アトラク X EVP, EVP以外の訴求要素による魅力付。開発組織、技術に関わる詳しい魅力を把握できるのも、一緒に働くことになる当事者として説明できるのも現場のみ
オファー面談 労働条件通知書 雇用条件等の説明文書
オファー面談 SO SOを付与する場合

まとめ

大枠の特徴として、開発現場は学習すればなんとかなる範囲の対象しかないのに対して、人事からみると開発特有の内容はどうしても △ / X になっています。この全体像をみてあらためて、開発の採用活動は開発が主導するとよりよい成果につながるだろう、と感じられます。

とはいっても開発現場には開発の実務もあり、人事と分担・協力しつつ採用活動をすすめることになるかと思いますが、人事が △ / X になっている部分に関しては密な連携や詳細度の高い情報提供が必要となるでしょう。逆にいうと、この部分で浅い情報提供や薄い連携になっていると、採用活動の改善サイクルが回りにくくなるでしょう。

人事としては開発文脈以外の採用全般に関するプロフェッショナルとしての知見が活躍のしどころではないかと思います。