ケプナー・トリゴー社の問題解決のツールであるKT法の中の一つである決定分析についてまとめます。
また、具体例として仮想の情報共有ツール yosa / sokosokosa / damesa の選定をします。
KT法とは?
ケプナー・トリゴー社の問題解決のためのツールであり、思考プロセスです。
決定分析とは?
決定分析はKT法の思考プロセスのうちの一つで、目標を達成するために考えられる
複数の案から好ましい案を選択するために用いる決定のための分析手法です。
決定分析の手順
- 何のために何を選定するか?
- 狙いは何か?
- 代案はあるか?
- リスクはあるか?
何のために何を選定するか?
「XXXのためのYYYの選定」と表現できるように目的の明確化する。
– | 内容 |
---|---|
XXX | 目的 |
YYY | 対象 |
狙いは何か?
目標の設定をする。
- MUST, WANTの分類
- WEIGHT の設定
を行う。
MUST, WANTの分類
選定対象のうち、絶対必要な要素 = MUST と、
あれば嬉しいもの = WANT を洗い出す。
WEIGHT の設定
最も重要な項目を10点として、WANTの項目に 0 - 10 点の間で相対的に重みをつける。
分類 | 内容 | 重み |
---|---|---|
WANT1 | あれば嬉しいもの 1 | 10 |
WANT2 | あれば嬉しいもの 2 | 7 |
WANT3 | あれば嬉しいもの 3 | 3 |
代案はあるか?
案をリストアップする。
MUSTを満たしていないものはWANTの評価が不要である。
MUSTを満たしたWANTについて評価をする。
そして重みを掛けた合計ポイントで暫定案を選定する。
リスクはあるか?
暫定案を導入したら新たに発生するリスクについて考える。
特に目立つ大きなマイナス面がなければ行う必要はない。
具体例
情報共有ツールの選定について考えてみます。
何のために何を選定するか?
暗黙知の形式化のための情報共有ツールの選定
狙いは何か?
MUST, WANTの分類
分類 | 項目 |
---|---|
MUST | Markdownを利用できること |
MUST | 気軽に書けること |
WANT | ユーザーのもとめる機能が追加されていくこと |
WANT | UIがわかりやすいこと |
WANT | 外部連携が容易であること |
WANT | APIに対応していること |
WEIGHT の設定
分類 | 内容 | 重み |
---|---|---|
WANT | ユーザーのもとめる機能が追加されていくこと | 10 |
WANT | UIがわかりやすいこと | 8 |
WANT | 外部連携が容易であること | 5 |
WANT | APIに対応していること | 4 |
代案はあるか?
以下の仮想の情報共有サービスを比較します。
yosa が 246 点でトップなので yosa を暫定案とします。
yosa
分類 | 項目 | 重み | yosa | yosa point |
---|---|---|---|---|
MUST | Markdownを利用できること | – | ok | – |
MUST | 気軽に書けること | – | ok | – |
WANT | ユーザーのもとめる機能が追加されていくこと | 10 | 10 | 100 |
WANT | UIがわかりやすいこと | 8 | 7 | 56 |
WANT | 外部連携が容易であること | 5 | 10 | 50 |
WANT | APIに対応していること | 4 | 10 | 40 |
Total | – | 27 | – | 246 |
sokosokosa
分類 | 項目 | 重み | sokosokosa | sokosokosa point |
---|---|---|---|---|
MUST | Markdownを利用できること | – | ok | – |
MUST | 気軽に書けること | – | ok | – |
WANT | ユーザーのもとめる機能が追加されていくこと | 10 | 7 | 70 |
WANT | UIがわかりやすいこと | 8 | 7 | 56 |
WANT | 外部連携が容易であること | 5 | 7 | 35 |
WANT | APIに対応していること | 4 | 7 | 28 |
Total | – | 27 | – | 189 |
damesa
分類 | 項目 | 重み | damesa | damesa point |
---|---|---|---|---|
MUST | Markdownを利用できること | ng | – | |
MUST | 気軽に書けること | ng | – | |
WANT | ユーザーのもとめる機能が追加されていくこと | 10 | 0 | 0 |
WANT | UIがわかりやすいこと | 8 | 0 | 0 |
WANT | 外部連携が容易であること | 5 | 0 | 0 |
WANT | APIに対応していること | 4 | 0 | 0 |
Total | – | 27 | – | 0 |
リスクはあるか?
yosa を導入することによって、情報共有ツールを使う前に比べて以下のものを必要とします
- 月額運用コスト
- 習熟コスト
- 日々の記録コスト
- 参照コスト
どれも必要なものであり、かつ暗黙知が可視化されていないことによる リスクに比べれば小さいものであると考え、 yosa の仮導入を決定します。