Tbpgr Blog

Employee Experience Engineer tbpgr(てぃーびー) のブログ

第4回 成再会 活動報告 - システム思考の基礎知識とグループワークを実施した #成再会

第4回 成再会を実施しました。
今回のお題は システム思考 です。

なお、ここで扱うのは「学習する組織」で紹介されている、 狭義のシステム思考 です。

なお、前回はこちら。

成再会とは?

成再会(せいさいかい)は「成長を再現する会」の略です。

人の成長を再現可能にすることで、より容易に人が成長できるようにする。
これにより多くの人が以前よりも効率よく成長できるようにすること。
ということを目的に掲げたコミュニティです。

主に、個別の職業に依存しないような知識・スキルだが、それでいて重要なものを学習し、習得することを再現可能にしよう、ということで活動をしています。
現状のお題目としては、「問題解決」・「システム思考」を取扱いました。
大枠としては「自走する人材」に必要な能力にフォーカスを当てていく想定でいます。

今は私とオンラインで関わりのある人を中心に会を実施しますが、そのうち public なコミュニティとして一般参加も受け入れる予定です。

成再会の MVV

まだ正式な運営メンバーも決まっていないので、仮決めの MVV ですが、こんな事を考えています。

Mission

人の成長を再現可能にすることで、より容易に人が成長できるようにする。
これにより多くの人が以前よりも効率よく成長できるようにすること。

Vision

人が効率よく成長できるようになった結果として、
人は活躍の場を自身で選択しやすくなり、
日々を充実して過ごしやすくなる世界にします。

Value

実践重視

可能な限り実践に近い形式で調査・検証をすることで、実用に結びつく手法を生み出す。

公開・共有

検証結果や、新たに得た知見は広く共有し、恩恵を受ける人を増やすこと

恩送り

我々は、他者や環境の恩恵を受けて成長しています。 我々も他者や環境に対して恩を返していきます。

第4回 成再会 レポート

お題

物事に対して、1方向の原因と結果として考えるような「 線形思考 」ではなく、全体の関わり・時間経過・循環など動的な構造からなると考える「 システム思考 」を身につける。
これにより、

  • 問題の真因を発見しやすくなる
  • 所属組織の活動に対する視野が広がる

などの効果を期待する。

実施日時

  • 2019/03/26 20:00 - 22:30

実施場所

株式会社フォトクリエイト 様のオフィスをお借りしました。ありがとうございます。

最近エンジニアの登壇を応援する会のミーティングで同じ最寄駅からさくらインターネット様に訪問したことがあり、無意識にさくらインターネット様へ向かってしまったことにより、主催者にも関わらず 10 分ほど遅刻するという失態を晒したことをここにお詫びします。
遅れている間に後半に予定していた「スリー・テン」の解説を先にやっていただくという機転を利かせてくださった てつのすけさん に感謝です。

参加メンバーと役割

参加者 役割
tbpgr ・知識パートのティーチャー
・全体進行
tetsunosuke ・参加者兼
・グループ1
・グループワークファシリテーター
ぐーどらくらんち ・参加者
・グループ1
ずんだまる ・参加者
・グループ1
水殿 ・参加者
・グループ2
・グループワークファシリテーター
おかしん ・参加者
・グループ2
ごまなつ ・参加者
・グループ2

進行

以下のような進行をしました。

まず、システム思考の基礎知識を私から説明します。
そして、2グループに別れて実際にシステム思考を元に因果ループ図の作図に挑戦する流れです。

  • システム思考 - 基礎知識の説明
  • システム思考 - グループワークのグランドルールの説明
    • 一人ファシリテーターを決める
      • 全員がまんべんなく発言できるようにする
      • グランドルールが守られていない場合に指摘する
    • 分からない人には分かる人が教える
    • 他者の意見を否定しないこと
    • 事実と解釈を分けて発言すること
    • 主張を通すことが目的ではなく、よりよい答えを探求することが目的であることを意識する
  • システム思考 - グループワーク
    • 自己強化ループ図の作成
    • バランス型ループ図の作成
    • 組み合わせループ図の作成
      • 自己強化型とバランス型が1つずつ以上含まれるループ図
  • システム思考 - 発表・感想戦
    • 1グループずつ代表者が発表する
    • 各自イベントへの感想を述べる
    • エスト(宿題)のお知らせ
  • 小休止
  • ゲームコーナー

準備に関して

イベントの前に、オンラインで知識パート・グループワークパートの両方を KANE さん相手に実施しました。
おかげで、分かりにくくなりやすい箇所の確認ができました。
本番は思いの外円滑に進んだのですが、この準備のおかげと、あとは今回の取り組みはグループワークによって相互のやりとりで思考の枠を広げていくのに向いていたようで、そういった差異があったように感じました。

KANE さん、ありがとうございました。

知識編のレポート

システム思考 - 研修スライド

こちらの資料をベースに私が参加者に解説をしました。
多少質問はありましたが、思ったよりも詰まるところがなかったので、予定していたよりもかなり早く終わりました。みなさん、理解がはやい。

グループワーク編のレポート

第4回 成再会の開始に向けてイベント参加者のキャンセルが複数あるなど、もっと多くの人が参加する予定だったこのイベントですが、いざ開催されてみると 3 人一組のチームが 2 チームというのが絶妙だったようです。
また、各チームにファシリテーター慣れした人を一人ずつ指名することができたのも参加者バランスの妙でした。

みなさん、和気あいあいと発想を広げつつ実践に挑んでいただいて、活気あるグループワークとなりました。

グループワーク時は自発性を優先し、困っていたら介入しようかな、という立ち位置で見守っていましたが、概ね円滑に実施されていたためほぼ傍観となりました。
アクティブ・ラーニングっぽい感じですね。

発表・感想戦のレポート

2グループの発表担当者に各自の成果物の解説をしてもらいました。
グループ1は枝豆の妖精「ずんだまる」さんがいたこともあり、枝豆成分の高い作図構成でした。
枝豆の因果関係について考える機会って中々なさそう・・・。

グループ2は特に参加者の筋肉成分は高くなさそうですが、筋肉成分がやや高めな作図構成でした。GitHub偏差値を計測する某会社の 筋肉CTO がいたらさぞ盛り上がったことでしょう。

発表自体もわかりやすくしていただき、各自うなずきつつグループワークを終了。

感想戦を終え、私から以下のクエスト(宿題)を出しました。

## お題
現実の問題をもとにした因果ループ図を作成してください。
その中からレバレッジポイントを発見してください。
また、レバレッジポイントを解消する施策を考えて、解決後の因果ループ図を作成してください。

## 採点基準
2つ以上のループが組み合わさったループ図であること
レバレッジポイントが存在すること
今までの自分では気づけなかった問題に気づけた、というケースに出会ったら免許皆伝です

成再会は知識・スキルを実際に見につけて活用可能にするところを目指しているので、このようなクエストを出すことになりました。
ただし、各自個人の時間があると思いますので、今回のイベントそのものに価値を感じて、システム思考への理解を深めたいという気持ちがある方のみ任意で提出で大丈夫です、という前提をつけました。
主催者である私が価値を提供できていないのに、宿題を義務づけるなんてことはおかしいので。もちろん、価値は感じたけどどうしても忙しくて未提出にする、というのもありです。

感想戦は参加者がレポートツイート or 記事とか出してくださるかもしれないのであえて書かないでおきます。

スリー・テン

おまけパートとして、 tetsunosuke さんの紹介で スリー・テン をプレイしました。
詳細はこちら。

スリー・テン は ファシリテーションの練習になる

  • 曖昧な情報に対する人の認知の多様さを実感する
  • 限られた時間でどう意見をとりまとめるか?

など、他にも note 側に書かれているような要素がある興味深い取り組みでした。
私は、ぐーどらくらんちさん、ずんだまるさんと3人で取り組んでいたわけですが、ここで根本的な背景の認識の相違があり、こういったことで判断基準が全く変わるのだなということを感じたとともに、実際の職場のミーティングでもお互いが思い描いている背景によってそれぞれの主張が全く変わってしまうのだろうな、背景のすり合わせは大事だな、ということを感じていました。
これはゲームのメインの意図とは別なわけですが。

イベント NPS

イベント満足度のアンケートとして、 NPS を実施しました。

f:id:tbpg:20190327150059p:plain

NPS は 50 でした。
以下は、計算法と内訳です。

  • 9 - 10 推奨者
  • 7 - 8 中立者
  • 0 - 6 批判者

として、 推奨者の割合 - 批判者の割合 = NPS なので、

  • 推奨者 3/6 = 50%
  • 中立者 3/6 = 50%
  • 批判者 0/6 = 0%

50 - 0 = 50 ということで NPS は 50 でした。

また、よかった点・改善すると良い点に関するアンケートも行い、大枠で

  • よかった点
    • 複雑な問題、多角的な問題を捉える武器を得てよかった
  • 改善するといい点
    • グループワークに関してある程度の前提や背景設定が欲しかった

というようなご意見をいただきました。
グループワークに関しては、実際の現実現場で因果ループ図を作図するときは、その場に起こっていることを対象にするわけですが、グループワークの場ということもあり、各自が「お題に一致する例を作図する」という意識がベースになるとお題が抽象的なものになり、グループでそれを扱う際や発表の際に各自が頭に思い描いている前提がずれやすい、という問題が発生しました。

そのため、次回以降再度システム思考のグループワークを実施する機会があれば、お題のコンテキストを設定するか、具体的な背景を共有することを事前に周知するなどの対策をすることになるでしょう。

まとめ

システム思考を身につけると、部分でものを見ている人には見えない全体が見えるからこそ分かる問題が見えるようになると言われています。
一度身につけたときに周りに誰も全体が見える人がいないと孤独を味わうかもしれない・・・という言葉を見かけるくらい(英語情報だった気がする)です。

今回の内容を持ち帰って、自己強化したあとの参加者の方々の未来が、「有能ゆえの苦悩」になるのか、全体が見える同僚もいて、巻き込んで大きく問題を解決できるようになっていくのか、期待です。
苦悩が発生したら、成再会に連れてきてもらえればいいですね。

参考資料