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推論のはしごによるコミュニケーションのズレの発見と補正

推論のはしご( ladder of inference )という人の思考プロセスを表した概念があります。
この概念は Chris Argyris によって作り出され、 Peter Senge の The Fifth Discipline で用いられました。
The Fifth Discipline は日本の書籍だと「学習する組織」です。

推論のはしごを理解することで、人のコミュニケーションの齟齬がどこで生まれたかを
確認しやすくなります。

推論のはしごの各段

はしごは以下のような要素で構成されます。

  • Actions - 行動をする
  • Beliefs - 結論を信じる
  • Conclusions - 結論を出す
  • Assumptions - 仮説を立てる
  • Interpreted Reality - 現実に意味づけをする
  • Selected Reality - 事実を選択する
  • Reality and Facts - 現実と事実がある

はしごを下から確認

現実と事実がある

何かが発生する。そこには現実に起こった事実があります。

事実を選択する

発生した現実の中から自身の過去の知識・経験に基づいて、
特定の事実に着目します。

現実に意味づけをする

選んだ事実に対して、自身の過去の知識・経験に基づいて意味づけをします。

仮説を立てる

選んだ事実を意味づけをもとに、現実に対する仮説を立てます。

結論を出す

仮説をもとに結論を出します。

結論を信じる

結論が正しいと信じます。

行動をする

信じた結論をもとに行動を起こします。

例1 - 残業することを価値と考える人

現実と事実がある

残業をしない社員を見つける

事実を選択する

勤怠管理情報から残業をしていないという事実をみる

現実に意味づけをする

残業をしない彼は仕事熱心ではない

仮説を立てる

彼は仕事熱心ではないので仕事ができないはずだ

結論を出す

残業をしない彼は仕事ができないので評価を下げるのが好ましい

結論を信じる

残業をしない人は評価を下げるべきだ

行動をする

彼は仕事ができないので査定を下げた

例2 - 残業することを価値と考えない人

現実と事実がある

残業をしない社員を見つける

事実を選択する

勤怠管理情報から残業をしていないという事実をみる。
彼の成果を確認する。

現実に意味づけをする

残業がなくて、成果がでているため彼は効率よく仕事している

仮説を立てる

彼は効率よく仕事をしているので優秀だろう

結論を出す

彼は残業をせずに成果を出すので優秀なので評価することが好ましい

結論を信じる

残業をしないで成果を出す人は優秀だ

行動をする

彼は優秀で成果を出しているので査定を上げた

例3 - 飛躍する人

現実と事実がある

誤った情報を広めている人がいる

事実を選択する

誤った情報を広めている

現実に意味づけをする

誤った情報を広めている人は悪意を持った人間である

仮説を立てる

skip

結論を出す

skip

結論を信じる

誤った情報を広めている人は悪意を持った人間である

行動をする

彼は悪意を持った人間なので攻撃しよう

まとめ

3つの例を作ってみました。

1つ目と2つ目は残業しないという人に対する異なる意味づけによる結果の変化です。
前者が成果を考慮していないことが「優秀さ」と「残業時間」の関係性を正しく判断できていない要因になりそうです。

3つ目は抽象化の飛躍が激しく、深く考えずに瞬間的に誤った判断をする人のケースですね。
例えば、 SNS の短いメッセージに対して自身の偏った価値観や「性悪説」的な視点で人の発言を意味づけたときに発生しそうな飛躍です。
例えば、誤った情報にもいろいろあります。

  1. 悪意で広めた場合
  2. 知識が不足していた場合
  3. 知識の理解が誤っていた場合
  4. 知識があるが、表現を誤った場合

上記のように、悪意がなくても誤ることはあります。

人とのやりとりに違和感を感じたとき、お互いに推論のはしごを一段づつ紐解いて
説明してみるとよさそうですね。

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