野中郁次郎先生の「 イノベーションを起こす組織 革新的サービス成功の本質 」を読んだときから気になっていた「アブダクション」の本を最近読んだので、ここにまとめます。
- 作者: 米盛裕二
- 出版社/メーカー: 勁草書房
- 発売日: 2007/09/20
- メディア: 単行本
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3種類の論理的推論
アブダクションは 論理的推論 です。
論理的推論は大きく分けると3種類あります。
論理的推論 | 種類 |
---|---|
演繹 | 分析的推論 |
帰納 | 拡張的推論 |
アブダクション | 拡張的推論 |
- 分析的推論 - 前提の内容を分析し、そこにある情報から結論を導く
- 拡張的推論 - 具体的な対象を観察することで、理論・仮説を導く
演繹 - deduction
演繹(えんえき、英: deduction)は、一般的・普遍的な前提から、より個別的・特殊的な結論を得る論理的推論の方法である。
例
帰納 - induction
帰納(きのう、英: Induction、希: επαγωγή(エパゴーゲー))とは、個別的・特殊的な事例から一般的・普遍的な規則・法則を見出そうとする論理的推論の方法のこと。
例
- 田中さんの残業時間が増えたらパフォーマンスが下がった。 - 事象1
- 鈴木さんも同上 - 事象2
- 残業するとパフォーマンスが下がる - 結論
アブダクション - abduction
アブダクション、リトロダクション(古代ギリシア語: ἀπαγωγή、apagōgē/英: abduction, retroduction)とは、個別の事象を最も適切に説明しうる仮説を導出する論理的推論。仮説形成や仮説的推論などと訳されている。
例
- みんなのパフォーマンスが落ちている - 事象
- 人は疲労するとパフォーマンスが下がる - 普遍的事象
- 稼働時間が増えたことによるのではないか? - 仮説
イノベーションを起こすサイクル
アブダクションで仮説を作り、
演繹で具体化し、
帰納で検証する。
ということらしい。
例
- アブダクション - 仮説の創出
- 下ネタが好きな小学生が賢い(という事実があったとする) - 事象1
- おしりたんていが人気。おしり探偵はオナラとお尻など下ネタが特徴で、考える力を鍛えることを意図されて作られている - 事象2
- 考える力を鍛えると人は賢くなる - 普遍的事象
- おしりたんていを見た子は、賢くなる - 仮説
- 演繹 - 仮説の具体化
- 考える力を鍛えると人は賢くなる - 普遍的事象(仮に真として考える)
- おしりたんていを見た子が賢くなっている - 観察事項
- おしりたんていを見た子は、考える力が鍛えられて賢くなる - 結論
- 帰納 - 仮説の検証
- おしりたんていをみている双子の兄弟。兄の A さんは弟の B さんより賢い - 事象1
- おしりたんていをみている双子の姉妹。姉の C さんは妹の D さんより賢い - 事象2
- おしりたんていをみると賢くなる - 結論
こうかな?
※あくまで思考のための材料なので、中身の正しさは無視してください
例えば、プロダクト開発の初期段階だと考えると、現実に起こっている事象から、理想的な状態との差異を埋めることが説明可能になる仮説をたてる。ここまでがアブダクション。
ここは、ベンチャーの創業者などプロダクト起案者が発想する段階だろうか。
そこからその仮説が成立する前提での具体化をする。ここまでが演繹。
仮説キャンパス あたりの段階だろうか。
そして、それを検証するためにプロトタイプをもとにしたユーザーインタビューや、手動運用でのβプロダクトでの価値検証であったり、さらに MVP を作って、顧客のインタビューや定量分析などによって、仮説が正しかったかを帰納で検証する、という感じだろうか。
まとめ
で、本を買った理由はアブダクションとはなんぞ、を知りたいわけじゃなくて良質のアブダクションをするためのノウハウなどについて知りたかったのだけど、それはのってませんでした。