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Employee Experience Engineer tbpgr(てぃーびー) のブログ

口頭タスク管理 vs メールタスク管理 vs タスク管理ツール

タスク管理ツールが存在する生活に慣れた皆様におかれましては、
失われてしまったかもしれない、口頭やメールベースでタスクが管理されている状況について比較してみることにしました。
タスク管理の価値を再確認しましょう。

口頭ベースのタスク管理

例えば

  1. 田中さんが佐藤さんにタスクの依頼をする
  2. 佐藤さんが分かったと答える

この時、依頼内容に関して

  1. Why - なぜ?
  2. When - いつまでに
  3. Who - 誰が、誰に
  4. Where - どこで、どこに
  5. What - 何を
  6. How − どのように

などの情報が正しくやりとりされるかは、話し手と聞き手次第です。
仮に新人研修などで、「5W1Hを意識したやりとりをするように」と言われていても
毎回完璧に行うのは難しいでしょう。

また、それらが

  • 正しく理解されたか?
  • 正しく記憶されたか?
  • 正しく記録されたか?

も各個人に委ねられることになります。

さらに佐藤さんが部下の鈴木さんにタスクを受け渡したとします。
このときよくあるのが

  • When
  • What

のみを伝えるケースです。

さらに、今の状況がどうなっているか、というステータスを確認するコストが高くなります。
特に依頼関係が何段階もあったり、関係者が多くいる場合に今該当プロジェクトで誰が何をしている状態なのかを
把握するのは口頭のみだと中々骨が折れます。
伝言ゲームが難しい、ということは多くの方が知っていると思いますが、
間に人による伝達が増えるほど物事が誤って伝わる可能性も増えていきます。

ときどき思考力が強くて、誤った情報に場の背景の情報を付け加えて推測をして正解に近い情報まで
引き戻せる人もいますが、それは例外として。

具体例

田中「例の件だけど、なおしといてね」
佐藤「はい(どの件だろう?直さなければいけないタスクは2つあるからどっちかだろう)」

例示した会話で、田中さんは 5W1H に当たる情報を何一つ明示していません。
佐藤さんは状況を元にして What のみ 1/2 に絞りましたが、
その他の情報は何も明らかにされていません。

佐藤「例の件だけど、なおしといてね」
鈴木「はい(どの件だろう?直さなければいけないタスクは2つあるからどっちかだろう)」

鈴木さんは佐藤さんに「なおして」と言われる可能性があるものを2つに絞りましたが、
そのうちの一つは田中さんとは全く関係ないものかもしれません。
田中さんが作業Aを依頼したら、全く関係ない作業Cが実施される可能性があるわけですね。

田中さんが佐藤さんに現状を確認したとします。

田中「例の件、いつ頃できそう?」 佐藤「部下の鈴木に確認するのであとで伝えるよ」

佐藤「例の件、いつ頃できそう?」 鈴木「(どっちの件だろう?あっちかな?)明後日ですね」

※ここで鈴木さんは誤ったタスクの情報を伝えたとします

佐藤「明後日に終わるよ」 田中「早いね、助かるよ」

伝言のコストがあがり、伝達ミスが発生しています。

この例は「そもそも、どちらか分からないなら確認しろよ」という話もありますが、
それをやらない人というのは意外と多いもので。

メールベースのタスク管理

メールのケースも個人に依存するという意味では口頭ベースと大差ありません。
二つ優れた点があるとすれば、記録に残るという点と書き出すことで認識の齟齬が確認しやすくなる点です。
ただし、メールはタスクの管理のためのツールではないので、

  • タスクの記載が自由な形式であり、読み手の負担が大きい
  • タスクに関わるメールだけを拾い読むコストが高い

など、使いにくさがあります。

1日に数百通、数千通のメールが飛び交っている組織というのは、
タスク管理する対象をメールで取り扱っているケースがありそうです。

タスク管理ツール

何らかのタスク管理ツールを用いている場合、多くの問題が解決します。
JIRA, Redmine, Trello, GitHub Project など様々なツールがあります。

伝える情報の質

タスク管理ツールは期限、本文、アサインなどの入力欄が別れており、
必要に応じて入力していけば 5W1H に当たる情報を入力していくことになります。
各項目の表示領域も別れているので、読み手としても読み取りやすくなります。

記憶の面でも、 メールと同様に形に残るため「忘れる」という問題がなくなります。

また、タスク管理ツールは検索やフィルタ機能を使うことで、
必要な情報を探すことが容易になっています。

状況の把握

タスクと紐付けて「着手前・作業中・完了」などの状況もデータ化されているため、
状況を確認するコストが非常に低くなります。

改善可能性

タスクに関わるやりとりが記録され、蓄積されているため、
業務に関わる問題、目詰まりなどを発見しやすくなります。

まとめ

システム開発の現場においては、タスク管理ツールにあたるものが全くない現場の方が
少ないと思いますが、世の中まだまだタスクが管理されていない組織というのは多いだろうと思っています。

システム開発をしている企業においても、例えば

  • タスク管理を共同で使うことができない顧客とのやりとり
  • セキュリティの制約上タスク管理を一緒にできない外部のパートナーとのやりとり

などが口頭・メールベースになっているというケースはありそうです。

みなさんが関る世界はどうでしょう?