テレビで取り扱われたこともありバズワード化してきた 「1 on 1」 。
身近にも 「1 on 1」 職人がいることもあり個人的にも関心が強いです。
ここで、 「1 on 1」 が広まるにいたった経緯とその利用目的についてインターネットで集まる情報や書籍で得た情報を元に推測してみようと思います。
※推測なので、あたっている保証は全くありません
プロジェクト・オキシジェン
2009年 プロジェクト・オキシジェンで Google は
- 優秀なマネージャーの特性
- 成功するチームに必要な特性
をつきとめました。
優秀なマネージャーの特性
優秀なマネージャーの特性には以下のような要素が含まれています。
- 専門知識を持った良いコーチである
- 部下が健康で過ごし、成果を挙げることに関心を払う
- チームの良き聞き手であり、コミュニケーションを活発に取る
これらは、 「1 on 1」 でカバーする領域のようにみえます。
成功するチームに必要な特性
成功するチームの特性としては以下の4つがあげられています。
- 心理的安全性 - 心理的安全性 - re:Work
- 相互信頼 - チームメンバーが質の高い成果をあげてくれると信じること
- 構造と明確さ - チームの役割・計画・目標が明確であること
- 仕事の意味 - チームメンバーは仕事が自分にとって意味があると感じていること
これらのうち、 1, 2 は 「1 on 1」 でカバーする領域のようにみえます。
4 は OKR でカバーする領域のようにみえます。そして、 OKR は 「1 on 1」で運用されます。
OKR が Google で花開き、広まる
ときは遡り 2000 年。
ジョン・ドーア氏がインテルの手法だった OKR を 2000 年に持ち込んだとされています。
書籍 「 Measure What Matters 」 で語られていましたが、 Google が少しずつ規模を大きくするにあたって、組織の目標と個別のチーム・個人の活動が一貫性がとれて、組織にとって意義ある優先度の高いことを中心に取り組んでいる状態にするための施策として、ジョン・ドーア氏がインテルの手法だった OKR を持ち込んだとされています。
OKR の歴史についてはこちらにもあります。
そして、 OKR にはもう一つの効能があります。
社員のパフォーマンス改善です。
個人単位まで落とし込まれた OKR を元にマネージャーが常日頃フィードバックを行うことで、リアルタイムで社員が成長している状態になります。
このあたりは OKR の兄弟ともよばれるらしい CFR の領域なのですが、日本だとあまり語られているのをききませんが、 Measure What Matters には載っていました。
CFR は
- Conversation - 対話
- Feedback - フィードバック
- Recognition - 承認
の略で、リアルタイムで相手のパフォーマンスを改善するために用いられる手法です。
これらのリアルタイム・パフォーマンス改善の手法は MBO で年次や四半期でパフォーマンス改善施策を行っているが、間隔が空きすぎて目標を忘れていたり、という点とよく対比されます。
そして、Googleやインテルにいた人が転職した先で OKR を広めているとされています。
ちなみに書籍の影響で最近話題の多い「ヤフーの 「1 on 1」」は
によると
ヤフーが2012年から全社で実施している「1on1ミーティング」が、産業界で注目を集めている。
というように 2012 年から開始されているようなので、こちらは源流ではなさそうです。
まとめ
ここから読み取ることができる 「1 on 1」 が大きく広まるまでの経緯とその意義については、
2000 年に Google で OKR が導入された。その実施手法として 「1 on 1」 が用いられていた。
2009 年に Google でプロジェクト・オキシジェンが実施された。
その結果優秀なマネージャーの特性とチーム特性が明らかになった。
一部のマネージャーやチームがうまくやっていた裏には、 2000 年から根付いていた OKR + 「1 on 1」 の実施があり、それをどの程度うまくやっているかの影響があった。
プロジェクト・オキシジェンで重要な要素が OKR や 「1 on 1」 の適切な実施で強化できる面が多いことがわかり、「優秀なマネージャー育成」「成功するチームの実現」を達成するツールとしての OKR と 「1 on 1」 が強化されることになった。
こういった裏付けと実際の Google の快進撃も相まって、これらの手法はベンチャー界隈に広まり、流れ流れて日本にも広まってきた。
こういう筋書きを推測しました。
ということで、ここまでの流れから 「1 on 1」 の利用目的は、成功するチームをつくるために以下の要素を満たすこと、と推測します。
- 成功するチームを導くマネージャーの要件を満たす
- 専門知識を持った良いコーチである
- 部下が健康で過ごし、成果を挙げることに関心を払う
- チームの良き聞き手であり、コミュニケーションを活発に取る
- 成功するチームの特性を満たす
- 心理的安全性
- 相互信頼
- 仕事の意味