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Recruiting Operations tbpgr(てぃーびー) のブログ

採用競争激化において無視できない存在になった Employee Experience のそもそもの目的は?

労働人口減少傾向のなか採用競争が激化するエンジニア界隈。
日本での Employee Experience の話は、その方面からでてくることが多いように思います。

書籍「エンプロイー・エクスペリエンス」では、そもそもなぜ Employee Experience が重要なのか、というところも含めて語らています。

エンプロイー・エクスペリエンス

エンプロイー・エクスペリエンス

  • 作者: トレイシー・メイレット/ マシュー・ライド,麻野耕司(解説),和田美樹
  • 出版社/メーカー: キノブックス
  • 発売日: 2019/05/30
  • メディア: 単行本
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Employee Experience とは?

Employee Experience(以降 EX) とは、従業員が組織との関わりをどう捉えているかの評価です。
詳細は、後ほど。

EX をなぜ高める必要があるかというと、よりよい顧客満足を生む競争優位性を獲得するためです。
大量生産の時代から、消費者の多様性に答える時代への変化があり、そのためには顧客満足 = Customer Experience (以降 CX) が重要とされています。
良質の CX を生み出すのは誰か?
それは、 従業員 = Employee です。
組織の従業員の EX がよくない場合に、顧客によりよい体験を提供するだろうか?
そういった時代背景や、前提があった上で EX が重要となってきているのです。
なお、業務を型・マニュアルにして誰が行ってもサービスレベルに大差がなくなるような業態の場合は、 EX が低くても CX は高いかもしれません。
おそらくこの本で語られるところとは別の前提の領域なんじゃないかと思います。あくまで、多様な需要に答える必要があるような領域が対象なのでしょう。

たまたま日本では人口減少とエンジニアの採用競争の件が重なり、そちらの文脈で語られるケースが多いように思います。
場合によってはキラキラのオフィスや、福利厚生などが良質な EX のように語られることもあるかもしれません。
語られる内容も How を中心にみかけます。話の核はそこではありません。
この書籍によって、 EX についてより深く理解することができます。

いよいよ本題ですが EX は何によって向上するのでしょうか? この書籍では、 EX とそれに影響を与える要素として 3 つの契約について説明しています。

契約 内容 影響
ブランド契約 世間から思われている企業イメージ。意図的に作られる事もあれば、そうではないものもある コミット度が変化する
取引的契約 明示的な契約。代表的なのは雇用契約 満足度が変化する
心理的契約 暗黙的に心のなかで期待している契約 エンゲージメント度が変化する

この中で、心理的契約がやっかいになります。
暗黙的な部分が多いため、この期待をお互いに一致させるの事自体が困難な部分が大きいためです。
そのため、心理的契約に依存する部分が大きくなりすぎないように、ブランド契約・取引的契約側の比率を大きくするのが好ましいのでしょう。
例えば、 MVV を明示することで、ブランド契約を強化。福利厚生や昇格条件の透明化などによる取引的契約の強化などのように。

これらの契約が満たされていると、 好ましい EX が生まれ、その状態は MAGIC が一定満たされた状態であると語られています。

  • M - Meaning - 意義
  • A - Autonomy - 自主性
  • G - Growth - 成長
  • I - Impact - 社会的影響力
  • C - Connection - 愛着

MAGIC の詳細解説については、以下を参照ください。

また、 上記で上げた 3 の契約と相反する出来事が発生した瞬間を「 真実の瞬間 」と呼びます。
このときに、どのように対応するかで EX が上下に変化します。例えば、契約を破り、とくにケアしなければ EX は低下するでしょう。
逆に EX が満たされるように強化するか、変化させることができれば EX は向上するでしょう。

各概念について浅めに紹介しましたが、書籍中ではより詳細に語られているので気になる方は書籍をどうぞ。

まとめ

この話をまとめると

暗黙の期待を明示の期待に変えた上で、定期的にモニタリングすることによって、 EX を高めることができる。

という話に思いました。

期待を暗黙にしておくと、それぞれの頭の中だけでそれに対する満足・不満の評価がなされます。
また、定期的なモニタリングをしていないと入社時に口説くために用いた言葉を組織側は忘れていて、従業員側は真実の瞬間を迎え不満を募らすようなこともあるでしょう。
こういったことを防ぐために、明示的な契約の範囲を広げ、組織は従業員の期待値を確認し、それがどの程度満たされているのか定期的にチェックします。
その際に、そもそも無茶な要求がなされていないかも確認し、約束できない部分も明確にします。
例えば、貢献度が低いにもかかわらず大幅な昇給を期待している、とか。

そして、大切なこととして従業員が企業に対してする期待も企業が従業員に対して行う期待も変化します。
だからこそ 1 on 1 が大切なのでしょうね。