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Employee Experience Engineer tbpgr(てぃーびー) のブログ

自走力を持つ人材が成果を出すまでの要素分解

Twitter で自走力に関する発言をちらほらみかけたのと、私自身も自走というトピックに関心があるので、その要素を分解してみることにしました。

自走力 とは?

スタートアップ、ベンチャーの文脈でよく見かける「自走」という言葉。
ということで、「自走 スタートアップ」で検索して上位の記事でその意図するところを確認してみました。

logmi.jp

特に「自走」について「自走」という言葉以上に語られてはいないのですが、大枠としては指示待ちではなく自分で考えて意思決定できることであるようです。
その力がある状態が「自走力」がある、と考えてよさそうです。

自走力がある人として求められそうな要素を考えると

  • 現状の把握に必要な情報を集めに行くことができる
  • 理想と現状を把握し、その差分から次にとるアクションを意思決定できる
  • 必要なアクションのために必要な人を巻き込むことができる
  • 新たに必要となるアクションのために必要な知識・スキルの習得を自発的に行うことができる

などかな、と思います。

なぜ自走力が求められるか?

スタートアップの状況でのスピード感から、

  • やる必要のあることがたくさんある
  • 停滞は破綻につながる
  • 状況は刻一刻と変化する

などという前提があり、そこで指示待ちをされていると物事が進むスピードが遅くなってしまい、破綻につながる。 ということなんだと思います。

自走力が成果に結びつくための前提

仮に社員側に自走力があったとして、必ずしもそれだけで成果に結びつかないと考えています。
自走するために最低限必要な土台や、自走の方向性が正しくなるための土台が必要となるためです。

具体的には

  • 組織の目的、現状、方針が明確になっていることにより、意思決定の指針となる
  • 組織の目的、現状、方針が組織全体に浸透していて、これに沿って意思決定をしていればステークホルダーの協力が得られる
  • 目の前の成果だけではなく、必要となる新たな取組のために多少でも立ち止まって学習する時間を確保するために業務に一定の余力がある
  • 役割、責務がある程度明確であり、連携・協力先との関係性が明確になっている。それでいて領域の境界付近において相互に協力関係を築けるようになっている
  • 意思決定に必要な情報が可能な限り広く組織内に共有されており、かつ、その情報鮮度が新しく保たれている
  • 前提・目的・ゴールは明確に共有される必要がある

などです。

前提・目的・ゴールの部分はあくまで何を目的にどこに到達してほしいのか、ということが共有されているかです。
How の詳細までマイクロマネジメントする、という話ではありません。
もちろん求められる役割が大きくなるにつれ、目的・ゴールの抽象度は上がるだろうが、どの抽象度になるにしろ、それは明確である必要があると思っています。

上記のような前提がないと、自走力がある人材がいてもその意思決定が外れやすくなったり、行動が最後まで到達しにくくなったり、そもそも手一杯で行動できなかったり、衝突が増えて組織内が不健全になる、などの影響が予想されます。
結果として、もともと自走力があったはずの人材もどこかで諦めを感じてもともと主務としてアサインされている業務以上のことをしなくなっていく可能性が高まるのでは、と予想します。

まとめ

ここまで自走力として個人に求められそうな内容と、組織に求められるであろうという内容をまとめてみました。
で、どちらもかなりレベルが高いと思いました。
「自走力がある人」と判定されそうな人は、相当優秀で市場価値が高い人に見えます。
「自走力が結果に結びつくための組織の土台」についても、かなり適切に組織づくりをしていることが前提になるように思います。

現実問題は「自走力が有る人」のみを揃えることができる組織は採用競争力がかなり強い魅力的な組織と予想されます。
その比較的レアな企業を前提からはずすなら「自走力を意図的に伸ばすことができる」という状態にするのが重要そうです。
また、自走が空回りにならないような企業側の努力自体は個人が自走する力を身につける以上に難しいように思います。

CM

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